【SS】勧誘エリアの裏側で
「こ、これからはもう、人を傷つけるようなことは言わないから……」
楓さんは顔を真っ赤にして、佐藤くんを見つめている。
「あの、この部活のパンフレットをいただけますか?この宣伝ブースを担当している方~」
「こ、この……こ、この……いい……ですよ」
「今、今すぐ……お、お渡しします……」
「あの、お名前を伺ってもいいですか?」
「こ、この……私は黄 美咲と申します。初めまして……どうぞよろしくお願いします……」
「黄 美咲さん、どうしてそんなに緊張しているんですか?」
楓さんは黄 美咲さんを見つめながら、何かを思い出したように眉を少しひそめた。
「楓さん、どうしたんですか?」
「えっとね……」
楓さんは赤い顔のまま私を見ると、慌てて両手で顔を覆った。
「ごめんなさい、ちょっと昔のことを思い出してしまって」
これ以上追及するのは、楓さんのプライバシーに踏み込むことになるから、私もこれ以上は聞けない。
「じゃあ、聞かないでおくよ……」
楓さんは恥ずかしそうな表情を隠し、真剣な顔に戻った。
「そ、そうね……」
楓さんは私に目を向ける。
「佐藤くんは、どの部活に入るつもりなの?」
「えっと……僕はACG部に入るつもりだよ。楓さんと同じ……」
「そう……」
楓さんの瞳に、ほんの少しの嬉しさと興奮、そして期待の光が宿った。
「ふふっ、佐藤くんはこの文化に詳しいんだよね?私にこの文化の面白さを教えてくれないかな~」
「えっと、まあいいけど……」
「楓さんは今までこういう文化にあまり触れてこなかったから、きっと新鮮な体験になると思うけど、大丈夫?」
楓さんは嬉しそうに私を見つめる。
「えっと……大丈夫だよ。受け入れられるよ」
「じゃあ、一緒に……」
「えっ?」
楓さんは何か衝撃的なことでも聞いたかのように、目を丸くした。
「一緒にパンフレットをもらいに行こうよ、楓さん!」
楓さんは少し眉をひそめた。
「え、えっと、もちろんいいけど……」
佐藤くんは相変わらず天然だこと~
こんなに可愛い女の子がアプローチしているのに、まったく気が付かないなんて。この鈍感さは、見ていて少しイライラしてしまうわ。
本日はACG部新歓の裏側を描いたミニ劇場をお届けします。
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