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おっさんは魔法少女で涙目です  作者: まはぷる
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魔法少女☆現場急行中

 飛行機雲を纏わせながら、変幻自在に空を舞う光がふたつ。

 ご存知、魔法少女プリティエリアンは、ラビと共に空を飛び、現場となる国立公園に急行中だった。


「にしても、敵の存在をニュース速報で知るってのもどーよ?」


「日本のTV局は優秀だからね♪ 警察よりも日常の異変には敏感なのさ。あの独自の情報網と身軽なフットワークはあなどれないよね! あと、アキ。そろそろ喋り方には気をつけようね」


「ぐっ!」


 先日の獣使いとの戦闘についても、実は現場に駆けつける以前から撮られていたことが、後の報道でわかっていた。

 どうやら現場の位置から想定し、あらゆる箇所に高機能望遠カメラや集音マイクなどの網を張っていたらしい。


 運よく会話内容までは録られていなかったが、魔法少女の少女らしくない言動が発覚するとなにかと面倒なのは、そういった方面に疎いアキラにも簡単に想像できた。

 アイドルの喫煙や、人気子役の悪態がそれだ。偶像化されたイメージを裏切る行動を取れば、聴衆はあっさりと手の平を返しかねない。


 アキラも、もともと人気取りで魔法少女をやっているのではないにしろ、ただでもメンタルぎりぎりなのに、これで叩かれでもしたら、心折れる自信がある。

 本人が気乗りせず嫌々なのに、誰からも好かれず望まれずに孤独な戦いなんて辛すぎる。それでも人類のため、魔法少女は続けないといけないなんて、もはや苦行だ。


 できるなら、こんな悲惨な運命を背負い込むことになった哀れなおっさんを、周囲だけでも温かく迎えてほしいというのがアキラの本音だった。

 そのためには、不人気を得るような行動はご法度だ。愛されるキャラ作り、そして守っているという実績。応援してくれるファンは大事、だから大切にしよう。それが今後の行動指針である。

 つまり、些細なアラフォー男の矜持など、血の涙を呑んで我慢するしかない。


「わかったよ、ラビ君☆ 今日も平和のために頑張ろうね!」


「その意気だよ、プリティエリアン!」


 望月アキラ36歳男の苦渋の決断であった。



◇◇◇



 眼下に国立公園が見えてきた。

 広大な緑が広がる中、すでに多くの人々が集まってきている。


 自衛隊による立ち入り規制が引かれ、各国の報道陣、並びに近所の野次馬や、魔法少女を応援しようとする観衆で、地上は埋め尽くされている。


 上空から見ると一目瞭然、その規模も丸わかりだ。


「それにしても、皆すごいねー。飛んできた私たちより早く現場に駆けつけるなんて」


「職務傾注とファン心理の賜物なんだろうね、きっと」


 観衆の後方には、出店屋台まで出展されている。すごい行動力だ。


 上空に静止するふたりの傍に、ドローンが並んできたので、プリティエリアンはちょっと苦笑気味に手を振った。


 決定的瞬間を収めたドローン(の操作側)は満足したようで、離れていく。なんだかなぁ。


(とにかく!)


 魔法少女の目的はファンサービスではない。

 頭を切り替えて、地上を探す。


「あー、ホントにいた……」


 テレビで観て知ってはいたが、国立公園の池のほとりの広場に、異様なものが鎮座している。


 いわゆる巨大なカブトムシだった。

 上空100m以上の高さから見下ろしているにもかかわらず、それがカブトムシ(雄)であることがはっきり判別できるほどの馬鹿げた大きさだ。

 遠巻きに周囲を取り囲む、豆粒ほどの大きさにしか見えない人間と比較しても、明らかに比率がおかしい。


 推定全長20m。とても自然発生した変異体とも思えない。

 即座にビジターナイツ絡みだと判断した理由だった。


 戦いの時は来た。



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