第93.5話:閑話・白銀の別動隊――過保護神の「詰め込み教育」と第二艦隊の初陣
### 第93.5話:閑話・白銀の別動隊――過保護神の「詰め込み教育」と第二艦隊の初陣
リオン率いる『アストラル・クルーザー・マキナ』が深淵の特異点へと消えた頃。
銀河の別の宙域では、リオンの「慈愛」を分かち、神々の祝福を一身に受けた第二艦隊――**『慈愛の翼』**が、その初任務に挑んでいた。
#### 1. 初陣:地獄の最前線
第二艦隊の総旗艦、純白の戦艦『アーク・リオン』の艦橋では、かつての覇王カイザーが、厳しい表情でメインスクリーンを睨んでいた。
「……報告しろ。瘴気密度の推移は?」
「提督! 前方の惑星系より噴出する瘴気、想定の$150%$を突破! 従来の防壁では侵食を防げません!」
報告するのは、かつての聖女ナナミだ。彼女の背後では、大賢者マグナスが数千の魔導回路を連結させ、必死に艦隊の結界を維持している。
「くっ、リオン殿の『生身の慈愛』がないだけで、これほどまでに外宇宙のバグは重いのか……!」
マグナスが歯噛みしたその時、神界の監視室から「あの男」の叫びが時空を超えて響き渡った。
#### 2. 神のパニック:過保護の緊急アップデート
『いかぁぁぁぁぁぁぁぁん!! リオンの大事な友人(お友達)たちが、ブラック労働で青息吐息ではないか!!』
神界のモニターを叩き割らんばかりの勢いで立ち上がったのは、過保護神アルトワールである。
『もし彼らがここで力尽き、リオンが帰還した際に「僕の仲間を死なせた神様なんて嫌いだ!」と言われたらどうするのだ!? 私の神生はそこで終わるのだぞ!!』
『……結局、自分の心配ですか、アルトワール』
隣で呆れる冥界神アイゼルを無視し、アルトワールは禁忌の「一括強化(チート付与)」ボタンに手をかけた。
『クロノア! 冥界神! 手を貸せ! 彼らにもリオンの慈愛を擬似的に代行できる、**「職能特化型・神域スキル」**を今すぐ叩き込むぞ!!』
#### 3. 加護の集中豪雨:第二艦隊の「真の覚醒」
カイザーたちが絶望的な瘴気の渦に飲み込まれそうになった瞬間、天から黄金の光が降り注ぎ、彼らのステータスが物理的に書き換えられた。
> **【提督カイザーへの付与:覇王の神域指揮】**
> **効果:** 彼の号令は「世界の命令」となる。艦隊周囲の物理法則を一時的に固定し、瘴気による「事象の風化」を完全にシャットアウトする。さらに、リオンの慈愛波動を弾頭に変える**『慈愛の結晶砲』**の命中精度を$1,000%$に高め、敵を「強制的に懐かせる」権能を得る。
>
「……何だ、この力は。私の声が、宇宙の理を上書きしているのか?」
カイザーが手を一振りすると、迫り来る瘴気が恐怖したように道を開けた。
> **【魔導補佐マグナスへの付与:真理の高速演算・無限】**
> **効果:** カイトの演算能力の一部を神がコピーし、マグナスに接続。数万の魔術を同時に、かつ「発動時間ゼロ」で並列展開可能。彼の周囲には、もはや魔法の詠唱など不要。思った瞬間に奇跡が確定する。
>
「ほう……。これなら、カイト殿の『理系魔法』と私の『古式魔導』を融合させた究極の防壁が、鼻歌まじりに維持できますな」
マグナスの周囲に、幾何学的な魔法陣が銀河のように展開される。
> **【救護総監ナナミへの付与:|慈愛の代行者・聖域展開】**
> **効果:** 彼女の祈りにリオンの「残り香(魔力)」を合成。ナナミが微笑むだけで、周囲の民の精神汚染が解除され、HP・MPが全快する。さらに「リオン様が応援してくれている!」という強烈な多幸感を全隊員に植え付け、士気を無限大にする。
>
「……リオン君の匂いがする! 頑張れる、私、あと十万年は戦える気がする!!」
ナナミの瞳がキラキラ(あるいはギラギラ)と輝き始めた。
#### 4. 初任務完遂:同郷転生者の救出
この圧倒的な「神の暴力(加護)」により、第二艦隊は一気に瘴気の星へと突入した。
そこで彼らが見つけたのは、崩壊するドームの中で民を守っていた、日本出身の転生者――自称・ネットニュースライターの**ヒナタ**であった。
「助けに来たぞ。……リオン殿の代わりに、我ら『慈愛の翼』がな」
カイザーが『慈愛の結晶砲』を星の地表に向けて発射する。
**パァァァァァァァァンッ!!!**
着弾した瞬間、星を覆っていた瘴気はピンク色の桜吹雪へと変換され、襲いかかっていた魔物たちは、一瞬で「腹を見せて転がる子犬」へと浄化された。
「……え、何この……宗教画みたいな救出劇……?」
呆然とするヒナタを、ナナミが抱きしめる。
「大丈夫、もう怖くないよ! リオン君の船(箱庭)に繋がるポータルはこっち!」
#### 5. 絆のポータルと、深淵へのバトン
第二艦隊は、ヒナタと数万の民を収容し、艦内に設置された『絆の門』を起動した。
この門は、リオンのいる『マキナ』とリアルタイムで繋がっており、物資の転送や緊急時の連絡を可能にする。
「提督、ヒナタ殿の収容完了。これより彼女をリオン様の箱庭へ転送します」
「うむ。……リオン殿、聞こえるか。こちらは順調だ。貴殿は安心して、その先の『深淵』を暴いてきてくれ」
ポータルを通じて届いたカイザーの報告に、特異点の奥底にいるリオンは「みんな、ありがとう!」と元気に答えた。
神々の過保護と、かつての敵や仲間たちの奮闘。
リオンの慈愛は、今や彼一人の力ではなく、銀河全体を覆う「救済のネットワーク」へと進化した。
**【第二艦隊・ミッションコンプリート】**
**物語の焦点は再び、深淵の特異点――ヴォイド・ヨルムンガンドと対峙するリオンたちへ!**




