遅刻寸前の朝 ~道で芽吹さんと~
新学期の朝は、いつも慌ただしい。
時間と追いかけっこをしながら学校へ向かう道中で、風と自転車、そして不意に出会う誰か。それらが、私たちの日常のスタートを飾る。
妹と過ごす穏やかな朝と夕べ。クラスメイトと少しずつ打ち解けていく過程。そして、これから先の未来に対する、漠然とした期待と不安。
これは、高校一年生の少年少女たちによる、何気ないけれど、どこかキラキラと輝く物語。
晴れ渡った朝。
「お兄ちゃん、起きなきゃ。今日は新学期の初日だよ、学校に行かなきゃ」
「おはよう、妹」
私は眠そうな目をこすりながら、目を開けた。
妹は学校から支給された淡いブルーの制服を着ている。その制服はきちんと手入れされていて清潔感があり、妹をより一層可愛らしく、そして青春の息吹を感じさせるものにしていた。
これが私の妹——佐藤千夏だ。
「お兄ちゃん、これ以上起きないと、学校に遅刻するよ」
「なんだって!」
私は慌てて起き上がると、机の上からスマホを取り出し、画面の時刻を確認した。
「えっ、もう8時過ぎてるじゃん!」
私は急いでベッドから飛び降りる。
「お兄ちゃん、着替えは準備しておいたよ。お兄ちゃんの枕元に置いてあるよ」
「妹の準備が完璧すぎて、お兄ちゃん恥ずかしくなっちゃうよ」
「いいのよ。お兄ちゃんに着替えを準備するのは、千夏の名誉だから」
私は急いで枕元の服を取り、手際よく着替えた。
「お兄ちゃんはもう学校に行かなきゃ、時間も遅いし。千夏も早く学校へ行きなさい、遅刻しちゃダメよ」
「千夏、わかった。お兄ちゃんも早く学校へ行ってね」
「うん、わかったよ」
「じゃあ、また夜ね、ちなつ」
「いってらっしゃい、お兄ちゃん」
私は机の横からカバンを取り出すと、階段を駆け下り、玄関へと駆け出した。
玄関に停めてあった自転車を車道へ押し出すと、ペダルを力強く漕ぎ出す。まるで電車を漕いでいるような感覚で自転車を走らせる。
前の路地から、見慣れた姿が現れた。その姿は学校指定のJK制服に身を包み、上は純白のブラウス、下は青と白のチェックのスカートを履いている。
あれは芽吹さんじゃないか?
「芽吹さん、おはよう」
「あ、澪人くん、おはよう」
「芽吹さん、今日はなんでこんなに遅いんだよ?」
そう尋ねながら、私はてっきり適当に濁されるか、答えてもらえないだろうと覚悟していた。しかし、芽吹さんの返事は私の予想を裏切るものだった。
「えっとね…昨日、勉強の復習をしすぎて寝るのが遅くなっちゃって。寝不足で、今朝は起きるのが遅くなっちゃったの」
そんなに単純な理由だったのか。てっきりもっと複雑な事情かと思っていたのに。
芽吹さんは、私がしばらく黙り込んでいるのを見て、少し不思議そうにしている。
「佐藤くん…佐藤くん?」
私は考え事から我に返り、慌てて返事をする。
「芽吹さん、そんなに勉強頑張ってたら、将来きっといい大学に受かるよ」
芽吹さんは何か言いたそうに口を開いたが、急いでいるせいか自転車のスピードが速く、耳には風の音だけが響いている。その中で、かすかに数語だけが聞こえた。
「佐藤くん、ありがとう」
「芽吹さんは、将来どこの大学を目指してるの?」
「えっとね、私はまだ1年生だし、志望校はまだ決めてないの」
たしかに、1年生の芽吹さんにこの質問は少し早すぎたか。
「佐藤くん、着いたよ」
「えっ?」
私はまだ芽吹さんにいろいろ聞きたいことがあったのに。
芽吹さんとの他愛のない会話に夢中になっているうちに、いつの間にか学校の門前に到着していた。
そんなに時間が経った気はしなかったのに、もう学校に着いてしまったなんて。
私は芽吹さんと一緒に、急いで自転車を駐輪場に停める。
それから急いで校舎へ向かい、なんとか最終の1分を切って、1年B組の教室に滑り込んだ。
「セーフ、間に合ったよ。芽吹さん、急ごう」
「佐藤くん、先にどうぞ」
私は息を切らしており、それ以上考える余裕もなかった。そのまま1年B組の教室へと足を踏み入れた。
私は急いで腰をかがめ、自分の席へと急ぎ足で向かう。
「佐藤くん、どうして遅刻したの?」
窓際の席に座っているのは、青い髪をした女の子だ。彼女は1年生の後期に他の学校から転校してきた子で、私たちはその学期に知り合った。
そんな彼女が、私に問いかけてくる。
「楓さん、これがまあ…言うのが長くなるんだ」
本日ご訪問いただいた新規の読者の皆さん、ありがとうございます!
これは超甘々なキャンパスラブコメです。この先、甘妹の直球アプローチがどんどんエスカレートしていきますのでお楽しみに(笑)。
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