表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
願いが叶った女  作者: 花梨
43/56

№42

あれから一日おきにお茶会があり、私は嫌気がさしていた。


殿下は毎回参加はしないのでその分、気が楽なんだけど、

それでもこの女の戦いにはついていけない…。

殿下参加の時でも最近ではオールデンとライナスが不参加の時も増えた。

二人が居ないとちょっぴり残念なんだよね。

だってその分、座る位置が微妙に違ってくるからさ…。


そしてもう一つ私を戸惑わせているのが……、

殿下参加のお茶会が終わって部屋に戻ると毎回のように届けられている贈り物。

お茶会の間はまったく会話もしない、目すら合わすこともないのに…。

こんな私に気など使わなくてもいいと言いたい。

もっと楽しく会話が弾んだ姫様とかお姉様達に気を使えばいいのに…。

皇太子妃候補としての仕事をきちんと頑張ってる方々に敬意を表して欲しい。

まったくその気がない私には勿体無いと思ってしまう。


だから最近では、皆に平等に贈られていると思うことにした。

但し、皆には聞けない…。



毎回贈られてくるのが…

レーズンパイだったから……。



あいつ意地悪するにもほどがある…。しつこいぞと言いたい。

忘れようと思っても、これが届くからどうしても思い出してしまうじゃないの…。


レーズンパイには罪はないけど……。

うん、実際美味しいし、大好き。


何も考えないで良いなら、とっても嬉しい贈り物なんだよね…。



だから今日のお茶会も少しだけ憂鬱。今日は殿下参加の日。

朝からテンション低い。

ダラダラとお風呂に入り、ダラダラとしていた。



「ユリア様、今日は王妃様よりドレスが届いております。

これを着てお茶会に参加してくださいね。」


サラが大きな箱を手ににこやかに笑っている。

バルバラとローレンの目がキラキラしている。

うん、王妃様の贈り物だから、興味があるのね、気持ちはわかる。


でも…、出てきたのはとっても地味な色合いのドレスだった。

物凄く地味、おばあさんでも嫌がるかもしれない程の色だった。


しかし、地味でもデザインは超プリティー、このギャップは何?

と言いたい、ゴスロリってこの世界には無いと思うけど…そんな感じ…。

しかーーーし、黒無地の生地ではなく、濃紺に暗い茶色とか黒・灰色とか混じった、

おっさんのような色の生地なんだよね…。


やめてくれと言いたいよ…。何でお茶会にこれを着て行かなくちゃいけないのよ…。

あの意地悪そうな姫様達にターゲットにされそうだし……。


私は聞いてしまった、グリンス様のすっごく素敵な大きな花柄のドレスを見て、

『なんて下品な柄』とか『庶民出身?』とかあからさまに言っていたのを…、

それに対してグリンス様は、

『おーほほ、これを着こなすには私のように綺麗でなくては無理ですわね』

と、高らかに聞こえるように言ってた、見ていてスカーッてしたのよね…。


この地味なジジイのようなドレスを着こなす自分って…嫌だ…。

そんなの自慢にもならないし…。

言い返す言葉も浮かんでこないんだけど…。


それでも時間は無常にも過ぎていき…私はこのドレスを着て、

サラとバルバラと二人を伴ってお茶会へとやってきた。


既にビビる私、サラに背筋を伸ばして顔を上げてと小声で言われてしまった。


ほらね……、もう視線が痛いし……。

うわぁ…、お姉様方も引いてるよね…。




「ユリア……、今日雰囲気違わない?」


グリンス様…、はい、仰る通りです…。


「初めて見たわ…、この手のドレス……。」


アイラ様…、そうでしょうね…。私もそう思いますから…。


「祖母でも、もっと派手でしたわ…。」


ガートルード様…、あなたが一番きついです…。



ほら…聞こえてきました…。陰口とは到底言えない大きな声の陰口が…。



「どこの婆やが混じってるかと思いましたわ。」


うん、面白い座布団一枚あげるよ。


「あの生地を見つけてくるのが大変そうですわね、地味すぎてっ、アハハハ。」


うん、わかる。同感だよ。


「ドレスを買うお金がないのかしら? 可哀想ですわね。」


それは違う、私こう見えてドレスは人一倍持ってるしっ。お金はないけど…。


「異世界人のセンスって…、理解に苦しみますわ…。」


どっちかと言うとあんた達のセンスを疑うよ。私の世界はもっとハイセンスよ。

思った通りの言葉だけど、意外と平気な自分に驚いたよね。余裕だし…。



余裕とか思った私がバカだった……。

一気に形勢逆転モード……、こんなオチがあったとは……。



『 王妃様の、バカーーーーーーーッ 』と心の中で叫んだ。



颯爽と登場した皇太子、その姿にその場に居た一同は言葉を失くした。

皇太子もその異変に気づいたのか、歩きながら眉を寄せ、皆を見ている。


そして、ある一点を見た時、流石の皇太子も驚いたのか一瞬だけ動きが止まった。

でもそこは機転の利く彼、誰にもばれないように涼しげな顔でやってきた。



やられた…、嫌これは、嵌められたが正しい気がする……。

どっから見ても、お揃いだし…、殿下と……。


この超地味な生地は……、男性用だったんですねっ。


私の今までの苦労が無駄になる…、なるべく接点なく過ごしてきたのに……。

女の戦いど真ん中に出された気分だし……。



これからどうなる私………。

生きた屍の気分……。



アーメン。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ