第六十一話:勘違いの「ひでちゃん」と、きんたま星のセクシーなすれ違い!
――「ひでちゃんって読者のことじゃなくて、淀殿が秀吉を呼ぶ時のあだ名じゃねーか!! 作者、完全に勘違いして読者に媚び売ってたぞ!!」
クリノジが、宇宙船『源内アパッチ』の艦内で前回のメタなミスを大声で糾弾していた。
「キュルルッ……。作者の脳内GPSだけでなく、キャラクター設定の記憶までバグってきたっすね。もうこの旅、終着点が見えないっす」
カピバラ・タナカが短い前足で頭を抱える。
「……気にすることはありません。私たちの旅は、もう地球の常識を捨てたのですから」
スーパー戦国人参(膝まで届く黄金の長髪・眉毛なし)の宗次郎が、無重力で髪をイソギンチャクのように広げながら窓の外を指さした。
アパッチが不時着したのは、宇宙の果てに浮かぶ黄金に輝く双子星……その名も**『きんたま星』**である。
◆◆◆
一行が黄金の球体状のクレーターに降り立つと、そこへ突如、眩い光と共に一人の美女が転送されてきた。
「えっ……!? あなたはまさか……!」
前田○子が目を丸くする。
「ふふっ。初めまして、宇宙の旅人さんたち。私の名前は鬼頭○菜……今は『三○ 悠亜』として活動しているわ」
「な、なんでこんな辺境の星に、現代日本のトップ・セクシー女優が!? しかも旧名で!?」
クリノジがパニックになりながらも、少しデレデレしている。
「あの……私、ずっと聞きたかったんです!」
同じアイドル業界(?)の端くれとして、前田○子が恐る恐る尋ねた。
「どうして、あんな絶頂期に……セクシーな大人の女優さんに転身したんですか!?」
鬼頭○菜(三○ 悠亜)は、フワッと妖艶な笑みを浮かべ、この『きんたま星』の黄金の輝きを背景に、堂々と答えた。
「だって……もともと名字が、『鬼頭』だったから♡」
――シーン。
宇宙空間に、最低な下ネタのダジャレがこだました。
「じゃあね、撮影があるから戻るわ! バイバ〜イ♡」
ポンッ!
美女はそれだけ言い残し、圧倒的なフェロモンと強烈な下ネタだけを置き土産にして、光と共に地球へ帰っていった。
「……何しに来たんですか、あの人」
宗次郎が眉毛のない顔で真顔で突っ込む。
「完全に作者の思いつきのダジャレを言わせるためだけに呼び出されたっすね……。大人の事情って恐ろしいっす」
カピバラ・タナカが戦慄した。
◆◆◆
気を取り直し、一行はきんたま星の名物屋台『玉魂・ゴールデン』へと向かった。
「よく来たな地球人! この星の名物『黄金の大たこ焼き』を食っていきな!」
宇宙人の看板娘、キン・タマコが、バランスボールほどもある巨大で真ん丸な黄金のたこ焼きをひっくり返していた。
「キュルルッ! 完璧な球体っす! 中にはこの星の特産である『宇宙マダコ』が丸ごと入っているっすね! タナカ特製・無重力ブレンド出汁ソースで、外はカリッと、中はトロトロのギャラクシーに仕上げるっすよ!」
カピバラ・タナカが、短い手足で巨大な千枚通しを操り、神速の早業でたこ焼きを焼き上げる。
その熱々の黄金たこ焼きを一口食べた宗次郎の全身から、青白いスパークが弾ける!
「……ッ!! この真ん丸な形状が、熱と旨味を内部に完全密封している! 噛んだ瞬間に溢れ出す宇宙ダシの奔流! 荒れ狂う私の肛門も、この完璧な球体の前では丸く収まるッ!!」
しかし、その丸く収まった平和を、四角い宇宙船がぶち壊した。
「フハハハッ! 丸い形など、輸送時のデッドスペースが多すぎて非効率極まりない!」
【きんたま星の四角四面支店長!キャラクター詳細設定】
◆ 浅野あさの 長政ながまさ
キャラ: 『豊臣メガバンク宇宙物流部門・きんたま星支店長 / キューブ至上主義バンカー』風。
「宇宙の物流はすべて立方体であるべきだ!」と信じる男。顔も体も四角いロボットスーツを着ている。「この星のふざけた丸い名物も、すべてメガバンク特製『超圧縮・四角いたこ焼きブロック』にプレスしてやる!」と豪語する。
愛機(武器): 『絡繰・ギャラクシー・キューブ・プレス』。あらゆる丸いものを、一瞬で真四角に圧縮する恐るべき宇宙重機。
口癖: 「角を立てろ!」「丸く収めるな!」「物流の無駄を省け!」
「浅野……! きんたま星のたこ焼きを四角くするなんて、名前のアイデンティティの崩壊だよ!」
タマコが、巨大な千枚通しを構えて立ちはだかる。
「ヒャハハ! なら俺の『完全四角形・たこ焼きキューブ』と勝負だ! 俺が勝ったら、この星の名前も『ましかく星』に改名してやる!」
「……待つっす。球体が織りなす本当の『旨味の対流』を、俺が教えてやるっすよ」
カピバラ・タナカが前に出た!
「なんだその丸っこいネズミは! 輸送コストの無駄だ! まとめてプレス機で立方体にしてやる!!」
浅野がプレス機を起動させたその時!
前田○子が、セクシー女優の衝撃を振り払うように飛び出した!
「私の丸っこい仲間を四角にしないで!!……タナカのことは嫌いでも、私のことは嫌いにならないでくださいッ!!」
「出たぁぁぁっ! 宇宙の果てでも通常運転の絶対的センター!!」
クリノジが、無重力空間で拍手喝采を送る。
「いくっすよ! タナカ特製・完全球体・黄金の極上ビッグたこ焼きっす!!」
タナカが、芸術的なまでに美しい真ん丸のたこ焼きを完成させる!
一口食べた浅野の四角い顔が、驚きで少し丸くなった。
「……ッ!? な、なんだこの中で旨味が循環する感覚は!? 四角くプレスしただけの俺のキューブには、この『トロトロの対流』がないというのかァァ!?」
浅野は膝から崩れ落ちた。モフモフのカピバラとトップアイドルが、冷徹なキューブ至上主義を打ち砕いたのだ。
「え、ええい! こうなれば物理的にサイコロにしてやる! 潰せ、『絡繰・ギャラクシー・キューブ・プレス』!!」
浅野が叫ぶと、巨大なプレス機が轟音を立てて突進してきた!
「……やれやれ。タナカさんの美しい球体を潰すのは、美学に反しますね」
宗次郎が立ち上がる。膝まである長い髪が無重力で広がり、眉毛のない顔が鋭く浅野を睨みつける!
「行きますよ……。スーパー戦国人参の、丸く収まらないパワー!」
宗次郎は、迫り来る巨大プレス機に対し、クレーターの斜面を滑るように低空で突進!
「低空・黄金ドロップキックッ!!」
ドゴォォォォォォォンッ!!
プレス機の装甲が、宗次郎の一撃で粉々に砕け散る!
「な、なんだと!? 完璧な四角形の装甲が……!!」
バランスを崩した浅野に向かって、宗次郎の黄金の膝が光り輝く!
「トドメです。閃光・黄金魔術ォォォォォォォッ!!」
ガッシャァァァァァァァンッ!!!
宗次郎の膝が、浅野の四角い顔面を完璧に捉えた。
キューブ化の野望は霧散し、浅野はサイコロのように回転しながら宇宙の彼方へ吹っ飛んでいった。
「……これが、球体の力です」
宗次郎は静かに着地した。
平和を取り戻したきんたま星。
宗次郎、カピバラのタナカ、クリノジ、前田○子、そしてタマコの五人が、黄金の星を背に横一列に並ぶ。
「皆さん……極上の黄金たこ焼きと、最低な旧姓ダジャレに感謝を込めて。あのポーズで締めましょう!」
宗次郎の合図で、五人は胸の前で愛の形を作った。
「「「「「カオス・パーティー!! プロレス・ラァァァァブッ!!!!」」」」」
ゲストが数秒でダジャレだけ言って帰るという、もはや何でもありのカオス空間。
スーパー戦国人参の圧倒的パワーと、あらゆる常識を置き去りにした一行の全100話の旅は、どこへ向かうのか。




