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願いが叶った女  作者: 花梨
15/56

№14

今日は私にとって大切な日らしい。

朝からその為の準備に追われていた。

数日前から何回も聞かされた話、また、サラに聞かされている。


「ユリア様、後見人とは、この世界での新しい家族になる方です。その方を選ぶのはユリア様ご本人、妥協などなさらずに真剣にお考えになってください。」


「でも…、時間も与えられずに……、第一印象のみなんでしょ?」


「それが一番大事なのですよ。お三方も同じ条件です。他の異世界のご令嬢と被っても簡単に諦めないでください。」


サラが言いたい事もわかる。でも正直私にはあまり興味がない事だった。

家族と言われてもピンとこない。

私の家族は日本に居る。新しい家族なんかいらない…。


「皇太子妃となられたのなら、殿下がユリア様の家族になられます、それが一番安心なのですが…、そうならなかった場合…、後見人の方が…あなたの家族となり支えとなるのです…。」


「はい…。わかってます…。」


現実は…厳しい……。

私が皇太子妃になるのはありえない。絶対なりたくないっ。

新しい家族か………。


そうこうしているうちに、時間が来てしまった。



案内された場所、ちょっと小ぶりな体育館くらいはある豪華な部屋だった。

広くて落ち着かない。この世界は本当に何でも大きい…。

私意外の異世界のお姉さん達も全員揃っていた。

見事に着飾った二人の美女と落ち着いた品の良いドレスを着ている学者さん。

皇太子との対面以来だった。

そして、会場の椅子に既に座っている四人の男性。

きっとこの人たちが後見人になる人達なんだろうと思った。

あまりじろじろ見たら失礼になると思い、視線をなるべく向けないようにしていた。

そんな時、会場の人達がにわかにざわめく、王族登場かな?


うわーーーー、雅なオーラを放っている。

初めて王様見たけど、やっぱオーラは半端なかった。

異世界から息子の嫁を拉致まがいの事をして連れてくる鬼畜な事をやった王、

会う前から悪いイメージで固まっていたけど

まったく違って、優しい顔ってこんな顔なのかと言うくらいに穏やかだった。

でも…、見た目には騙されないもんねっ。

こんな優しそうな顔をしながら、裏では悪巧みしてそうだし…。

あの時の皇太子の胡散臭い笑顔貼り付けを見てなかったら、

うっかり騙されちゃいそうだけど、はっはっ今の私は違う。



王の登場に皆一同に膝をつく為に立ち上がった時、王が手でそれを制した。



「異世界人の令嬢達よ、憂いなく過ごしていると聞いている。

この世界に慣れようと努力する姿、聞き及び嬉しく思う。

今日の事は聞いていると思うが ここにいる四人は私が人選した者達だ。

そなた達を大事な家族として受けていれてくれる。

よく考えて家族を選んでほしい。」



へーー、よく考えてって言ってるわりには、この場で決めなくちゃならないじゃん。

言ってる事とやってる事が違うんじゃないの?。

だいたい、全てが横暴なんだよね。

まあそれが王族ってものなのかもしれないけどさ…。



宰相って人が、簡潔に説明をしてくれた。

本当に簡単過ぎるじゃん……。


一番年とってる人が、オードノギュー公爵。ずっと眉間に皺寄せてるし…。


煌びやかな衣装でいかにも貴族って感じの人が、バグウェル公爵。

ずーと笑顔だし…。疲れないのかな?


まるんとして、テッカテカの顔の人が、ダベンポート公爵。

いかにも私腹肥やしてますって感じでやだな…。金持ちそうだけど…。


一人だけ軍服着ているのが、マクダーモット公爵。不精髭?わざと?

なんだか、よれよれな感じがする……。



んんーー…、悩む…。まじで選べない……。

一番まともそうなのは、あの貴族って感じのバグウェル公爵。

だけど…、…なんか気持ち悪いんだよね…。ずーと笑ってるし…。

まるまるは論外。見た目で判断しちゃ駄目だってのはわかるけど…

生理的にイヤなんだもん…。

あとは…、怖そうなお祖父ちゃんと…、薄汚れた軍服さん…。



私が一人で悩みに悩んでいるときに、突然静かな場に響く声



「マクダーモット公爵、私を家族にしてください。」



皆の視線がその声の主へと集まっていく。

凛とした姿勢の異世界人は、まっすぐにマクダーモット公爵を見ていた。



うわっ、学者さんっ、よれよれ軍人さんを選んだっ。

驚いてる私を置き去りにするように、また一人家族を選ぶ声がした。

グリンスさんだ…。


「バグウェル公爵、末永く宜しくお願いいたしますわ。」


その声の後、すぐにまた…。


「あの…ダベンポート公爵、宜しくお願い致します…。」


うぁぁ、出遅れちゃったよ……。

残るは私と、怖そうなお祖父さんのみ…。

あのお祖父さん、名前…なんだっけ…。

見つめあう私とお祖父さん…。

うぅ、何か言わなくちゃ…。名前…、思え出せないっ。



「須藤ゆりあと申します。宜しくお願い致します。」



身体がこれ以上曲がらないほどお礼をしている私…。名前…言えなかった…。

お礼した身体をゆっくりと戻し、お祖父さんを見たら、

私に向かって頷いてくれた。

たったそれだけなんだけど…、なんだかとても嬉しい…。

その後も私はそのお祖父さんから目が離せなくてずっと見ていた。



「ユリア様…、あの…、皆様既にテーブルにて歓談されてます。」


ん? うわっ、やってしまったっ。

周りを確認すると、選んだ後見人の方達と一緒に話している姿を目にした。


「サラさん…。私……、すみません…。」 


「ユリア様、大丈夫ですよ。さあオードノギュー公爵の所へ…。」



私がお祖父さんの所へ行くと、宰相って人が王様達の退出を告げた。

お祖父さんが王様の方を向いて膝を付いている。

気になってチラッと周りを確認したら、お姉さん達は足を後ろに引いて中腰…。

あれだ…、サラさんから特訓を受けた苦痛のポーズ…。

やらないわけにはいかないので…頑張りました…。



「新しい家族と共に、仲良く過ごす事を願っている。

この世界に慣れぬ令嬢達の事、この私からも宜しく頼む。」



「「「 御意 」」」



おおー、声が揃った。凄いっ。でも…早く立ち去ってくれ限界だっ。

なんて事を考えていた不謹慎な私、だって…驚く光景を見てしまったから…。

着飾ったお姉さんが王様達が立ち去った方を見て涙を流していた。

あれは…グリンスさん…。

これは私の勝手な憶測なんだけど、この人はたぶん、

絶対王政の世界から来たのかもしれない。

さっきの王様の言葉は…、確かに私も嬉しかった…。

泣くほどではなかったけど……。




「これから、宜しくお願いします。」


「うむ」


沈黙


「何か…困っている事はないか?」


「ないです。」


沈黙


今、お祖父さんと向かい合ってるけど…。

会話が弾まない…。どうしよ……。


沈黙に困っている私に、お祖父さんが突然私に頭を下げた。

意味がわからない私は、どうしていいのかわからない。


「頭を上げてください。」


懇願する私。


「すまなかった…。」


え? お祖父さん…?


「許してくれ……。」


…………。


「辛かったな……。」


気づいたら…ぽろぽろ涙を流していた…。


「もう大丈夫だ…。」


返事をしなくちゃと思うけど…できない…。


「今まで…よく頑張ったな…。」


あぁ…、この人で良かった……。


「あ…りがとう…ござい…ます…。」


途切れ途切れになりながら必死で言葉にした…。

今…伝えないと駄目だと思ったから…。


「うむ。」


短い返事が返ってきた。でもそれがとても嬉しかった。

会ったばかりなのに、お祖父さんらしいなって思ったから…。



私に家族ができました。

顔は怖いけど、とっても優しい人です。








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