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1-1 -シル-

どうも、駄天使です。

小説家になろうへの投稿は初めてです。

以前はFC2さんを利用さしていただいていましたが、友達の誘いもあり、こちらで書くことに。

駄文を見せることになると思いますが、お付き合い頂ければ光栄です。


―――いいか、シル、これは魔法の印だ、これがお前をきっと守ってくれる、絶対に手放すんじゃないぞ?―――

―――うん、父さん―――・・・





「シル!起きろ!!」

広い教室に教師の大声が不意に響いた。

「はい!」

シルと呼ばれた生徒はよだれを拭いて顔を起こす。周りからクスクスと小さな笑い声が聞こえてくる。

再び教師の催眠術のような分厚い教科書の朗読が始まった。

まだ眠い目を擦りながら先ほどまで見ていた夢を思い返す。

(懐かしい夢だったなぁ・・・)



程なくして授業の終わりを知らせる鐘が鳴った。教師は読んでいた教科書をパタリと閉じ、号令を掛けた。生徒はばらばらとそれぞれのことを始めていた。

「おーい、シル!」

声を掛けてきたのはシルと同じクラスのラウルだ、魔法や勉強がまったくできないシルとは対照的に、魔法、勉強、さらに運動にも長けている。ルックスも人並み以上なのでいろんな人から人気の高い生徒だ。そんなシルとは似ても似つかない生徒とよくつるんでいるのは、家が近所だったことや、幼いころから今まで何かの縁か、学校やクラスが離れることが無かったのが理由である。もう一つ、大きな理由が、ラウルが頼りないシルに世話を焼いているということだ、シルはあまりいい気分ではないようだが・・・

「次の授業はグラウンドで魔法の練習だってさ」



ラウルは男子としては細く、色白な指をグラウンドのほうに向けた。その情報に対してシルは不機嫌そうな顔で応えた。

「そうかい、落ちこぼれの俺には関係ないなぁ」

やれやれ、といった感じでラウルは掌を上に向けた。

「でも、そろそろ魔法の一つ二つ使えないとまずいんじゃないか?」

立てられた二本の指をシルが掴み関節が曲がるのとは逆の方向に曲げようとする。

「必殺魔法、ゆびぽっきん」

なんだよそれ、と苦笑いしながらもう片方の手でシルの手を解きながら運動場行こう、と誘って手を引いていく。



グラウンドに二人が出るとすでに大体の生徒が揃っていた。

「やる気でねーわ、やっぱ」

シルが猫背になりながら大きなため息をつく横でラウルが「まぁそういわず」とフォローを入れる

「これが終ったら昼ごはんだぞ?」

子供のやる気を出させるような言葉にシルはムッとしながらもしぶしぶ授業を受ける姿勢を見せた。

「わかったわかった、魔法の一つでも覚えとけって言うお前の気持ちはな、でも出来ないもんはできないんだよ、こればっかりはどうしようもないね」

嫌味を言葉いっぱいに込めてシルは反論した。これにはラウルもお手上げらしい。授業はしっかり受けろよ、とラウルは釘をさす。へいへいと適当な返事をするシルを心配そうに見送ると授業の開始をつげる鐘が鳴り響いた。

「さぁ!魔法の授業だ!お前たち、準備はいいな?」

あごひげを蓄えた茶髪の教師が大きな声を出す。茶色いぼさぼさの髪、ごつごつした顔、そして茶色を基調としたその服装、とても魔法を使えるとは思えない、炭鉱などでせっせとつるはしを振っているほうが断然しっくり来る。

そんな先生の指示に従って生徒達はグラウンドに丸い円を書き始めた。この世界での魔法を使うにはいくつかの手順を踏まなければならない。まず、この世界はもう一つの世界、『幻界』と隣り合わせに存在している。幻界ではあらゆる事象が起き、この世界では想像もつかないような生き物が存在している。その幻界とこっちの世界を「魔方陣」というゲートによって一時的に繋げ、力を利用するのである。魔方陣はまず、円を基準に作られる。丸というのは特別な図形で魔法を使うのに失敗しにくくなるとか、そういうことらしい。

魔方陣は複雑化すればするほどその許容量を増す。しかし実際の戦闘でそんなに悠長に魔方陣を書いている暇はまずない、よって、戦闘では簡略な魔方陣のほうが重宝される場合が多い。

陣を描いたらそれに伴った詠唱を行う、陣により通り道を作り、詠唱で呼び出すのだ。

「よし、じゃあ炎魔法の陣を書いてみろ」

教師の声にみなが反応し10メートルほど向こうにある的に向かい詠唱を行う。

『我が名に基き、異界の門をを開く』

生徒達の声に応えるように、地面の魔方陣が光となって浮かび上がり、90度反転する。

単純な炎魔法、ただ一つの火球を呼び出すのに唱える詠唱はごくわずかでいい、大体の生徒が的に命中、もしくは近いところまで行っている。しかし、

「シル・・・またお前か・・・」

何度も聞くその言葉に「はぁ」というため息がおまけでついてきた。

「なぁ、どうしてお前はこの程度の魔法も使えんのだ・・・それではこの国を守ることなぞ到底できんぞ」

最近、この国では争いが増えている、というのも、この国、「ラングドゥシャ」は広大な土地を所持している。しかも大きな運河が数本流れており、気候にも恵まれている。これほど立地に恵まれた国はそうそうないだろう。しかもこの国の領主は平和主義者、争いの発端はいつも他所の国からばかりである。領主は仕方なく自衛のためだけと法に定め、軍を設立した。


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