内部の衝撃
「失礼しま〜す。誰かいませんか〜?」
本日6個目の部屋の扉を開ける。しかし誰もいない。
ギロチンが降ってきてから、新しいトラップは発動していない。
それは嬉しいことなのだが、始めの先入観が強すぎて扉を開けるたびに氷柱が飛んでこないかビクビクしている。
そして扉を開けても、どの部屋も全てもぬけの殻なのだ。つまり家具も宝箱も道具も無ければ人もいない。
どの部屋も作られたであろう当初の姿のままなのだ。
1つ目の部屋だけならまだしも、6つ目の部屋を開けても何もなかった。なので俺はこの流れに少し不安を覚えた。
「もしかしてもしかしなくてもずっと部屋が空っぽってことはないよね?」
えっ?マジで?死にかけて何もありませんでしたなんて洒落にならんぞ?ドッキリでした〜っていうプラカード持って出てきた奴を殴り倒すぐらい洒落にならんぞ。
まぁ焦っても仕方ないし?
まだたくさん部屋がある的な?
何回も部屋を開けていればそのうち何か見つかるだろう。
〜〜5分後〜〜
「綺麗な何もない部屋だな。」
〜〜30分後〜〜
「部屋ありすぎじゃない?30個ぐらい扉開けたぞ?」
〜〜1時間後〜〜
「おい1階全部見終わったのに何もないってこれ、激ヤバじゃねーか!?」
トラップが無いのはまぁいいとして、道具も人も丸々無いってそんなことあんの!?魔王城でさえいっぱい物置いてたぜ!?
まぁ無いものはいくら探しても仕方ない……ただただクソ広い城内を無駄に歩かされただけだが、2階、3階にはまだ希望がある。
しかし一つ疑問に思うことがあるんだ。
「階段無いな」
そう、無駄に大きい城には必要不可欠な階段が無いのだ。1階全て探索したのに見つからないのだ。
いや流石に無いことは無いと思うんだ。だって外から見たら余裕で上の階見えたしな。
「となると、何処かに隠しているのか?それこそトラップ見たいに仕掛けを発動させて初めて見つけられるとか……」
もしそうだったらどれだけ厳重な城なのだろうか?
入り口にトラップを仕掛け、1階部分には何も物を置かない。そして階段を隠し、2階には来られないようにする。
でもそこまでされちゃ、人は俄然何が隠してあるのか
気になってしまうんだよな。俺の妄想の中では金銀財宝が山のように積み重なってるぜ。
とりあえず探すために入り口のあるロビー見たいな広間に戻って来た。
「さて、何処かにあるはずなんだが……」
う〜〜ん……やっぱり目ぼしいものは無いよな。
あるとしたら目の前にある綺麗なステンドグラスかな?
入り口の扉を開けてすぐのロビーには綺麗なステンドグラスが飾られている。
雪の結晶を象ったような、すごく綺麗な作りになっているんだが、まぁこれといって怪しい点は無いよなぁ。
「にしても本当に綺麗だよな。日本にもこんな綺麗なもの無かったぞ。願うなら全員で見たかったがな。」
この城の中なら全員呼べそうな気がするんだけどな。
でもこの部屋の温度がどれくらいか分からんからな。俺はスキルのおかげで体感気温バグってるし。
それよりもこのステンドグラス、何の素材で出来てるんだろう?ちょっと触っていいかな?
いやでも、もし触って壊れたりしたら弁償もんだし、あの氷柱が急に飛んでくるかもしれないしなぁ……
まぁいいや。
触っても壊れることはないだろうし、トラップは避けれるだろう。きっと。多分。Maybe。
俺はそのままステンドグラスに近づきそっと触れる。
パリィィィィィィィィン……!
触った瞬間砕け散った。
「………えええええええええええっ!!」
おいマジかよ!?指先触れただけで壊れる作品とかある!?バキバキ詐欺だろこんなもん!!
しかし砕け散ったのにガラスの破片が飛んでこなかった。それどころか壊れて落ちたはずの破片が一つも見当たらない。
そしてステンドグラスが壊れたおかげで、その裏に隠されていたものが露わになった。
「うおっ!?気づいたら目の前に階段が!」
そう、ステンドグラスの先に先程までずっと探していた階段があったのだ。
「なんだ?ステンドグラスがこの階段を守る結界だったってことか?じゃあ今のパリンって音は俺が触ったせいで結界が壊れたのか。」
ほうほうなるほど。
ってことは弁償しなくてもいいということだねワトソン君。
よかったぁぁぁぁぁぁ……!!
正直壊れた瞬間から弁償という二文字が頭にこべりついて離れなかったんだよ!!
魔王であっても弁償は嫌なんだよ!ていうか俺はまだこの世界に金があるかどうかすら知らないんだよ!
ふぅ……、めっちゃ安堵してて忘れかけてたけど階段が見つかったんだよな?
とりあえず階段があるということはまだ上があるというわけで、この探索が無駄じゃなかったということを証明するための何かを見つけるチャンスがあるということだな?
よし行こう!
こっちも忘れかけてたけどトラップもあるからな。
気を抜かずに行こう。階段一歩目から爆発するとかはやめてくれよ?
その後、トラップもなく普通に階段を上る。
そしてそこで目にしたものは……
広い部屋の真ん中に置かれた蓋の空いた棺桶のような入れ物。
いや、たしかに何も無かった城にいきなり棺桶みたいなものがあるのもびっくりしたよ?
しかし俺にはもっと目が離せないものを見つけてしまっている。それは……
棺桶の中で目を瞑っている一人の女性の存在だ。




