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70 新たな進化

「ダンジョンの隠里は要らない?」

「はい。今居る種族と今後の移住を検討している種族へ、聞き取りを行ったところ、街の環境も防衛状況も驚くレベルなので、今の暮らしで十分だということです」

「遠慮をする必要は無いんだが、それは伝えてあるよな」

「ええ、遠慮というより『この街で駄目ならそれはどこに逃げても同じだ』という意見が多く、ならばコソコソ逃げ隠れて生きるよりは、街を守って戦うと・・・」


バラルと黒足、各種族長から働きかけてもらい、この街の他に更なる隠里を作った場合の移住希望者数を、それとなく確認してもらった結果が先の話だった。


「隔絶した世界だから、隠れはしても逃げなくて済むと思うが、それでもか?」

「ここでは人族とも、問題なく暮らせていますので、変な思想が無ければ種族間の差別や軋轢は生まれず、今ここを去って隠れるのは同じ国の仲間に失礼だという意見もあるようです。もちろんそれを強要する事は無く、自己判断の帰結として自分はそう思うと言われている方の意見ですが、以前から話し合っていたようで、その意見に流れた感はあります。しかしそれを否定して『自分は隠里に』という意見が、無いのも事実です」


500年隠れて、ひっそり暮らしていたところに現れた多種族融和国家に、平穏で穏やかな暮らしがあるとなれば、それを守りたいということなのかな?


「そうか・・・まあ、それでも緊急時の避難施設として、もう一つの街は作っておきたい。これは他の町や都市が、城壁や城を設けて防衛や篭城をするのと同じ、戦時の備えだから、普段は役立たずでもいい。全員を収容できる建物と食料、生活用品に医療品、娯楽用品。とにかく住人がストレス無く、数ヶ月は暮らせる設備を作ろう」


「しかし、いざとなったら戦うという意見も少なくないですよ」

「それはありがたい話だが、容易に容認することはできない。多少数が集まったくらいで何とかなるなら500年隠れてないだろう」

「でしたら強くなれば良いのでは? 恥ずかしながら我らコボルト族は、お館様にお会いするまでは、森の知的種族としては、最低レベルの身体能力でした。正直いって、武器が同等ならゴブリンに劣るとも勝らずの最弱種族だったのですよ」


コボルト族長のマキオから自虐的な意見が出る。劣るとも勝らずって普通逆だろ、そんな言葉聞いたことがないよ。確かにヨタヨタ歩いて、獲物を追うのにも無理があったし、ゴブリンのほうがすばしっこいし、戦ったら・・・同数では負けるかな?そう考えると、本当に森最弱だったのかも。 

そうそう、マキオというのは巻き尾という意味らしいが、いい加減族長やコボルト族長ではまずいので、こっそり黒足に聞いて確認したしだいだ。


「いや、マキオ殿。そこまで卑下する必要はなかろう」

「いえ、そうではないのです、我らは普通に生きておれば、未だただの一人もハイ・コボルトに進化していないはずなのです。ですが既に一定の年齢に達した者で、ハイ・コボルトへの進化をしておらぬ者は居ません。戦闘経験を得られれば、先ず間違いなく進化はあるのです。それは、程度や必要経験の差こそあれ、この地にいえ、お館様に認められた、全ての種族に与えられる“可能性”なのだと私は思うのです」

「・・・・どういうこと?誰か分かるか」


さっと視線を走らせるが、誰もがマキオ殿の言わんとすることを分かりかねているようだ。


「あくまでも、可能性です。詳しい事は理解しかねておりますが、お館様が神に庇護されており、お館様が守ろうとする者や、お館様に尽くす者、賛同する者にも、その庇護が拡大されておる気がするのです」


「それは、神が俺のために他の種族を巻き込んで、その生活と人生を変えたというのか?もしそうだとすれば、俺は皆にどれ程わびても・・・・」

「いえいえ、これは我らにとってのチャンス以外の何物でもありませぬ。神がおやかたさまと共にあれというなら、それがこの世界にとって良き事なのです。ですが、それはおやかたさまに、従えと言うことではなく、お館様と共に考え歩めという事だと思います。息子などは、それにふさわしい力を得るために、急激な進化をさせてもらったのだと思います。そしておやかたさまが道を外せば、周囲の者が力ずくで止めるでしょう」

「・・・ありがとう。未熟だが皆とより良い国をル来るために【鑑定】っつ。


何だ、急に鑑定が・・・・。


名前:マキオ

種族:ハイ・コボルトリーダー

年齢:0歳(?歳)

見詰めていたから発動したのか? 勝手に鑑定発動は久しぶり・・・!? 種族:ハイ・コボルトリーダー??


「・・・マキオ族長、知らぬ間に進化されていたんだな。頼もしい限りだ。これからも、気づいた事は遠慮なく意見してくれ」

「・・・・・・・・・はい?」

「ハイ・コボルトリーダーになっているぞ、黒足たちとは違う方向性のようだな」

「ちょっとまて、それはコボルト族長殿が、二度目の進化をされたという事か」

「そう・・・だと思うけど、黒足たちのような大きな変化ではなく、小さな変化だから・・・マイナーチェンジか?俺も詳しくは分からないが、それが何か?」


なんか車のモデルチェンジみたいだが、他になんと表現すればいいのだろうか。


「おやかたさま、私はここに来てからまともに戦った覚えが無いのですが、何故進化しとるのですかな」

「あ・・・・そう意味か・・・これまでの蓄積じゃね?」

「それは、ハイ・コボルト化で使いきれぬ経験があったと?何かおかしくないか」

「そういわれてもなあ・・・・ん?」


また鑑定・・・


名前:ドルトン

種族:ハイ・ドワーフ族

年齢:0歳(88歳)

職業:朧メタルスミス

レベル:2


鑑定: ハイ・ドワーフ族

魔力の多用から肉体がより魔力運用に適すよう進化したドワーフ。外見はあまり変わらないが、魔力総量が増えて夜に強くなり暗視能力が上がる。


「ん?なんじゃ」

「ドルトンの種族と職業が変わった・・・・」

「なんじゃと、ドワーフに上位種族があったのか?しかし、すまんとはどういう事じゃ」

「・・・ドワーフからハイ・ドワーフになった。職業が良く分からない微妙な変化なんだが、朧メタルスミスになった。レベルは2だ」

「おぼろメタルスミス?」

「えっと、金を扱う者はゴールドスミス、銀ならシルバースミス、鉄がブラックスミスでスミスは叩く者の意味だ。鉄を叩く職人をブラックスミスというため、鍛治師をブラックスミスという事もある」

「ふむ、では、ワシは」

「朧とは、おぼろげ、ぼんやり、はっきりしない、などの意味がある。金属加工をする者を一括りにしてメタルスミスとも呼ぶが、鉄に銅と銀と魔力の化合物を加えたことで、はっきりしない謎の金属を加工しているから、朧メタルかな?朧銀という名称を合金につけた事も関係あるかも。レベルは職業が変わるとリセットされる仕様なので、下がっても実害は無いし、能力が上がりやすくなってむしろ得かな」

「しかし、何故進化したんじゃ? ワシが戦ったのはスプリガンの地下牢くらいじゃぞ」

「いや、職業の変化から想像すると、鍛治や金属加工の経験で進化したんじゃないか?コボルトの進化は戦闘と食事が引き金だったけど、種族ごとに何か進化要因があるんだろう。例えば合金や魔力の多用とかな」



「それで、何だっけ?強くなれば良いんだっけか」


俺は話を戻して、先程のマキオ族長に続きを促す。


「さよう。以前モーナ殿が進化して、お腹のお子も同種族に進化されましたな。ならば、他の種族も進化を目指せば良いのです。敵に我らを容易に倒せぬ相手と思わせれば、おいそれと攻撃してきますまい。それでも戦いを避けられぬなら、皆家族のために武器を取って戦うでしょう」

「そうですね、例のダンジョンを利用すれば、容易に強くなれるし、生活の足しにもなる。希望者を募ってみてはどうでしょう。もちろんケンタウロスからも参加するものが居ると思います」

「今、ヨルンたちが昔の知り合い冒険者と、遺跡とダンジョン一層を探索しておるんじゃろ、うまく南町の冒険者を取り込めば、この国に与するはずじゃ。外の世界は危険と実入りが吊り合わん。ダンジョン探索は危険じゃが、実入りが大きく約束されたようなものじゃ、平民が外の貴族以上に稼げて自由を得られる場所じゃ。誰だって良い暮らしはしたいんじゃし、それを奪われたくないならどうすべきか、自明の理じゃろ」

「それなら、どこまで開放する?遺跡下のダンジョンは最終的に全部開放するか?」

「それで、良いんじゃないです。出入り口は南町からのゲートになりますから、出入りは制限できますし、ゲートの魔法陣に手を加えて、犯罪者やよからぬ考えの者を弾く事が出来れば尚良いですね」

「よいのう。中には人質や無法で押し通ろうとする者も居るじゃろが、古代魔道具の防衛機能が“対象の侵入を阻んだ”とでもすれば、ケット・シーとの交渉でダンジョンに入れると思う者が減るじゃろう」

「お館様、冒険者の資格証や鑑定の魔道具は作れませんか」

「資格証?」

「はい、ダンジョンに入れるにしても、ただ送り込んでは無駄な死人が出ます。今ヨルンさんとモーブさんがしているような、引率を義務にするんです。面倒に思えるかもしれませんが、一ヵ月後の生存者を比べれば、きっと大きな差があると思うんです。そして、経験者と未経験者を区別して入れる階層を分け、併せて鑑定装置で問題のある者を確認できるようにするのです」


資格証は所謂ギルドカードみたいなものだな。そうなるとカードにして情報を記載か?書き換えは難しいな・・・パスポートのような冊子にして、追記事項は中に書き込むか。それと鑑定か、俺の鑑定は魔法陣が出ないから、スマホでコピーは出来ないんだよな。魔法陣作成で作れるだろうか。


「資格証は何とかなるけど、鑑定の複製は難しいぞ」

「物知り博士~」

「素材~~」

「ん?」

「アプリの素材スキャンのことかの」

「それそれ~」


またリリパットが余分に会場に居るな、入り口が閉まっているのに、どっから出入りしているんだか・・・。しかし、素材スキャンか、あったなそんなアプリ。俺は鑑定できるから使ったことがないんだが、あれで分かるのか。


「素材スキャンで・・・何が分かるんだ?」

「種族~ 名前~ 年齢~ 素材~ 可食部~」


素材!? 可食部!? 人や妖精も表示されるの?誰が食うの!?


「種族と名前だけでも分かれば、資格証が本人の物か確認できますし、偽名も確認できますね」

「ちょっと物騒な台詞があったが、まあいいか。じゃあ黒足は後でアプリを調べておいてくれ」

「お館様、もうひとつ調べるべきものが有ります」

「うん?」


何かあったろうか。


「遺跡の本棚にあった本は、様々な魔方陣が書いてありましたけど、まだ確認してませんよね」

「そういえば、帝国から持ち帰った物も、送還したままろくに調べてないだろう?ケントは収集するが、しまいこんで使わないタイプだな」


う、確かに。ゲームのアイテムなんかもレアを使わず溜め込んで、仕様変更で役立たずになったりしたな。


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