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地獄の雪山登頂

天高くそびえる氷の城を見上げ、俺は固まった。



魔界はディ○ニー映画の舞台なのかという疑問と、とんでもないお宝があるんじゃないかという渇望。そしてもしかしたら……




「あの中にフローリアいるんじゃねえかな…?」




この極冬の冷地のどこかにフローリアはいると言われた。しかし先程までの光景を見る限り、人が住んでそうな場所は多分ここぐらいだろう。



フローリアは雪と氷を創り出せると事前にパンドラ達から聞かされている。



だからもしかしたらフローリアもありのままの姿を見せるために歌いながら城を作ったのかもしれない。



……歌いながらは違うか。




「とにかくここでぼーっとしててもしょうがない。目ぼしい場所は全て探していかないとな。」




でも単身で城に入って行くのって怖いよな〜。

だって何が出てくるのか分かったもんじゃないもんな。


絶対とんでもないモンスター出てくる予感がプンプンするよ。魔王城に攻め込んでくる勇者ってきっとこんな気持ちなんだろうな。




「でもまずは入り口まで山を登らないといけないんだよな。」




城は大きいからか、地上からでもよく見えるが俺の目の前にそびえ立つ山はもっとデカイ。


この山はきっとブリザードを抜けた時、その場で飛び上がって見て1番大きいと思った山であろう。


雲ひとつ無いというのに下から見上げても頂上が全く見えない。



地球上で1番大きな山がエベレストで8,848メートルだったが、この山はもっとデカイだろう。


軽くエベレストの2倍ほどはあるあると思う。2万メートルは超えているんじゃないかな?




そして、あの城は山の中腹にあるわけで……




1万メートルほど登山をしないといけないというわけだ。



一体何の嫌がらせだろうか?神様は俺のことが嫌いなのだろうか?



ただただ絶望である。地獄に蜘蛛の糸を垂らし、人が登ったところでぶった切るという鬼畜の所業だろう。



そんなに登るのが嫌なら飛んでいけばいいんじゃないかと思った方も多いだろう。残念ながら飛んでは辿り着けないのだ。



理由はひとつ、山には乱気流が発生しており空からは迎えない。


ちょうど山の入り口から頂上まで囲い込むかのように発生している。こいつのおかげで昇り龍が俺ごと地面に叩き落とされたと言っても過言では無い。ミキサーにかけられたかと思った。



現に空を飛んでいる鳥のようなモンスターが山に近づき、ぐるんぐるん回って明後日の方向にぶっ飛ばされた。


俺らもさっきあんな感じだったのかな?にしても地面に叩きつけるはないだろう。



というわけでズルせず自力で城まで登っていくしかない。まぁ、山のどこまで続いているか分からない頂上を目指せと言われてないだけまだマシか。



ここで滞留してうじうじしてても仕方がない。

動かなければ物語は始まらないのだ。




……めっちゃかっこつけて言っているけど、内心はめちゃくちゃ面倒くさいからね?いきなり1万メートル登山してくださいなんて言われたら、俺は主催者をぶん殴って畑に頭から突き刺すと思う。




「はぁ〜〜……、でも怪しさMAXだからな……。ここで動かなきゃずっとモヤモヤしそうだし……」




葛藤から30分、俺はようやく重い腰を持ち上げ動き出した。



いや、もしこれでフローリアはおろかモンスターやアイテムすらなかった場合、俺は年甲斐もなく号泣し山から転げ落ちると思う。



頼むから何かあってくれよ?魔王直々に向かうんだぜ?何かしら存在していてくれよ?




そして俺は山の入り口に向けて歩き出した。








〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜








「全然つかねぇ……!」



どれくらい登っただろうか?富士山よりは高く登ったはずだ。しかし一向に着く気配がねぇ……!



さっきから舗装されていないデコボコ道と雪、それとちょっとした岩山ばかり。



それに城に近づいている筈なのに全然辿り着く気がしない。



マジで大丈夫か。実は俺の希望が見せた幻覚とか言うなよ?俺その場から転げ落ちちゃうぜ?



そしてさっきからモンスターすらいない。これはもしかしたらもしかしちゃうんじゃないのか?




「マジで頼むぞ……!ここまできてもぬけの殻でしたなんて洒落にならんからな……!それと遠い!どんだけ歩かないと行けないんだ!!」




マジで歩くのもういいって!45°ほどある斜面をもう十分って言っていいほど歩いたぞ…!



しかもまた一面真っ白だし……!このセリフここに来た時にも言ったんだよ!同じセリフを何回も言わせるな!



だがいくら文句を言っても返事が返ってくるわけでもなく、ひたすら歩き続けるのだった。










ザフザフ……


ザフザフザフザフ……


ザフザフザフザフザフザフ……





「………………」






ザフザフザフザフザフザフザフザフ……


ザフザフザフザフザフザフザフザフザフザフ……


ザフザフザフザフザフザフザフザフザフザフザフザフザフザフザフザフザフザフザフザフザフザフザフザフザフザフザフザフザフザフザフザフザフザフザフ……











「……だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!もう嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」







歩いても歩いても目的地に近づいてる気配すらない!それとザフザフいう足音を聞きすぎてザフザフがゲシュタルト崩壊起こしてんだよ!!助けてくれよ偉い人!!




その場で上を見上げるが城は依然と遠いまま。

それはもう地上から眺めていたぐらいの遠さで……



「……ん?」




こんなに登ったのに距離が縮まってない?

いや、それはおかしい。俺はかなり登った筈だ。にもかかわらず距離が縮まっていない。





これはもしかしたら……





「特殊な環境か何かのスキルか?」





俺がその変化に気づいた瞬間、今まで晴れていた景色が一変し、俺の周囲を霧のようなものが包み込んだ。





「うわっ!?なんだこれ!?」







そのまま霧を払おうと必死に手を動かす。

すると取り囲んでいた霧が次第に晴れてくる。





霧が晴れるとそこには………






遥か彼方にあったはずの氷の城がいつのまにか()()()にそびえ立っていた。





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