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シナリオは崩壊しました。自由に生きてもいいですよね?  作者: 雪結び
エルフの里で家族旅行です!
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転生者、多すぎませんか?

 おはようございます!

 今日は鳥の声で目が覚めました、って言ったら聞こえはいいんだけどね。

 鳥の皆さん、元気が良すぎるんですよ。叩き起こされた気分。ちなみに時刻は朝六時。


「おはようございます」


 着替えと、髪を梳かしてリビングに行くと、そこではジュリ姉様が朝食を作っていた。

 クリス兄様は新聞の様な物を読んでいる。


「おはよう」


「おはよう、早起きね〜

 朝ごはん、食べる?」


「はい、いただきます!」


 アデラは鳥の声から逃げるように、布団に埋もれていて、シャロ姉さんと母様はもういなかった。

 ジュリ姉様に聞くと、二人は洗濯物を手伝っているらしい。いいお嫁さんだ。


 朝食は、トーストにブルーベリーのジャムを塗ったもの、それからサラダだった。


「………美味しい!」


 ジャムはみずみずしくて、果肉が大きくて食べ応えがある。

 サラダはシャキシャキしていて、とても新鮮なようだ。


「ふふ、良かった

 実はね、此処で取れたものなのよ」


 おお、自給自足。

 新鮮なわけだ。


 味わっていると、アデラが目を擦りながら起きてきた。


「おはようございます」


 朝は弱いのかな?

 女子会ではそうでもなかったけど……。私が寝坊してたしな。


「おはよう

 アデラちゃんもご飯、食べる?」


「いただきます」


 私の隣の椅子に座り、トーストを黙々と食べるアデラ。

 ジャムを味わうと、目を輝かせていた。美味しいね〜。


「そう言えば、ガザードさんのところにお泊まりに行くんだったかしら

 いつ出るの?」


「十時集合なので、その少し前に」


「そう

 ケーキを焼いたから、皆で食べてね」


「わあ!

 ありがとうございます!」


 ジュリ姉様が包んでいるのは、ケーキと言ってもショートケーキのような物じゃない。

 パウンドケーキの方ね。ブルーベリーがちょこっと見えた。美味しそう……。

 私は甘党です。チョコに限らず、甘い物は大体好き。フルーツ系の甘さから、クリーム系の甘さまで。


 丁度朝ごはんを食べ終わった頃、リビングにシャル兄さんが現れた。


「おはようございます」


「おはよう」


 シャル兄さんは運動してきたんだって。

 前世の引きこもりで運動神経が微妙な私からしたら信じられない。偉大です。

 今世はトワの補正のおかげで元はいいと思うんだけどね。自分からやろうとは思わないかなぁ。


「お疲れ様です

 父様は?」


「エドワード様は、朝早くに起きて、森に行きました

 研究やら薬草やらと仰っていたので、いつも通りかと」


 ああ、父様は山籠りならぬ森籠りかぁ。

 まあ、場所の違いだけだよね。よく試験管や謎の草片手に動き回ってるし。


「エステラ様、アデリナ様

 よろしければ、髪を括りましょうか?」


 私はともかく、アデラは寝起きのままなんだよね。

 私も軽く梳かしただけなんだけど。


「じゃあ、お願いしてもいい?」


「私もお願いします」


 いつもはおろしてるかハーフアップだけど、動きやすいのがいいなぁ。

 そう言うと、兄さんは手際よく括ってくれた。見えないけど、アデラも褒めてくれたし大丈夫だろう。

 ジュリ姉様に言って鏡を貸してもらうと、高い位置でポニーテールにしてあった。初めてだけど、こういうのもいいね。

 ちなみにアデラもお揃い。やったね!


 着替えなり持ち物確認なりしていると、あっという間に時間になってしまった。

 ジュリ姉様からブルーベリーケーキをもらって、いざ、出発!


 待ち合わせ場所は、里の中心にある噴水。

 アリスの家は行ったけど、正確な場所は覚えてないしね。

 私たちの方が早く来たみたいで、噴水の側にはアリスはいなかった。


 待ち遠しくて、ついうろうろしてしまう。


「姉様、落ち着いてください」


 アデラにも笑われてしまった。

 周りの人にも微笑ましいな、的な目で見られてたのは気のせいだよね?


「おはよう

 遅れてごめんね」


 と、アリスが走ってきた。

 おはよう、大丈夫だよ〜、と挨拶もして、アリスについていく。


「実はね、友達も呼んでるんだ〜」


「え、そうなの?」


「何方ですか?」


「会ってのお楽しみ」


 気になるじゃないか。

 友達?エルフか精霊様だよね。

 あ、そうだ。トワにアリスが転生した理由聞いとかないと。


「ようこそお越し下さいました」


 アリスの家に着くと、ガザードさんが出迎えてくれた。

 里長の仕事は、この家を本拠地にするみたい。

 前里長の屋敷は、里の行事で再利用することになった。


「お邪魔します」


「お招きいただき、ありがとうございます」


「入って、入って」


 アリスに背中を押され、二階に上がる。

 そして一番奥の扉を開け、入っていく。


「よ」


「お初にお目にかかりますわ」


 その中にいたのは、長髪に黒いベールを上げた少年と、縦ロールのお嬢様だった。

 …………やっぱり?


「初めまして」


「グレースさんと、スカーレットさんですか?」


「そうだぜ」


「そうですわ」


 ですよね。

 まあ、予想はしてた。


 ちなみに、グレースさんは灰色の髪の腰まで伸ばしていて、瞳は黒。胡座をかいてるけど、一応乙女ゲーのキャラがそれでいいの?

 スカーレットさんは、赤い縦ロールの髪に、オレンジの瞳。猫目っぽいのが可愛い。


「アリス、友達だったの?

 前話した時はそんな素振りはなかったけど」


「三日で友達になったよ」


 コミュ力高い!眩しいよ……。

 パッと自己紹介をして、話し始める。


「えっと、二人は何処まで知ってるの?」


「全部かな〜

 転生者らしいよ」


「は!?」


 いやいやいや、こんなに転生者集めて、何がしたかったの?トワを小一時間ほど問い詰めたい。


「えっと、俺が元中二

 このゲームは妹にやらされた

 謎の占い師キャラとかウケるw」


 人格百八十度変わってない!?

 ゲームでは無口のもやしっ子だったのに!


「あたしは元高一

 ヤンデレ?過激派?ないないない

 平和が一番でしょ

 乙女ゲーはやってないけど、友達に力説されたから大筋は覚えてる」


 うん、まあ、それは同意。平和主義が一番だよね。

 っていうか、皆、素と演技が離れすぎな気が……。私とアデラは殆ど素だしなぁ。


「アデラ、トワ呼んでいい?」


「私も叫びたい気分です

 ぜひ呼んでください」


 よし、アデラから許可はもらった。


「イズ」


『ん、どうしたの?』


「「うわっ!?」」


 二人は驚いてるけど、放置。

 アリスは愛子だから慣れてるのかな?その辺もちょっと気になる。


「トワを呼んでくれる?」


『了解

 強制呼び出し?』


「いや、できたらでいいよ」


 神様を顎で使ってるみたいじゃん。

 ………結構便利に使ってる自覚はあるけど。


 数秒後、部屋の角が光って、トワが現れた。はやっ。


「どうしたの?」


 私は三人を指差す。


「なんで転生させたの?」


 ちなみに、三人は首を傾げている。

 現状についていけてないかな。


 トワは三人をじっと見ると、納得したように頷いた。


「その子は、精霊が愛子が欲しいって言うから、丁度死んじゃった綺麗な魂を入れたの

 その子は、エルフの占い師が少なくなってきたから増やしたけど、記憶が消えてなかったのは失敗

 その子は、未来予知で見たら人間の王家を断絶させてたから、救済措置として魂を変えたの」


 あ、一応理由はあったんだ?

 でも、固まりすぎじゃない?


「他にも転生者いるの?」


「いるよ。けど、記憶は残ってないと思う

 固まってるのは、お姉ちゃんが引き寄せたから

 皆、記憶を持ってるのは、お姉ちゃんが転生する時に魔力を暴走させたのもあるかも」


 え、そんな事になってたの!?


「あの後、数日は後処理に追われてた」


「ごめんなさい」


 正直に頭を下げておこう。


 三人を見ると、ポカンとしていた。

 あ、神様普通に姿を見せて良かったのかな……?

 …………いや、リンネ神の時を考えると今更か。


「こちら、神様のトワ

 皆さんを転生させた張本人」


「「「は!?」」」


 混乱中ですね、わかります。

 脳内整理に数分間。


「も、申し遅れました

 スカーレット・ヒースと申します!」


「えっと、グレース・ヨークです」


「アリス・ガザードと申します」


 綺麗な九十度の礼。そこはカーテシーじゃないんだね。日本魂が………。


「畏まらなくていいよ

 私はただの代理人

 本当だったら中級神くらいじゃないかな」


「「あり得ません!!」」


 怒られながらもちゃっかり仕事こなしてるのに、どの口が言う!

 スキュリバ神も、トワに戻ってからは褒めてたしね。リンネ神の振りをする度に、何か感じてたのかも。


「前世にしがらみがあったなら、ごめんなさい

 でも、今から記憶を消すことも、違う世界に行くこともできないの」


「構いません」


「………え?」


 あれ、そんなに意外?

 この世界に生きて、五、六年も経ってたら、整理もつくよね。

 戻れないことを実感して、最初は怖かったかもしれないけど、だんだんこの世を楽しもうって思えるようになる。

 心に余裕ができるようになる。


「私は今の人生を楽しんでいますから!」


 グレースとアリスも笑顔で頷いている。


「そっか…………よかった

 ————あ、私はそろそろ戻るね

 ルカとお茶の約束してるから」


「急に呼んでごめんね。どうしても気になって

 それから関係、良くなったのかな?」


「お見通し?」


 私が尋ねると、トワは首を傾げて悪戯っぽく笑う。

 やっぱり、妹は尊いよね。可愛い。愛でたい。


「そうでもないよ

 じゃあ、ありがとう。バイバイ」


「また今度」


「バイバイ」


 手を振ると、また光に包まれて消えていった。

 ラリマーもありがとね。頭を撫でると、笑って姿を消していった。


「姉様、関係がなんとかって?」


「ん?トワとルカ、和解したみたいだね、って」


「どうして分かったんですか?」


「ルーカス呼びからルカになってたから」


「………そういえば、確かにそうですね

 妬けますか?」


「全然」


「………道は遠いですね」


 アデラは苦笑する。

 私たちの会話に、三人は首を傾げるばかりだった。

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