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1度目はリア充達を見る人生  作者: セセラギ
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第十一話 高井輔

 夏休み後は喪失感によるものなのか、椿谷さんの時と同じく何か新しいことをしようという気も起きず。なんとなく毎日を過ごしていると冬休みに入り、その冬休みすらも終わってしまった。


 特に意識していたわけではないがなんとなく転生前と同じように日常を過ごしてしまっていた。精神状態は一度大人になっていると言っても行動パターンは結局高校生の時と変わらないらしい。まあ、何かが変わることでまた予期せぬ事態になることが怖いと言えば怖いわけだが。


 宮崎さんや椿谷さんと改めて少しずつでも仲良くなっていこうかということも考えたが、それも実行してはいない。便利なスキル自体は多くあるのに、全然活用できていない現状だ。


 あれからオンラインゲームもやっていないし、空いた暇な時間はひたすらスキル取得で時間を潰していた。そのおかげで取得スキル一覧ページは3ページ目に突入していた。

 前と同じ効果のレアスキルは手に入ってはいないが、一度すべて失ったレアスキル自体は新しいものを3つ取得している。


 スキルを上手く利用することで今度は大金を手に入れることができないかと思い、ギャンブルやその他思いついたことをいくつか試してみたが、宮崎さんの時と同じく、その後必ずと言っていいほど何か不幸なことが起こりその大金は自分の手を離れていくのである。


 ここまで来ると、さすがに何かがおかしいと思うようになってきたわけだ。


 スキルで最高の人生とは程遠いというか、スキルで得したことは必ず失ってしまうという法則が成り立っている。スキルというのは得てしてそういうものなのか、それとも何か別な要因があるのか。


 転生前の死ぬであろうと思われる半年の記憶がない部分、というかそもそもなぜ死んでしまったのかという部分に関係があるのだろうか。

 これについてはこのまま高校卒業し、大学卒業し、就職してからの話になるわけで、はっきりするのはまだまだ先になってしまうわけだ。



 そんなことを考えながら冬休み終了後の初登校、通学路を歩いていると遅刻ぎりぎりになってしまった。

 とりあえず前と変わらない日常を無難に過ごすしかないかという結論にたどり着く。



 しかし、冬休み明けの教室へ入ると、そんな結論は前触れもなくいきなり崩れ去ることになった。



「もう演技するのはやめにしない? 過去から転生してきた他にもいるよね?」


 教室に入った瞬間クラスメートの八神綾乃(やがみあやの)が黒板の前で全員に呼びかけていた。

 彼女はムードメーカー的な、クラスでも明るい存在であり皆に呼びかけて意見をまとめたりとかいう役割をすることが多かった。なので、この光景自体はそんなに違和感のあるものではないが問題はその内容だ。


「スキル書で人生やり直そうとしたんだけど全然うまくいかなくて」


 そう言うと彼女はカバンから見覚えのある、まったく同じスキル書を取り出した。


「転生者は馴染みのスキル書です。情報集めて皆で協力しない?」


 どうやら本当に転生しているようだ。彼女のセリフから察するに、俺と同じような現象が起こっており精神的にかなり疲れているのが伺える。


 クラスメートの反応を見ると、本当に意味がわからないという感じで見ているものが大多数だが、中には違う意味で驚きの表情を浮かべているようなやつもいるので転生者はどうやらいるらしい。


 それにしても八神さんの気持ちはわかるが少し強行過ぎている。一応スキルは内緒で使用するようにと最初に言われているし、その他の転生者が全員友好的かどうかがわからない以上危険だ。


 八神さんに声をかけようか迷っていると、優等生の高井輔が立ち上がった。


「はい、八神さん、ここまで! 霹靂の束縛(へきれきのそくばく)


 高井は八神さん目がけてスキルを詠唱した。八神さんは何か声を出そうとしてるのか微かに唇が動いているようだが、それ以外は動くことはもちろん喋ることもできないようだ。

 やはり高井のやつ、まさかとは思っていたが転生者だったか。


「勝手なことをされたら困るよ。こちらはせっかく慎重に情報を集めて行動していたというのに」


「あなたこそ全員の前でスキル使うなんて何考えてるの」


 授業中以外でまともに声を聞いたことがなかったが、志賀崎葵が続いて立ち上がり高井に向けて手の平を向けている。いつでもスキルが使えるという抑止の意味だろう。まさか志賀崎さんまで転生していたとは。


「やはり志賀崎も転生者だったか、怪しいと思ってたんだ。あとは……風見原もそうだよな?」


 高井が教室の入り口ドアの前で立ちすくしている俺へ向けて話しかけてきた。全員の視線がこちらへ向けられる。俺の行動はわかりやすかったからばれてても当然だろうな。


「ああ、そうだよ」


「あとは、西田と林崎もだよな? これで全員か?」


 高井に名前を言われるとその二人も立ち上がった。



 西田(にしだ)まりあは、ショートカットの髪型が特徴的な見た目通りのスポーツ少女である。背も高く、得意なのは陸上競技全般らしいが、体育で行うようなスポーツのほとんどはすべて(そつ)なくこなしていく。



 林崎祥太郎(はやしざきしょうたろう)は背が小さく顔も童顔で、声変わりはしてるだろうがそれでも高めの声で中学1,2年と言っても通じるであろう。ゲームや漫画は好きでパソコン部に入ってるというのは知っているが情報としてはそれぐらいだろうか。何か目立つようなことは嫌いな、気弱系の男子であるはずだ。



「すげぇな、こんなに転生者がいたんだ……」


 思わず心の声が漏れてしまった。

 いま立っている転生者以外のクラスメートは何が起こっているんだということでざわめきだっている。これは事が大きすぎて収拾がつかなくなってしまうのではないか。


「多分ここにいる転生者達は幸福と不幸の収束に気付いてるよね。僕が思うに、スキルを使える奴が複数存在してしまうからこういうことになっていると思うんだ」


 林崎が突然静かに語りだした。普段聞いたことがないような低めの声だ。


「ゲーム領域起動。非転生者排除。プレイヤー名、八神、志賀崎、高井、西田、風見原、林崎。無人島にて生き残りサバイバル、敗北条件心肺停止。敗北者記憶抹消にて転送。空想(くうそう)のディレクション!」


「おい、お前! これは何のスキルだ!」


 高井が自分の席を飛び出し林崎に飛びかかろうとするが、見えない壁のようなものが出来上がっており一定以上近づくことができなかった。

 

 それと同時に名前を呼ばれた6人以外のクラスメートは全員時間が停止したかのように固まっていた。


「さあ、始まりますよ。これから僕らは無人島に飛ばされます。そして殺し合いをします。まあ安心してください。そこで死んでも転生に関する記憶がなくなった状態でここに戻ってくるだけなので。誰が最後まで生き残れるかな」


 林崎の言葉が終わると同時に教室全体が目も開けてられないような眩しい光に包まれた。




 気が付くと木々が生い茂る森の中にいた。何が起こったんだ。

 スキルの説明はしていたが本当にその通りなのだろうか。だとすればきっと手段を問わず最後の一人になるまで殺さないと元の教室には帰れないのだろう。となると、ここはスキルにより作られた架空の世界ということになるのか。


 森の中をひたすら歩きまわってみるがいつまでも抜けなかった。海なり平地なりに出ないと島の全体像が見えてこない。もし本当に殺し合いが始まっているのであれば下手に派手なスキルを使うわけにもいかないし、まずは島の把握だろう。


 架空の世界だからなのか、動物や虫すらもいないようだ。本当の森なら鳥の(さえず)りなども聞こえるだろうがそういう音はなく物凄く静かで不気味である。


 さらに歩みを進めると突然大木の陰から誰かが飛び出してきた。咄嗟に手のひらを向けて戦闘へと構える。


「あっ! 待って待って!」


 高井や林崎であれば争いは免れないだろうと警戒していたが幸いにも現れたのは西田まりあだった。


「とりあえず戦う気はないから安心して! だから一緒に行動しようよ!」


 西田は両手を頭くらいの高さまで上げてバンザイのようなポーズをとっている。争う気はないということだろう。


「一緒に行動するって言っても最後の一人にならないとこのまま帰れないと思うから、仮に俺ら二人が残ったら殺し合わないといけないけど」


「どうしてもその状況になったらその時考える! てか展開が早くて全然頭が追い付かないし! あの男子二人やばすぎ!」


 何故か怒っている様子だ。


「西田さんも転生者で間違いないんだよね?」


「そうだよ。転生前の記憶もあるし、なぜだかわからないけど未来の私は死んでしまったみたい」


「なんか何も知らないような反応だったから」


「さっき綾乃がスキル書がどうとかとか言ってたけど、私そもそもそれ知らないし!」


 ん、なんだと。スキル書を知らない……?


「転生した時に見知らぬ本が部屋になかった?」


「ああ、全然見てないんだよね! 本はたしかにあったけど字だけの本は嫌いなもので!」


 なかなかすごいやつもいたもんだな。


「スキルを一つも使わずに今まで過ごしてたの?」


「さっきの魔法みたいなやつだよね? 使い方も何も知らないし私もすぐにできるようになるの?」


 紛れもなく本物だ。と思いたいが、俺を騙すための演技かもという不安はぬぐえない。しかし、高井と林崎がいる以上誰かと組むというのは正解かもしれない。


「スキル書があれば取得できるけど持ってきてないなら今はもう無理だよ。とりあえず組んで一緒に行動するかい」


「さすが! サンキュー! 暗いけど悪いやつではないと思ってたよ!」


「全然褒められてないな」


「あははは。よし! 残りの女子二人はきっと協力してくれると思うからまずは仲間にしよう! それから高井と林崎を倒す感じで!」


 なるほど。今後のことも一応考えてはいるらしいが、予定通り4人で協力して2人を倒すことに成功したあとはどうするのだろうかという不安があるが、それはきっと考えてなさそうだ。




最近更新が遅めで申し訳ないです!


せめて3日に一度は……とは思っているんですがなかなか難しいです。


まったり更新になりますがお付き合いください。

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