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第九十九話:夜明けの海! 奇跡の帰還と鋼鉄の棺!

大坂湾を覆っていた分厚い暗雲が、ゆっくりと引き裂かれていく。

「……終わったのか」

伊達政宗が、熱を持った二丁のハンドガンをガンベルトに収め、濡れた前髪を無造作にかき上げた。

海面には、豊臣メガバンクの象徴であった『オオサカゲリオン』の残骸が、巨大な墓標のように突き刺さっている。

「宗次郎……! 宗次郎ォォッ!!」

綺羅姫が、冷たい防波堤のコンクリートに両膝をつき、海に向かって声を枯らして叫んでいた。その華奢な両手は、すでに繋がらないトランシーバーを白くなるほど強く握りしめている。

「姫様……。あれだけの縮退爆発です。炉心の中心にいた彼が、助かるはずは……」

片倉小十郎が、焦げた木製そろばんを静かに懐にしまいながら、痛ましげに目を伏せた。

伊達成実も巨大な黒船の錨を足元に置き、無言で海面を見つめている。

(いやっす……! 嘘っすよね!?)

カピバラ・タナカは、防波堤の縁から身を乗り出し、短い前足を必死に海へと伸ばしていた。

(あんなに一緒にラーメン食って、プロレス技かけてたじゃないっすか! ここで死ぬなんて、絶対に許さないっすよ!!)

タナカの目から、大粒の涙がポロポロとこぼれ落ちる。

朝日が、水平線の向こうからゆっくりと昇り始めた。

その黄金色の光が、大坂湾の瓦礫を照らし出した、まさにその時である。

ガコンッ……!

静寂の海に、重々しい金属音が響いた。

「……え?」

前田○子が、マイクを両手で握りしめたまま海面を指差す。

海面に浮かぶ、オオサカゲリオンの胸部装甲の残骸。その分厚い鋼鉄のハッチが、内側からゆっくりと押し開けられていく。

そこから姿を現したのは――

絡繰大盾刀『玄武』

どんな熱波も物理攻撃も防ぎ切る、その絶対防御の大盾が、ドーム状に展開されて『鋼鉄の棺』となり、中の人物を爆発から守り抜いていたのだ。

「……まったく。少し、焦げましたね」

玄武の奥から、煤で顔を黒く汚し、服をボロボロにしながらも、不敵な笑みを浮かべた男が立ち上がった。

神堂宗次郎である。

「宗次郎ッ!!!!」

綺羅姫が、ドレスの裾が濡れるのも構わず、防波堤から海へと飛び込んだ。

(すかさず背後で、クリノジが撮影用フィルムワイヤーを射出し、彼女の安全を確保している)

「姫様。お約束通り、影は戻ってまいりました」

宗次郎は、瓦礫の海を泳いで向かってくる綺羅姫を、火傷だらけの両腕でしっかりと受け止めた。

「馬鹿……! 大馬鹿者……!!」

綺羅姫は宗次郎の胸に顔を埋め、子供のように声を上げて泣きじゃくった。宗次郎は痛む腕をわずかに動かし、彼女の背中を優しく撫でる。

「へっ……。しぶとい野郎だぜ、まったく」

政宗が、涙を誤魔化すようにフッと鼻で笑い、レザージャケットの襟をスッと正した。

「奇跡、いや、完璧な防御の計算でしたね」

小十郎が、安堵の笑みを浮かべて中指で眼鏡の位置を直す。

(……よかったっす! 本当によかったっす!!)

タナカは、クリノジと前田○子の足元で跳ね回りながら、毛皮を涙と鼻水でぐしゃぐしゃにしていた。

(主人公補正バンザイっす! これでやっと、平和な日常に帰れるっすよ!!)

「……これで、メガバンクの狂気は終わった」

政宗が、晴れ渡る大坂の空を見上げる。

秀吉の野望と共に崩壊した大坂城。もはや、伊達コーポレーションの前に立ちはだかる独占企業は存在しない。

「奥州へ帰るぞ。俺たちの新しいビジネスは、これからだ」

政宗の力強い号令に、一行は深く頷いた。

しかし、宗次郎だけは、綺羅姫の肩を抱きながら、昇る朝日……いや、さらにその向こうの「遥か遠い異国」を静かに見つめていた。

全100話の物語。

長きに渡った戦国ビジネスバトル&ワンパターングルメ旅は、いよいよ次なる「最終話」へと、その幕を引こうとしていた。

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