終息
その日もいつも通りの朝だった。
いや、まだこの時間ではまだ早朝だろうか。
隣では桜が気持ちよさそうに寝息を立てている。
僕は、桜の寝顔を見てしばらく起きなさそうなのを確認してから、一人研究所へ向かった。
~昨晩~
桜が寝静まった後、僕はまだ眠らずに考え事をしていた。
もし、四匹目のネズミも死んでしまっていたら......桜は耐えられるのだろうか?
ただでさえ大事な家族が死に瀕している精神状態の中、やっと見えた希望さえも潰されてしまったら。
それこそ心が折れてしまうのではないか?
いや、わかってはいる。桜は強い子だ。それでもなお立ち上がり前を向くだろう。
しかし、その以前に一人の女の子でもある。それを決して忘れてはいけないのだと僕は思う。
......誓おう。どんな結果が待っていようと、やれることはやってやると。最後まで醜く足掻いてやると。
ガチャ、と無機質な扉が音を立てる。
僕は部屋に灯りをつけると、恐る恐る水槽へと近づいていった。
一つ目二つ目の水槽では既にネズミが息絶えていた。三つめは生物の繁殖を防ぐために片付けられている。
そして、四つ目。
「生き......てる......」
ネズミは動いていた。
実験を開始する前と全く同じ状態。
(確かこいつは......食べちゃったやつか?)
僕は受話器を手に取ると、この結果を伝えて確認に来るように伝えた。
そこからは早かった。全ては運命のいたずらだったのか、あっという間にこの事件は終息へと向かっていった。
無事、桜のじいさんも完治し後は体力の回復を待つだけだそうだ。
じいさんは退屈なのか毎日わがままを言っては医者を困らせているらしい。
全く、人に心配をかけておいて呑気なものだ。
何はともあれ一件落着ということだろうか。いや、そういうことにしておこう。
......ちなみに、桜を置いて一人で研究所に行ったことは機嫌を損ねたらしく許してもらうのがすごく大変だったのはまた別のお話。




