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第五十九話:尺稼ぎの安芸の国! 黄金のお好み焼きと毛根の限界!

――全100話という大人の事情(尺稼ぎ)により、大阪を華麗に通り越して西へ向かったカオス・パーティー。一行は、海に浮かぶ大鳥居が美しい広島県・宮島に降り立っていた。

「キュルルッ! 潮風が気持ちいいっすね! 瀬戸内海はカピバラの肌にも優しいっす!」

 エプロン姿のタナカが、短い前足を伸ばして深呼吸する。

「厳島神社、すごく綺麗! まるで紅白歌合戦の特別ステージみたい!」

 前田○子が、チェックの衣装を潮風に揺らしながらアイドルスマイルを振りまく。

「……しかし、海風が吹くと私の髪が絡まって大変です」

 宗次郎は、スーパー戦国人参(膝まで届く黄金の長髪・眉毛なし)の姿のまま、大量のヘアトリートメントを髪に塗り込んでいた。変身を解くとまた痔が痛み出すため、この状態をキープしているのだ。

 ◆◆◆

 一行が腹ごしらえに訪れたのは、広島市内の老舗お好み焼き店『鉄板魂・もみじ』。

「よう来んさった! うちの広島お好み焼きは、キャベツの甘みがぶち美味いんじゃけぇ!」

 真っ赤なハチマキを締めた看板娘、安芸もみじが、巨大な鉄板に生地を薄く引き、山盛りのキャベツと豚肉、そして中華麺を手際よく重ねていく。

「キュルルッ! 生地と具材を混ぜずに『層』にするのが広島流っすね! タナカ特製・黄金の牡蠣エキス入り濃厚甘辛ソースが、熱々の鉄板で焦げる香りがたまらないっす!」

 カピバラ・タナカが短い手足でヘラを華麗に回し、完璧な半熟卵で全体を包み込む。

 一口食べた宗次郎の全身から、青白いスパークがバチバチと弾ける!

「……ッ!! クレープ状の生地、蒸されて甘みを増したキャベツ、パリパリに焼かれた麺! 異なる食感が口の中で一つになり、圧倒的な旨味の『層』を形成している! これぞ鉄板の上の小宇宙……私の長い髪の毛先まで、エネルギーが行き渡ります!」

 しかし、その至福の鉄板は、重機のような轟音によって踏みにじられた。

「フハハハッ! そんな何層にも重ねた面倒な食べ物、メガバンクの効率化理論に反するわ!」

【広島の超圧縮支店長!キャラクター詳細設定】

◆ 毛利もうり 輝元てるもと

キャラ: 『豊臣メガバンク広島支店長 / 超圧縮サプリメント至上主義バンカー』風。

「三本の矢は折れないと言うが、すべてを一つに圧縮すればもっと折れない!」と信じる極端な男。常にピチピチのコンプレッションウェアを着ている。「広島の食文化はすべて、メガバンク特製『超圧縮・完全栄養ブロック』にすり潰してやるわ!」と豪語する。

愛機(武器): 『絡繰・三矢式みつやしきメガプレス』。上・下・横の三方向から同時に数トンの圧力をかけ、あらゆるものを手のひらサイズのブロックに圧縮する恐るべき重機。

口癖: 「無駄な層を省け!」「すべてを一つに圧縮しろ!」「噛む時間すらコストの無駄じゃ!」

「毛利……! 広島お好み焼きの『層』を無駄じゃと言うんか! このふんわり感は絶対に潰させんけぇね!」

 もみじが、二枚のヘラを構えて立ちはだかる。

「ヒャハハ! なら俺の『完全圧縮・お好み焼きブロック(味無し)』と勝負じゃ! 俺が勝ったら、この店も圧縮して更地にしてやるわ!」

「……待つっす。層が織りなす本当の『旨味』を、俺が教えてやるっすよ」

 カピバラ・タナカが、ヘラを構えて前に出た!

「なんじゃその巨大なネズミは! 衛生観念ゼロじゃろうが! まとめてプレス機でブロック肉にしてやるわ!!」

 毛利がメガプレス機を起動させたその時!

 前田○子が、カメラ目線でタナカの前に飛び出した!

「私の仲間を圧縮ブロックにしないで!!……タナカのことは嫌いでも、私のことは嫌いにならないでくださいッ!!」

「出たぁぁぁっ! 鉄板の熱気にも負けない絶対的センターの魂の叫び!!」

 クリノジがソースの匂いに包まれながら全力の拍手を送る。

「いくっすよ! タナカ特製・黄金のふんわりミルフィーユ・お好み焼きっす!!」

 タナカが、絶妙なヘラさばきで空気をたっぷり含ませた、究極のふんわり感を持つお好み焼きを完成させる!

 一口食べた毛利は、持っていた栄養ブロックを取り落とした。

「……ッ!? な、なんじゃこの空気の層は!? ふんわりしたキャベツの隙間から、ソースの香りが爆発的に広がる……! 圧縮しただけの俺のブロックには、この『遊び(余裕)』がないというのかァァ!?」

 毛利は膝から崩れ落ちた。モフモフのカピバラとトップアイドルの熱量が、冷徹な圧縮至上主義を打ち砕いたのだ。

「え、ええい! こうなれば物理的にペラペラにしてやるわ! 潰せ、『絡繰・三矢式メガプレス』!!」

 毛利が叫ぶと、巨大な三方向プレス機が轟音を立てて突進してきた!

「……やれやれ。タナカさんのふんわりした料理を潰すのは、許せませんね」

 宗次郎が立ち上がる。膝まである長い髪がバサッと揺れ、眉毛のない鋭い眼光が毛利を射抜く!

「行きますよ……。スーパー戦国人参の圧縮されたパワー、解放します!」

 宗次郎は、迫り来る巨大プレス機に対し、鉄板の上を滑るように低空で突進!

「低空・黄金ドロップキックッ!!」

 ドゴォォォォォォォンッ!!

 プレス機の下部パーツが、宗次郎の一撃で粉々に砕け散る!

「な、なんじゃと!? 数トンのプレスに耐える装甲が……!!」

 バランスを崩して傾くプレス機。その運転席の毛利に向かって、宗次郎の黄金の膝が光り輝く!

「トドメです。閃光・黄金魔術シャイニング・ウィザードォォォォォォォッ!!」

 ガッシャァァァァァァァンッ!!!

 宗次郎の膝が、プレス機の装甲ごと毛利の顔面を完璧に捉えた。

 圧縮の野望は霧散し、毛利はお好み焼きのようにペラペラになって吹っ飛んでいった。

「……これが、空気を含んだ層の力です」

 宗次郎は静かに着地したが、うっかり長すぎる髪の毛先が、鉄板の上のソースにべちゃっと浸かってしまった。

「ああっ! トリートメントしたばかりなのに!」

「ヒィィッ! 眉毛がない上に髪がソースまみれで怖すぎるわ! 覚えとれェェ!」

 毛利はベソをかきながら逃げ去っていった。

 平和を取り戻した広島の鉄板焼き屋。

 宗次郎(髪の先からソースの匂いがする)、カピバラのタナカ、クリノジ、前田○子、そしてもみじの五人が、横一列に並ぶ。

「皆さん……極上のお好み焼きと、ソースまみれの毛先に感謝を込めて。あのポーズで締めましょう!」

 宗次郎の合図で、五人は胸の前で愛の形を作った。

「「「「「カオス・パーティー!! プロレス・ラァァァァブッ!!!!」」」」」

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