4-2 Fランク冒険者、勇者と戦う 2
0-0 Sランク冒険者、勇者パーティーから追放される
というタイトルで、リンネがどのように追放されたのかがわかる前日譚を投稿しています。
ぜひ、読んでみてください。
「殺すつもりだったんだが、運がいいやつだな」
神々しく輝いている剣を持って、勇者は恐ろしいことを言ってきた。
(殺すつもりだったのかよ! というか、俺相手に聖剣を使うな!)
心の中で悪態を吐きつつ、デュアルポーションを飲み干した。
(体力と魔力を回復してくれるデュアルポーションを使ってしまった。次、まともに攻撃を食らったらまずいな)
残っているポーションを確認する。
魔力を回復するマジックポーションが三本。
体力を回復するポーションが一本。
状況は非常によくない。
安易に近づけば聖剣に餌食で、時間をかけ過ぎれば魔力が空になって、どのみち負ける。
(どうにかして、勇者の防御を掻い潜らないと!)
俺が振るった刃は間違いなく、首に直撃していた。
だが、『何か』に遮られてしまった。
魔法では無さそうだが、どう対処するか……。
あまり使いたくはないが、最悪『あれ』を使うしかないな。
「もう攻撃は終わりか? クズ勇者」
「口だけは達者だな。俺に傷一つつけられない雑魚のくせに」
動き出したのは同時だった。
しかし、動く速度がまるで違う。
俺には勇者の姿が見えていない。
動きを追うことができてないのだ。
(でも……)
俺は『危機感知』で殺気を感じ取り、迫り来ているであろう聖剣に対して、防御の構えを取った。
だが、俺の貧弱な防御力では聖剣の攻撃は防げないし、剣で防御しようものなら、必ず壊れてしまう。
なら、俺が取れる行動は二つだけしかない。
(まず一つ――、回避すること)
幸いなことに、聖剣の光だけは見えている。
その光の軌道を先読みして、最小の動きで避ける。
その人間離れした技は、『明鏡止水』によって高められた圧倒的な集中力があってこそだ。
あと、恐怖を感じないこと。
(そして、二つ目――聖剣の攻撃を滑らせる)
正直、こちらの方が難易度が高い。
まず、『魔力付与』で、剣に薄い魔力の膜を作る。
そして、その膜の上を滑らせるようにして、聖剣の軌道を僅かに逸らすのだ。
単純に避けるだけじゃなく、剣の扱いがなっていなければ、必ず失敗する芸当だ。
『剣術』スキルを持たない俺だが、幼い頃から英雄を夢見て、剣を振ってきた。
その努力は決して、俺を裏切らない。
結果として、何とか攻撃を凌ぐことができている。
ただ、無傷というわけにはいかないな。
僅かに聖剣によるかすり傷ができている。
(だが、とりあえずはこれで大丈夫だ。あとは、どうやって勇者に攻撃を食らわせるか、だな)
俺はそれを考えながら、勇者の攻撃を避ける。
「なぜだ! なぜ、攻撃が当たらない!」
訂正してあげよう。攻撃は当たっている。
「凄い。本当に凄いわ、アーク」
リンネさんが、俺を褒めてくれている。
それは、とても嬉しいが、今は反応できない。
(なにせ、勇者の攻撃が雑になっている今がチャンスだからだ)
俺は避けやすくなった勇者の攻撃から、少しばかり意識を離して、ポーチの中に手を突っ込む。
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追記。いつか、必ずここに帰ってきます。だから、待っていてください。




