第九十五話:【特別編】作者崩壊! 終わらない執筆地獄と愚痴の祭典!
――オオサカゲリオンが立ち上がった、絶望の大坂城。
……から遠く離れた、札幌の某所にある薄暗い仕事部屋。
「あああああああああああああああッ!!!! もう嫌だ! 書きたくねぇぇぇッ!!」
パソコンのモニターを前に、一人の男(作者)が頭を抱えて絶叫していた。
その傍らで、コーヒーの入ったマグカップを持ったクリノジ(アシスタント兼ディレクター設定)が、深々とため息をついた。
「先生、落ち着いてください。オオサカゲリオンが立ち上がって、宗次郎が巨神に立ち向かうという最高の引きで終わってるんですよ。読者がクライマックスを待ってます」
「読者ァ!? いねぇよそんなもん!!」
作者がパイプ椅子を蹴り飛ばして立ち上がった。
「なんとなく『100話書いたら面白そうかなぁ』と思ってノリで書き始めたけど、これただの『修行』じゃねぇか! 毎日毎日、ワンパターンの展開と戦いながら文字数埋めるだけの苦行だよ!」
「まぁ、ご当地グルメとプロレス技縛りは、ご自身で設定した首輪ですが……」
「だいたいな! 俺が本気で命削って連載してる『バグ俺』とか『サイフアー』の方が絶対面白いし、人気あるんだよ! なのに、俺が全く興味なくて適当に書いたファンタジー小説がなぜか読まれるって、どういう現象だよ!? 読者のアルゴリズムどうなってんだよ! 意味わかんねぇ!!」
「世の中、そういうこともありますって。狙いすぎない方がウケるというか……」
「そもそも俺はなぁ!」
作者はクリノジの胸ぐらを掴んで揺さぶった。
「硬派で、渋くて、まともな『侍もの』をやりたかったはずなんだよ!! なんで気がついたら大阪城が人型決戦兵器に変形してんだよ! なんでディレクターのお前がホバーボード乗ってチタン製のカチンコで無双してんだよ! なんでカピバラがメタなツッコミ入れてんだよ!! どうしてこうなったぁぁッ!?」
「……先生が深夜のテンションで、ノリと勢いだけでキーボードを叩き続けた結果では?」
「うるせぇぇッ! 小説だけじゃない、本業の仕事も限界なんだよ!」
作者はモニターに映った「第九十六話(未記入)」のワードファイルを睨みつけながら吠える。
「なんで俺が、Googleスプレッドシートとかフォームと睨めっこして、シフト管理やら給与計算の自動化やら、サービス記録のデジタル化で頭抱えなきゃいけねぇんだ! スタートアップのコンサルもやること多すぎんだよ! 2026年にもなって、なんで俺が数式組んでエラー吐いてキレてんだ! AIもっと本気出せや!!」
「先生、現実と小説の境界線が完全に崩壊してますよ。深呼吸して……」
「そんで家に帰ったら嫁の目線が冷たいんだよ!!」
作者の愚痴は止まらない。完全にブレーキがぶっ壊れていた。
「『またパソコンの前で変な独り言いいながらキーボード叩いてる』みたいな絶対零度の視線! 嫁さんよォ! こっちはな、血反吐吐きながらプロット考えてんだよ! まぁこの小説に関しては一銭にもなってねぇけどな! 家族のために心と暮らしを総合的に支えてる俺をもっと労わってくれよ!!」
「……あの、先生。もうすぐラストなんですから。泣いても笑ってもあと数話ですよ」
「ラストォ!? 知らねぇよ! どうせそんなに読まれてねぇんだから、オオサカゲリオンはそのまま宇宙にでも飛んでいって、木星あたりで爆発すればいいだろ! もう終わり! 閉店! 侍もの終了!!」
「ダメですって! 宗次郎と綺羅姫のヨーロッパ旅立ちエンドが待ってるじゃないですか!」
「うるせえええええ!! 世間も世間だ! 物価ばっかり上がりやがって! 税金ばっかり取りやがって! 全部豊臣メガバンクの陰謀だろコレ!!」
作者は完全に狂乱状態となり、机の上の資料をばら撒いた。
そして、ふと「画面の向こう」――つまり、この記事を読んでいる読者の方へと真っ直ぐに視線を向け、指をビシッと突きつけた。
「あと、そこのお前!! そう、この謎のワンパターン破綻小説を、ここまで律儀に読んでるお前だよ!!」
作者の目が、血走っていた。
「こんな小説読んでたら、マジで頭悪くなるから今すぐ読むのやめなさい!! なに貴重な時間使ってオオサカゲリオンの変形シーンとか読んでんだよ! この物好きの暇人め! 暴言吐いてやる、馬鹿になるぞ! 時間の無駄だ!!」
「せ、先生!? 読者に暴言吐くのは流石に……!」
「もっとマシなもん読め! 本気で書いてる『バグ俺』を読め!! ああもう疲れた! 俺は寝る!! ラーメン食って寝る!! 閉店だァァァァッ!!!」
バァァァンッ!!
作者がパソコンの電源を強制的に叩き切り、画面はプツンと漆黒に染まった。
(※次回の第九十六話は、今回の作者の悲痛な叫びと暴言を【すべて無かったこと】にして、第九十四話のオオサカゲリオン戦の続きから、何食わぬ顔でシリアス全開の王道バトルを再開いたします。読者の皆様、引き続きよろしくお願いいたします。)




