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「払います。」
その言葉ににっこりと微笑んでやるとソファの背に軽く身を預けた。全身の力が抜けるように項垂れている権現坂は、二度と逆らわないだろう。
「懸命なご判断です。」
カバンを掴むと立ち上がり、権現坂を見下ろす。少々痛めすぎてしまったが後悔はしていない。これも仕事の内だ。未だ顔を上げない権現坂をそのままにし、ドアノブに手をかけると、あ。と態とらしく声を出す。振り返らなくても肩を震わせているのが手に取るように分かる。
「確か、御社は末締めの翌二十日払い、でしたよね?」
扉を開けると一歩前に踏み出す。ひらりと手を振るとにこやかに笑ってみせた。
「楽しみにしています。」
足取り軽く、カウンターへ戻ると、社長室とうってかわって活気がある。チラリと左手首に付けている時計を見る。一時間も経っていない。野中がこちらに気がついて近づいて来ようとしたが会釈のみをして重いガラス戸を開けた。振り返り、権現坂不動産の看板をチラリと見てからその場を後にした。
やることは山積みだ。源に任せている報告書のチェックが一番骨が折れそうだ。それに、今回の始末書も書かなければいけない。公務員もなかなか辛い。軽く肩を鳴らしながら、高く登った太陽を見た。
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