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第48話:社会現象:「ざまぁ」の逆輸入

2027年2月中旬。


 アニメ第1話の放送から数日が経過しても、世界の熱狂は冷めるどころか、マグマのように地表を侵食し続けていた。


 自室でモニターを見つめる俺の耳には、連日ニュースキャスターが青ざめた顔で「世界各地の宗教施設におけるパニック状態」を報じる声が飛び込んでくる。


 「……よぉ。……昨日だけで、欧州の古都にある教会から『アニメの放送を即座に中止しろ』って抗議文が何万通も届いたらしいな。……一条さん、そちらにはどんなゴミが届いてる?」


 俺が配信のカメラに向かって軽口を叩くと、一条さんの冷静かつ優雅な声が即座に返ってきた。


[一条]:……ええ、大変ですわよ、先生。……『神聖を冒涜する悪魔の所業』だの『即座に放送を凍結し、原作者を異端審問にかけろ』だのと、古臭い羊皮紙に書かれた抗議文が段ボール箱で数十個も届いておりますわ。……すべて、シュレッダーにかけて軍師のサーバーの肥料にしておきましたけれど。


[軍師]:……ああ、受信した抗議メールのデータはすべて解析済みだ。……「異端審問」を申し立ててきた連中のIPアドレスを逆探知し、奴らの公式教義サイトのトップページを『アルベルト様の尊い横顔』に書き換えてやった。……今頃、世界中の聖職者たちが冷や汗を流していることだろう。


[ルナ]:世界中のSNSトレンド上位20個すべてが『せいまも』関連のワードで独占されています。……抗議運動そのものが、一般層にとっては『公式イベント』のように認知されており、反逆者たちの必死な叫びが、結果的に最大の宣伝(ざまぁの素材)となっています。


 画面のコメント欄は、世界中から集まった狂信的なリスナーたちの書き込みで、文字の滝と化していた。


【コメント欄】


::教会がキレてて草

::歴史の教科書に載るレベルの文化侵略でワロタ

:[Niki_from_USA]:The church is crying! Long live Albelto! (教会が泣いてるぞ! アルベルト万歳!)

:[France_Niki]:C'est magnifique. Les prêtres n'ont plus aucun pouvoir. (素晴らしい。神父どもにはもう何の権力もない)

:[ござる]:「ぬおおお! 拙者の店で『ざまぁの逆輸入』特製Tシャツを売り出したら、一瞬で完売したでござるよ!! 世界中から巡礼者が押し寄せて街がパンク寸前でござる!」


 鉄と剣呑、そしてクロエからも次々とチャットが飛んでくる。


【コメント欄】


:[鉄]:……おい、見たか? ネットニュースで『アニメコラボ商品で、LAWSANが海外のオタクに包囲されている』ってやってたぜ。……すげえな、俺たちの描いた地獄が、リアルに地球を動かしてる。


:[剣呑]:ハッ! 暴力と権力でマウント取ってた教会が、アニメのキャラクター一人にビビってやがるの最高に滑稽だな! もっとビビらせてやれ!


:[クロエ]:……抗議している連中、全員アルベルトの足元にも及ばないわね。……彼らがいくら叫ぼうと、私たちの描いた『紫の檻』から逃れることはできないのよ。


 俺は、熱を帯びるコメント欄と円卓のログを眺めながら、深く息を吐き出した。

 画面の向こうで、何百万人もの人間が俺の言葉を待ち、俺の紡ぐ物語の続きに飢えている。

 それは恐怖ではなく、絶対的な「執着」だ。


 「……聞いたか、お前ら。……世界がどんなに正義を叫ぼうが、時代の針はもう俺たちの側に固定されたんだ。……奴らが焦れば焦るほど、俺たちの『ざまぁ』は甘美な蜜に変わる」


 俺はキーボードを叩き、最新話の一節を画面に映し出した。


 『――旧世界の神々よ、お前たちが積み上げた教義の山は、今や俺たちの愛の踏み台にすぎない。……ひざまづけ。……そして、お前らが踏みにじってきた者たちの痛みを、その身をもって味わうがいい』


 その一文が配信画面に表示された瞬間、世界中のチャットが一度静まり返り、そして次の瞬間、地鳴りのような歓声へと変わった。


【コメント欄】


::キターーーーーーーーーー!!

::これだよ、これを待っていた……!!

:[Niki_from_Germany]:The ultimate comeback! (究極の逆転劇だ!)

:[親衛隊長]:……素晴らしいですわ、先生。……さあ、いよいよ次は最終幕。すべての「執着」を焼き付ける時ですわね。


 現実の社会が揺らぎ、日本の街が世界中の巡礼者で埋め尽くされる中、物語はついに、すべての始まりと終わりを告げる「最終局面」へと突入していく。



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