表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
70/112

第70話 魔法学園へいこう

 魔導大図書館__。


 それはブルンネンが誇る、世界最大の知識の保管庫である。


 館内には、ブルンネンで積み重ねられてきた膨大な研究資料が保管されている。魔法理論、魔法薬、精霊研究__。数百年にも及ぶ叡智が、果ての見えない書架へ収められているのだ。それだけではない。歴史、魔物、生態系、他種族文化に至るまで、ありとあらゆる世界中の知識が集められていると言われている。


 天井へ届くほど高い書棚。

 迷宮のように続く通路。

 一日では到底回り切れないほど広大な空間。

 そこは図書館というより、〝知識の泉〟と呼ぶべき場所だった。



 ラットは、その多くの情報が集まる魔導大図書館にいきたいと告げる。


「調べたいことってなんだよ?」


 ラットはアリエスを見る。


「ちょっとこの先の冒険で必要になりそうなことがあるんだ」


「そうなのか? じゃあ、みんなでいってみるか!」


「それが膨大な情報の中から探すことになるし、言語も違うだろうから調べるのに魔具ルーリックが必要になるんだよ。だけど、その魔具が結構貴重で一つしかなくて……」


 言い淀む。つまりは一人で探すしかないということだ。


「調べものするのに魔具が必要なのか? 言語が違うってだけなら時間はかかるだろうけどできるだろ?」


「その時間が問題なんだよ。魔導大図書館って情報量がものすごくて。おそらく魔具を使わないと数カ月単位でかかると思うんだ」


「まじかよ。それが魔具があれば変わるってのか?」


 ラットは鞄に手を入れ、魔具を取り出す。


「これは〝リディアスレンズ〟っていう魔具だよ」



 __リディアスレンズ

 文献などを数十倍以上の速度で読解できるようになる魔具。

 魔具に込められた身体能力強化や感覚強化で、

 視覚や思考能力、集中力などを活性化させている。


 この魔具による強化は、最適化されているため、

 一日中使用しても強化薬とは違い、肉体への悪影響はほとんど存在しない。

 また文献に記載されている言語においてもある程度翻訳してくれるため、

 調査する際にかなり重宝されている。



「へぇ~、そんなものがあるのか」


「……どれくらいかかるの?」


 魔具を使ったとして、どれくらいの時間を要するのかミルも気になるようだ。


「膨大な情報の中から探すことになるから、探す量を絞ったとしても、だいたい一週間くらいになる思う」


 ラットは伝える。


「それじゃあ、あと一週間はみんなといられるんですね!」


 ポニが笑っている間、アリエスも腕を組み、何かを考えている。

 そして、提案した。


「ねぇ、もしラットが調べている間、手が空くっていうんだったら……。魔法学園で講義を受けてみない?」


「講義……?」


 突然の聞きなれない言葉にリオンは疑問を隠せなかった。


「ミルは魔機師まきしなんでしょ? 最新の技術とかも学べるから、きっとこれからの魔導機械アーティファクトの開発にも役に立つと思うの」


「講義受けるって……そんなことできるのか? 完全に部外者だろ?」


「私、元学生で魔法学園へのツテもあるのよ。なんなら今、その人の元でお世話になってるからね。いくつかの講義を受けるだけなら体験ってことで都合つけてもらえるわよ」


「そうなのか! ま~、できるのはわかったけど、なんでそんなことしてくれるんだよ? まだ知り合ったばかりだろ?」


「それはちょっと下心があるからよ!」


 アリエスははっきりと言い放った。


魔導機械人形ギアノイドって魔導科学の到達点の一つなの。だから、ミルのことをちゃんと調べさせてほしいのよ。そうすれば、研究も一気に進むだろうし、学園としてはメリットが大きいわけ」


 狙いはミルというわけだ。


「なんだったら。ラットは調べものがあるって話だけど、他の全員を一時的な学生として迎えることもできると思うわよ」


「……わたしは何をすればいいの?」


「能力テストだったり、解析魔法による解析とかかな。分解したりとかはしないから安心して」


「つまりは最新技術の情報交換って感じだね」


「どちらにとってもメリットはあるってことか」


「……」


 アリエスの言葉を聞いたミルは、黙ったままだった。


「ミル、迷ってるの?」


「わたし……ラットの手伝い、できる…………。だけど、講義も……」


 ミルは魔導機械人形だ。魔導大図書館で調べるために、〝リディアスレンズ〟と同等の機能を身に着けているということらしい。だが、講義を受け、魔導科学の技術を得るのも、この先の冒険では役に立つだろう。


「ミルの目的は〝感情を手に入れること〟だから、ミルの目的を優先していいんだよ」


 ラットは迷うことなく答えた。


「冒険のために知識を深めてくれるのは嬉しいけど、それよりもミルの目的を考えたら学園での生活は刺激になると思う」


「ラット……」


 ミルはさらに少し考える。そして……


「……いく」


 アリエスへと向き直り宣言し、魔法学園へいくことを決めた。


「決まりね!!」


 それから五人は会話をし、これからの方針を検討する。


 ミルに加えて、ポニも魔法学園へいくことになった。

 リオンは、魔法学園へいき魔法についての理解を深めるよりも、魔導大図書館へいって、少しでも鍛冶について学びたいということで、ラットについていくこととなった。



 それから魔導大図書館へとたどり着いたラットとリオンは話していた。


「すごいな……」


 天井へ届くほど高い書棚にリオンは絶句している。


「確かにこれだけの量があるなら、数カ月単位で時間がかかるってのも納得だぜ。っていうか一週間でいけるのか……これ…………」


 魔具を利用したとしても数十倍の早さだ。これだけの量があるなら、数十倍でも足りないだろう。


「ま~、魔具だけなら一週間じゃ厳しいと思う。だから、これを使う……」


「強化薬か……つまり、魔具を使用した上でさらに強化しようってことか。それかなり負担がかかるんじゃないのか?」


 リオンはフルーテンでかなり無茶な強化薬の使い方をした。その影響はわかっている。


「まあね……。実はみんなに心配かけたくなかったから、一人で調べようって思ったのもあったんだよ」


「しょうがないな。みんなには黙っててやるよ。それが必要なんだろ?」


 リオンは理解しているからこそ、ラットを止めなかった。


「俺にも強化薬くれよ」


「強化薬を使用しても、魔具がないと厳しいよ」


「わかってるよ。それができるなら、全員でやればいいもんな」


「だったら……」


「資料を探すくらいならできるだろ? ラットは読むことに集中しろよ。そうすれば、少しくらいは負担が減るだろ?」


「リオン……」


 リオンは笑った。


「助かるよ!」


 リオンが資料を探し、ラットがそれを読むことになる。


「それで。何について調べるつもりなんだ? アリエスを見て言葉を濁していたってことは、勇者さん関係……フルーテンで起こったことや魔族絡みなんだろ」


「そこまで気がついてたんだね」


「なんだかんだ付き合い長くなってきてるからな」


 リオンは鼻を擦り、照れている。


「調べておきたかったのはイオーネが使っていた力についてだよ」


 ラットは考えていた。

 その力がどういったものなのかと。


 その力は二つの国の王都を支配しかけていた。

 しかも、それだけではない。


 魅了はロックを仲間たちと敵対させ、

 肉体を自在に変化させる力は、エレすらも追い込むほどだった。

 これは勇者パーティの持つ〝加護〟と同等以上の力ということになる。


 それほどの力、大精霊や神様の力しか知らない。

 しかし、それはありえないだろう。


 イオーネは魔族と協力関係にあるだろうことは判明している。

 であれば、イオーネ自身も魔族である可能性が高い。


 魔族であるなら、その力はどういうものなのか?

 種族として持ち得る力なのか?

 外部から与えられた力なのか?


 そもそも自在に姿を変えられる以上、魔族でない可能性も考慮する必要がある。

 力の所在によっては、さらなる対策が必要となるため、その力の正体をラットは把握しておきたかった。


 それほどの大きな力なら、伝承や歴史にでている可能性が高いだろう。

 他にも手がかりを掴めるかもしれない。


「ラットが調べたいことはわかったぜ。俺はそれについて資料を探してくればいいんだな!」


「そうだね」


「じゃあ、手始めになにからいく?」


「まずは一番有力な魔族固有の力について調べていこうか? イオーネ自身が特別に強い力をもってるだけっていうのがわかれば、それで終わりだしね」


「わかった。じゃあ、いってくるぜ!!」


「最初は僕も行くよ。まだ手元に資料ないしね」


 こうして二人の調査ははじまった。



 一方で、アリエス、ミル、ポニの三人は魔法学園へと足を運んでいた。


 街の中央にそびえる巨大な建造物__。


「大きいですね」


 ポニは圧倒されていた。


「最初は驚くわよね。私もそうだったもの」


 遠目に見えていたそれはほんの一部だったと理解する。

 周囲に並ぶ校舎は一つの町と見間違えるほどに広がっていた。


「ここにわたしたちが通うことになるんですね……」


 そして、門の前に立っただけで、そこが特別な場所なのだと理解できる。


「魔導大図書館だけじゃないのよ」


 隣でアリエスがどこか誇らしげに胸を張る。


「この街は魔法学園だって世界一なんだから」


 先陣を切り、歩き出す。


「二人とも入るわよ!」


 ここが世界最高峰の学び舎、魔法学園である。



 三人はその門をくぐっていった____



※このあとがきはキャラ同士の雑談コーナーです。本編には関係ありませんので、気軽に読み飛ばしていただいて大丈夫です。



ラットです。


リオンだ!


たまたま立ち寄った食事処だったけど、いい人と巡り合えてよかったね。


そうだな。

さすがに、見知らぬ土地でポニを一人にはできないし。


同じ女性で、しかも風の国出身。

面倒見もよさそうだし、安心できるよね。


あと、あの強かさ。

ラットも見習っとけよ。


見習う?


ラットとミルな。

おまえら、商売では結構苦労してたんだろ?


う、うん。


でも、アリエスさんは絶対やり手だぜ。

俺たちと話してた時の交渉、見ただろ?


交渉?


……気づいてなかったのか。


え?


魔法鞄マジックバッグ魔導機械人形ギアノイドだよ。

自然に情報引き出してただろ?


あ……

まあ、隠してるものでもないし……


そういうところだぜ。

本来、技術ってのは簡単に見せるもんじゃないんだ。


なるほど……


あいつは、相手を見て、ここまでは踏み込めるって判断してたんだよ。

もし悪人だったら、危なかったんじゃないか?


それは……気をつけないとね。


まあ、アリエスさんはそういうのなさそうだけどな。

俺もちょっと伝手作っとくか。

魔法屋なら客を紹介してもらえるかもしれないし。


それも商売なんだね。


職人だけじゃ食っていけないからな~。


次回は、ミルの秘密に迫ります。


よろしくな!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ