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シナリオは崩壊しました。自由に生きてもいいですよね?  作者: 雪結び
エルフの里で家族旅行です!
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二人目のヒロインさん

 色々と一段落したところで、父様から呼び出しを受けました。

 全員です。家族会議、と言いますか、お城会議です。

 大事すぎる………生まれてから初めてですよ。


「私は少し、エルフの里へ帰るよ

 長が好き勝手やっている様でね。場合によっては代替わりしなければ

 私は基本研究ばかりやっているので問題ないのだが、ミア、行くんだろう?」


「もちろんよ!

 流石、エド。私のことをよく分かってるわ」


 …………え?

 いやいやいや。一国の王が私情で簡単に国出ちゃっていいの?

 父様も、やれやれじゃないよ。


「というわけで、最近は働き詰めだったし、家族旅行に行くことにした

 一週間以内には帰ってくる」


 あ、私たちも行くんですね?

 仕事とかはどうするの?


「それから、一応世話役としてシャルロッテとシャルルは来てもらう」


「「はい」」


「仕事は………アリサ、アーク、ライラ、サイシア

 済まないが、頼む」


「「「「了解しました」」」」


 うお、申し訳ございません、皆さん。


「ジェード、お願いできる?」


『ん?

 …………分かった』


 ジェードは苦笑しながら了承してくれた。

 助かります!


「サチャ

 不正を暴いてきてくれますか?」


『承知した』


 便利に使ってる感じですみません!

 今度魔力いっぱいあげるからね!


「他の使用人達は、手が開いたらそれぞれの補佐に回ってほしい

 客人は通さなくていい

 もし、信頼できるに見合う人物が急ぎと言っている場合は、場所も伝えて構わない」


「『了解しました』」


 皆さん、出来る方々ですからねぇ。

 時間のある日に労いに行かねば………。


「ステラ、アデラ

 準備をしてくれ

 出来次第出発する」


「「………はい?」」


今日かよ!!

 父様、計画はお早めに!

 急すぎます!


「シャルルも、自分の準備をお願いします!」


「私は大丈夫です

 何があっても大丈夫な様に、荷物はいつも纏めてあります」


 そんなもしもまで想定するのか。

 私も空間庫増やして最低限の生活用品は揃えておこうかな。

 …………あ、空間庫を部屋として使えばいいんじゃ?一からできるし、理想のお部屋に……よし、今度やろう。


「じゃあ手伝ってもらえますか?」


「もちろんです」


 シャル兄さんも例に漏れず有能。

 何がいるかな?

 最低限の移住食は問題ないんだけど……。

 まあ、服は普通に持っていこう。空間には非常用と変装セットしかないから。

 後………暇つぶし……ゲーム持ってるしなぁ。本かな?

 食べ物………は用意してもらえるよね?もしもの時は買えばいいし。

 後は………。


「あれ、荷物って必要なものあります?」


「エステラ様、身分的には第一王女殿下ですので、流石にそれは問題が

 大体必要なものは纏めましたので、後は失くしたくないもの、肌身離さず持っておきたいものなどで大丈夫ですよ」


 度々ありがとうございます。

 そうだなぁ。アクセサリー(防具)類は持っておくとして。

 う〜ん…………ない!


「大丈夫、かな

 特にありません」


 本当に大事なものは金庫ならぬ空間に入れてるから。

 本気に魔法でガッチガチにしてあるから、アデラでも取れない。母様は………うん、無理。

 私レベルで母様と一対一(たいまん)張れるわけないよね。

 ウィル様との対戦?何言ってるの?私に都合のいい条件+情報+初見+運っていう奇跡が起きただけだよ。


「では、皆様もそろそろ準備ができたでしょうし、急ぎましょう」


「あ、は〜い!」


 シャル兄さんと一緒に玄関へ早歩き。走るのは自重しました。

 玄関には、もう皆が集まっていた。


「留守は任せた」


「よろしくね」


「「行ってきます!」」


 バタバタだけど、さあ、エルフの里へ出発です!



 転移で移動したものの、流石に天使スタイルでは目立つので、人目のないところへ。

 元々エルフの里は見つけにくい山奥などに多く、自然と共存している。

 しかも魔法が得意で転移魔法では行けない様になっているので、私たちが着いたのは森の中だった。

 そこからは、流石に木があって飛べないので身体強化+ダッシュで暫く。


 そして今。

 着きました、エルフの里!

 なんだろう、木でできた古民家?って言うのかな。

 小さくてアットホーム感のある暖かいお家がたくさん。

 エルフさんも数人います。


 エルフの皆さんの様子は、皆友好的。

 笑顔だったり、驚いていたりはあるものの、嫌な顔なんかは一切なし。

 むしろ、泣いて喜んでいる人までいる。

 ………そんなに長が酷かったのか。

 そういえば、アベルもそんな事言ってたかな?


 あ、忘れがちだけど、私には一応エルフの血も入ってるんですよ。

 ただ、金髪緑眼だったり、耳が尖ってたりはしない。………色彩的にはアデラがそうか。でもアデラも耳は尖ってないよ。

 エルフの要素?…………血と魔法、かな。それ以外?知らん。


 人間の要素は、血以外ないかな。

 人外要素が九割九分九厘。後の一厘が人要素。

 ………私の何処が人なんだろう。自分で思った。…………いや、思考とかはまだ、人間的な、はず……?


 閑話休題。


 エルフの里、ね。

 父様の故郷だし、貿易も多少はしてるから、最低限の知識はある。

・長は任命式。前里長が任命する。もし任命できなかった場合は選挙。

・長以外は同じ立場。身分制度はない。

・幾つかに別れた里が存在する。数は不明。一つを見つけるだけでも困難。

 とかが一例かな。

 でも、そんなに問題を起こす人を父様が任命するとは思えない。


「父様、元里長は何故その地位に就けたのですか?」


「その前までは真面目な男だった

 ………まあ、疑ってはいたがな。最初からきな臭かった

 私は選挙で里長の地位についたのだが、あいつは前里長——今で言うと前々里長か。彼の推薦状を偽造したんだ

 もちろん疑いはしたが、明確な証拠は出てこなかった

 しかし、今は不正の山を作り上げた


 …………断罪でも始めようか」


 ひっ。父様の黒い笑み(目は絶対零度)が!!

 ………まあ、慣れた今では「父様ったらお茶目だなぁ☆」くらいにしか思わないけどね。

 いや〜、生き生きしてますよ。


 ちなみに。まず、父様は笑顔で心を抉ってきます。

 次に、相手に希望を持たせて、そこからどん底に落とします。上げて落とすは基本ですよね?

 最後に、相手が一番嫌がることをします。………あ、殺人なんかはしませんよ?

 例えば、押収、差し押さえ、借金取りなどから、脅し、大切な人が酷い目にあっている映像などの偽造、拷問などと、多岐に渡ります。

 ん?なんで知ってるか?……………経験談です。


 私の場合は、一度、勝手に空を飛んで迷子になった時。

 まず、私の黒歴史の披露・オンパレード!それから嫌な図星をついてきます。

 そして、一度褒めたり許す素振りを見せて上げ、更に自分の過去の失敗などを話され落とされます。

 最後に。この時は…………愛読書を取り上げられました。流石に捨てたりはしてないと思いますけど、あれからあの本は見ませんね。


「あ、父様

 これもお願いします」


 そういえば。

 この前、エルフの里との取引書類の計算が明らかに可笑しかったんだよね。

 うん、これは舐められてるなぁ、って。

 コピー(希少魔法)を取って問題点を全部洗い出して送り返してやったけど。

 その数数十枚。頭脳(ブレーン)組は随分と無能な様で。


「………対応は?」


「全契約破棄です

 別にそこまで重要な取引場所ではありませんでしたし、自給率がそもそも高いので問題ありませんでした

 ライラやシャルルにも確認したので問題はないかと思ったのですが………」


 父様の故郷じゃなかったら殴り込みに行ってました。全契約破棄で許したんですから、感謝して欲しいですよね。


「ああ、大丈夫だ

 よくやった」


 そう言って父様は頭を撫でてくれた。

 そこで、いつの間にか姿を消していたアデラが戻ってきた。

 ………私も隠密系鍛えないと。次の母様の試験が諜報なんだよね。


「父様、調査取ってきました

 満場一致で長は変更。あちらでも証拠を集めてくれていたそうです

 それから、次期長候補は八割がガザードさんと」


「分かった

 ありがとう」


 父様はアデラの頭を撫でる。

 いや〜、アデラ、有能です。………ハッ。私、できない子だ。アデラに教えてもらおう。


「よし、行くぞ」


 父様が先陣を斬って歩き出す。

 道の真ん中は開けられていて、そこを一直線に歩く。

 私も真っ直ぐ前を向く。一応王女だし。父様の娘だし。あんまり身分を無視した行動はね。また舐められるから。


 正面には、一際大きな古民家。

 あぁ、これは………贅沢してるな。潤ってても、税収だろう。民の生活が思っていたよりもずっと悪い。幾ら時代や世界が違うとは言っても、これは酷すぎる。

 荒んだ店。見るからに貧しそうな民。

 畑だって、森と共存してるエルフなら充分に作物が取れるはずなのに、荒れ果てている。


 父様は、大きな古民家に行く前に一つの家に立ち寄った。

 そして扉をノックし、声をかけると、少ししてから男性の声が聞こえてきた。


「はい、どちら様で…………!?

 エドワード様!どうぞいらっしゃいましたっ!!」


 それは、もう。言い表し難いほどに顔を綻ばせ、その男性は扉を開ける。

 父様、大人気。もしくは、現長大不人気。………どっちもだろうなぁ。


 父様に続いて中へお邪魔すると、一人の少女が顔を出した。

 ………かっわいい。正統派の美少女だ。年齢は、アデラと同じくらいかな?

 ピンク色の髪に透き通った水色の瞳をしている。


「お父さん、お客様?」


 声も可愛い。

 癒し系ボイス、って言うの?

 アニメとかに出てきそう。


『……姉様、覚えてますか?』


『え、何を?』


 アデラからの唐突な通信。


『あの子は多分———』


「初めまして、アリス・ガザードです

 お父さんがお世話になっています」


 そうしてぺこりと頭を下げた少女は、私たちを見て顔を引きつらせた。すぐに取り繕ったけど。

 ちょっと待って。アリス・ガザード………アリス・ガザード………。


『ゲームのヒロインです』


『それだっ!!』


 声に出さなかった私を褒めて欲しい。

 っていうか、顔を引きつらせた、って、十中八九転生者だよね!?


「父様、母様、この方と少しお話してもよろしいですか?」


 こんな状況で!?ってことだけど、父様も母様も、私が理由もなしにこんな事を言うとは思っていない。

 それを察して、アデラと一緒に三人で話させてくれる事になった。


{初めまして、エステラ・ウーヌスと申します}


 日本語戦法。ボロを出す事もないし、理解できたら確定だからね。


「………やっぱり、転生者の方ですか

 でも、ゲームが違いますよね?

 しかも、何故悪役とヒロインが一緒にいるので————そういう事ですか」


 多分、勘違いしてると思う。

 私だけが転生して、フラグ回避したと思ってるでしょ?


「私も転生者なんですよね〜」


「はいっ!?」


 やっぱり。

 アリスさんは目を見開いた。


「あ、ちなみに

 私は貴女を邪魔するつもりなどはありませんので、攻略でもなんでもご自由にどうぞ」


 この質問には、私の意図をいろいろと詰め込んだ。

 まず、この世界をゲームと思っているのか。

 次に、誰かを攻略するつもりがあるのか。

 そして、これからの行動について。

 多分、全部喋ってくれるだろう。


「ここ、ゲームの世界なんかじゃないと思います

 私は自分の意思を持って行動していますし、皆はNPCなんかじゃないです。生きています

 それから、攻略、でしたか?推しと好きは違うので、そんなつもりはありません

 私は推しキャラとお友達になって、恋をして一生を終えますので、お気遣いなく」


 完璧だ!


「気に入りました!

 アリスさん、私のお友達になってください!」


「はい!?」


 いや〜、だってさ。

 きちんと現実見てるし。

 美少女だし。

 日本仲間だし。

 友達になりたいよね?


「私がお友達になるメリットはありますか?」


「そうですね………

 まず、日本関連で困った事があったら相談に乗れます

 ピンチには必ず駆けつけます

 それから、人間界以外の王様にならお話伝えられますよ

 最後に………ゲームができます!」


「よろしくお願いします!」


 ゲームに食いついたか。

 神様とも知り合いなんだけどな。

 「王<ゲーム」の図式が出来上がった。


 あ、ちなみに、ゲームは苦労して全パターン作ったよ。

 アデラも認めてるから大丈夫だろう。まあ、何回か修正食らったけど。


「じゃあ、敬語じゃなくてもいいかな?

 私のことはアリスでいいよ」


「おっけ、アリス

 私はステラでいいよ」


「アリスさん、私もいいですか?」


「もちろん

 ああ、可愛い………っ!!!」


 アリスはアデラに抱きついた。

 ………私の時と態度違くない?何で?


「私のことはアデラと呼んでください」


「分かった

 ところで、二人とも、どうしてここに?

 あのお二人は天王様達だよね」


「ふふ、少し断罪に」


 にっこり。

 アリスの顔がまた引きつってたけど、ヒロインだからか可愛いという………贔屓だ!


「他の登場人物とは会った?」


「探したから、エルフは全員会ったと思う

 クロエ、スカーレット、アベラール、それからグレースかな

 クロエとアベラールは見ただけだけど………天界にいるんだよね?」


「うん

 スカーレットとグレースっていうのは?」


「え、ゲームプレイしてるんじゃないの?」


「私はしてないよ

 アデラに教えてもらっただけ」


「あ、じゃあシナリオ回避は偶然?」


「だね」


まあ、半分くらいは意識的にやったけど……。いや、そもそもシナリオ通りの行動を取るとかないから。


「二人とも4………人間界が舞台のキャラクター

 スカーレットがハーフエルフの悪役で、グレースがエルフのサポートキャラ」


「なるほど……

 どうだった?」


「スカーレットは………普通の貴族の令嬢だったよ

 そもそも貴族令嬢っていうのは私たち庶民とは相容れないけどね

 でも、貴族としての誇りを持ってて、弱いもの虐めなんかはしない人だと思う

 ゲーム知識を用いるとしたら…………ヤンデレだからなぁ

 自分の婚約者を取られそうにならなければ、注意もしっかりしてくれる常識人だよ


 グレースも、ゲーム通り

 人見知りだか人が苦手だかは知らないけど、ベールで顔の半分を覆ってる謎の占い師

 まだ子供だけど、既に里では有名な占い師だよ

 結構な確率で当たるんだって」


 ふ〜ん、特に問題はないかな。

 スカーレットは気になるけど、私はヤンデレは不治の病だと思ってるしね。

 ヒロインが可笑しなことをしなければ問題ない。

 しかも、もし転生なしだったら、普通自分より上位の貴族の婚約者取ったりしないでしょ

 …………あれ、身分なんだっけ?


「アデラ、4のヒロインの身分を教えて」


「伯爵令嬢だったはずです

 あまりに無謀な身分さなんかはない様になっているので、微妙にリアルなんですよねぇ

 超低確率で、悪役令嬢が仕事しなくて、攻略対象が責任を取って円満に婚約破棄、なんてルートもありましたし」


そんな運ゲーいいの!?

 しかもその悪役令嬢、めっちゃ可哀想な人じゃん!!


「そのリアリティがいいんだよ

 あ、ちなみに、その場合。相手の身分が落ちたりするからメリバって呼ばれてた」


あ〜、うん。納得。

ヒロインは幸せかもしれないけど、プレイヤーからしたら身分も込みで「攻略対象」だもんね。


「ステラ、アデラ、そろそろ行くわよ〜」


っと、母様の声だ。


「あ〜……アリス、魔法使える?」


「これでもエルフだよ?

 で、どうするの?」


「これに魔力流して、これと交換してくれない?」


私が渡したのは、透明な水晶がついた鍵だ。

魔力の持ち主の居場所を特定できる。

 何故鍵型か?アクセサリー系は尽きたんだよ!

 ペンダントにイアリングにブレスレット、それから指輪まで。多種多様すぎない?


「………できたよ、って、うわぁ!」


 アリスは鍵を見て驚いている。

 まあね、水晶が染まっていったし。

 この水晶には、魔力の色——瞳の色が現れる。

 私のは碧色。


「これ、肌身離さず持っててね

 守護魔法もかけておいたから」


「え、あ、うん」


「じゃあ、またね!」


「お邪魔しました

 また会いましょう」


「あ、バイバイ!」


 私たちは、アリスの家を後にした。

 決戦準備を始めよう。

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