入学試験-後編- 画像有
友人に、ドラクエのマネマネに似てると言われてる作者です。
--双子--
入学試験がいよいよ開始し、筆記試験が完了し、次は戦いの試験だ。
「待たせたな!さっきぶりだが相手は私だ!」
((コクリ))
一緒にお昼ご飯を食べたお姉さんが言ってた通り、ムキムキおじさんだった。
「と言いたいところだが・・君たちは戦う必要がないな。」
お姉さんの言った通りになった。
((コクリ))
素直に頷くとなぜか微妙な表情になったムキムキおじさん。
((?))
「いや、びっくりするくらい驚くこともなく素直だと思ってな・・。」
ホレと指差される後ろを見ると他の受験生全員がびっくりした顔をしてる。
なんで!?と言う顔をしてる。
-あっちで一緒にお昼ご飯を食べたお姉さんから、私たちの実力なら戦う必要ないだろって言ってた。-
ちなみにお姉さんはさっき一緒にお昼ご飯を食べた場所でのんびりさっきあげたお茶を飲みながら笑顔で手を振ってる。(あのお茶気に入ったみたい)
「ん?・・・あぁあの人か・・・既に同じことを言われてたか。」
あの人ならしょうがないという顔になってるけど、やっぱりあの人すごい人っぽい?
((コクリ))
「だが、このままでは君たちを贔屓したように言われるのも面倒だしあえて言わせてもらおう。静寂乃双子よ。合格だ。」
全員「・・!?」
-知ってたの?-
「まぁな。実は、君たちが冒険者として活動してる際、偶然何度か近くにいたことがある。俺の場合は偶然近くで別の依頼を受けて採取していただけなのだがな。」
なるほど。
私たちは確かに採取を中心に依頼を受けてるから一緒になることもあると思う。
しかも4年くらいこの国にいるし。
「君たちに関しては有名だからな。実力はそんじょそこらの冒険者なんぞ相手にならないだろう。あのイーリス公爵家に仕える騎士たちと普通に模擬戦が出来てる時点で十分規格外だ。」
-そういうもの?-
「そういうものだ。むしろな、俺のような戦いを教える教師となると相手を見て実力を測ることが出来なければ教師失格だ。・・後本音を言わせてもらうと、君たちと本気で戦いたくない。俺と相性が超絶的に悪いんだ。」
そういうモノなんだ?
そういえば、我が家の騎士さんたちってこの国の中でもトップクラスの実力者の集団とか言ってたような?
-冒険者でも見た目で判断するような馬鹿は上のランクになるなんて寝言言うなって家族に習ったけど同じもの?-
実際にそのままのセリフをシルさんが言ってたけど。
「すごい言い方だがまぁ・・似たようなものだな。見た目に騙されて死んだ奴は割といるからな。」
可愛い見た目に騙されて実は猛毒持ちでそのまま虹の橋を渡ったってパターンは割とあるあるだけど、実はヒナさんが冒険者の間ではそれと同じ扱いだったりする。
「結果は、入口近くに小さな建物があるそこに顔を出してくれ。そこで結果が聞けるはずだ。」
-お祈り文の場合もそこですぐにわかるの?-
「・・・地味に渋いセリフを知ってるな。だがまぁ・・・そういうことだ。」
-じゃあそこに寄ったら帰って良い?-
「良いぞ。」
((コクリ))
言われた場所に行き、受験票を見せる。
「あぁ、君たちだね。はい。」
紙を貰う。
「詳しいことはその中に書かれてるから。」
((コクリ))
とりあえず面倒だからその場でもらった紙を開く。
全員「ちょっ!?」
ふぅん、合格って書いてある。
後は、入学式の日付とその後何が必要かとか色々書いてある。
ぱたりと閉じてそのまま帰る。
「ちょ・・スルー?一応合格って書いてあったはずだけどスルー?」
「めっちゃノーリアクション!良いの!?もうちょっとはしゃいでも良いんだよ!?」
「誰も何も言わないし、ほほえましいとしか思わないから遠慮なく喜んでいいんだよ?」
「と言うより、すごい躊躇いなく開いたかと思ったらただの手紙を読むかのように普通に閉じて終わったんだけど・・。」
何か言ってるけど気にしない。
「ん?おぉ、早かったな。終わったのか?」
門番さん。
-なんか合格してた-
「そりゃおめでとうさん・・にしてもめっちゃリアクション薄いな?」
-お家でたくさん勉強してたから不合格の方が難しいと思う。-
「なるほど?まぁ、これからよろしく。俺は基本的にここの門番とか警備をやってるから」
((コクリ))
「おぉぉい!!ま、待ってくれ・・」
((?))
後ろから呼びかけられた気がして振り返ると同い年くらいのワイルドな茶髪の少年がいた。
「ぜぇ・・・ぜぇ・・・ちょ・・ちょっと・・ま、まってく・・れ・・ぜぇぜぇ・・」
凄い疲れてるようだ。
とりあえず、薬草茶をあげる。
「す、すまん・・」
一気飲みして落ち着いたらしい。
「すまん助かった・・それとこれ、サンキュー」
((コクリ))
-何か用だった?-
「いや、俺も一応合格したし、これから一緒に通うことになるから挨拶と、軽く聞きたいことがあってな。」
((コクリ))
-僕がノア-
-私がイブ-
「俺は、グラブだ。」
と言ったところでぐぅとおなかが鳴る。
-おなかすいたの?-
「すまん・・ちょっと色々あって金欠でな・・」
手元に余ってるおにぎりを3つあげる。
「良いのか?」
-我が家の人たちがなぜか最近おにぎり作るのにハマってていっぱいある-
実はまだたくさんあるから、ムキムキおじさんにも5個、門番のお兄さんに3つ、着崩したお兄さんにも2つ渡したりしてる。
ちなみに渡した数は本人たちの希望。
「そういうことならありがたく。」
そう言って結構な大きさだったけど3つともすごい速度で食べ終わり、お茶も一気飲み。
良い食べっぷりだ。
これなら、料理長さんも喜びそうなくらいの良い食べっぷりだ・・あの人ヒナさん以上に他人に食べ物を食べさせるのが趣味だから・・ちなみに食べ方も汚くない。
「すまん、助かった・・後、茶もだがすごい旨かった。」
-聞きたいことって?-
「何から何までホントすまん・・お前らが有名人で実力者だって聞いてな・・それで知り合いで病気とか体の弱いケースに詳しい人がいないか聞きたかったんだ。知ってたら可能であれば紹介して欲しくてな。」
(それならヒナさんだよね?)
(治すのがヒナさん、詳しいことはイノさんの2人がいれば不可能はない気がする)
-詳しい人もすごいヒーラーさんもいるけどどういう感じの?-
「ほんとか!?」
-立ち話もなんだし、家来る?-
「近くなのか?」
-10分くらい歩いたところ-
「ほんと近いな?向こうか?」
((コクリ))
「それだと俺ん家はそこから15分くらいのとこだな・・・多分。」
そして、お家に到着したらすごい顔が引きつってる。
((?))
「い、いや・・確かに近くって言ったけどさ・・まさかと思うがお前ら・・イーリスさんか?」
((コクリ))
「・・・うそだろ・・俺、予想外にヤバい奴に声かけたぞ、マジでどうすんだ俺。」
-気にするだけ時間の無駄だと思う-
「お前らな・・・まぁ良いか・・。ダメだったときは既に俺が声かけた時点でダメだっただろうしな」
どうして肩をガックリさせながら苦笑いしてるんだろ?
((コクリ))
「お前らの性格なんとなくわかったぞ・・とりあえず、お邪魔する・・。」
「ジェミニ様お帰りなさいませ。早かったですね。」
-簡単だった。-
-戦わずに終わったけど合格してた。-
「あぁ・・なるほどそれはおめでとうございます。後そちらの方は友人ですか?」
((コクリ))
-今度から一緒に通うことになった。-
「グラブっす。双子・・いや、ノアとイブに聞きたいことがあったんで。」
「そういうことでしたか。」
-ヒナさんたち帰ってきた?-
「おそらく国内には戻ってるとは思いますが・・」
-推測?-
「お帰りになられてるのは確かだとは思いますよ?ただ・・手の空いてる国内にいる騎士全員が慌ただしく駆け回っているのに加えて、教会や冒険者まで駆り出されてドタバタしてるので。」
あぁ・・・。
-パパさんとママさんの案件をついでに片っ端から全部潰してくるって言ってたからそれ全部まとめて丸投げした?-
「おそらくは。」
確かたくさんの魔物と悪い人の退治と、病気をしたたくさんの人たちの治療とか他なんかいろいろあるとか言ってた気がするけど、たぶんそれ全部解決させて、いつも通り報酬を1割だけ受け取って、
残りを全部報酬含めて丸投げしたんだと思う。
それで、その報酬の一部を使って冒険者を雇ったりして対策中って感じかな?
ヒナさんたちならそうすると思うし。
と話すと
「えぇ・・おそらくはそうかと思います。いえ、間違いなくそうでしょうね・・。」
-でも、全てを完璧にこなすと思う。-
「その点はホントに憧れますよ。良い意味で規格外ですから安心して任せられます。」
苦笑いはしてるけど心の底から信頼してるのははっきりと分かった。
とか話してるとグラブの顔がますます引きつる。
「お、おい・・さっきからえげつないセリフが飛び交ってるんだが・・。」
-魔物を4桁単位で纏めて殲滅したやつ?-
-悪い人が5桁単位でトラウマを植え付けられて騎士さんたちに差し出されてる奴?-
-はやり病にかかった人が4桁くらいいっぺんに治したやつ?-
-あくどいことしてる領主にトラウマを植え付けて片手間に調教しながらお土産を買い漁ってる奴?-
-それらの報酬を1割だけもらってそれ以外を後処理含めて全部丸投げしてるやつ?-
「いや全部だ全部・・どんな規格外な人なんだよその人たち・・。」
((?))
「不っ思議そうに首傾げてるがな・・普通魔物が3桁以上いる時点でスタンピートだし、そんなのを単独撃破出来る奴は普通にSランク以上の上級冒険者の中でも戦闘特化なやつだけだし、人間相手でも4桁以上いる時点で単独で国そのものを相手してるのと変わりないレベルだし病気の治療が出来るヒーラーは普通まとめて出来ても4~5人が限度で、数千人もまとめて手軽にポンポン治せるもんじゃねぇよ。」
なんで疲れた顔してるんだろ?
後、騎士さんたちはなんでよく言ったみたいな顔してうんうん頷いてるの?
-そういうもの?-
「はぁ・・・強い奴って・・世間知らずなんだな。」
-困んないしまとめて解決出来るから便利だよね。-
「・・・否定出来ないのがなぁ。けど、その規格外にすがろうとしてる俺も正直あれこれ言う権利はないんだよなぁ。・・・ってちょっと待て。」
((?))
なんでそんなにぎぎぎって音がしそうな感じで首をかしげながら顔が更に引きつってるんだろう?
「まさかと思うが、俺がこれから訪ねようとしてる件でお前らが心当たりがある奴ってまさかと思うが、黒天使様だったりするのか?」
((コクリ))
-それ以外誰がいるの?-
なぜか頭を抱えだした。
頭痛いのかな?
イノさんが頭痛には糖分って言ってたし、料理長が地味にハマって作ってるお菓子の一部をグラブの口の中に放り込む。
種類はあの人色々作ってるけど、本日はグミの気分だったらしい。
「マジかぁ・・・てか俺・・そんな人に出せる金ねぇよ・・何年分の借金になるんだ・・。」
お金?
-いらないよ?-
「は?・・いや、良いのかそれ・・安売りするなとか言われないのか?」
確かにそんなことは言われてるけど。
-安売りする以前に話を聞いてあげる人を最初から選別するから問題ない-
-調子に乗る奴は、話を聞く価値すらない-
と言う感じで私たちの判断に任せるからあまり気にすんなと言われたし。
「そういう判断なのか・・俺の場合は運が良かったのか。」
((コクリ))
「そういうことなら今回はお言葉に甘えさせた貰うわ・・とりあえず、俺の方で協力出来そうなことがあれば言ってくれ。その働きでその恩を返すことにするわ。」
確かにそれが現実的だと思う。
((コクリ))
-とりあえず中に入ろう?-
「ここで立ち話も逆に迷惑だしそうさせてもらうな。」
それから、お家にいたシルさんとちょうど遊びに来てたリンさんと遭遇して自己紹介をはさんだ後、客間で一緒に話を聞くことになった。
「俺・・ただのちょっと不思議な友人と世間話の延長戦で軽く聞こうかと思っただけなのにどうして気付けばこの国である意味一番ヤバい人と面と向かって会話してるんだろう・・。」
なぜか遠い目をして、紅茶(ヒナさん作の茶葉をマリアさんが調合)を飲んでるグラブ。
「双子ちゃんに声かけた時点でその運命からは逃れられないわよ。諦めな。」
「・・うっす。でも、こうしてお会いできたのはすごく光栄っす。・・言葉遣いが悪いのは申し訳ないっすけど」
「あぁ、そんなもんどうでもいいわ。正式な場だったらあれだけど、私だってこうして言いたいこと言って言葉遣いもかなり崩してるし、喋りやすいようにしていいわよ。友人の姉か母親くらいに思ってくれればいいから。・・まぁ、双子ちゃんからすると妻の義姉だから叔母になるのかし・・ら?いや、義姉のままでいい?」
「は?・・・ノア、イブ・・お前ら結婚してたのか?」
((コクリ))
-猫寄せ天使さんが私たちのお嫁さん。-
「なるほど?未成年で結婚出来るって噂では聞いてたけどガチだったんだな。・・まぁ良いか。んで、俺、その黒天使様に尋ねたいことがあったんすよ。」
グラブってチンピラみたいな顔しておいて意外と素直なのか、割とあっさりと納得するよね。
「見た感じ、家族の中に体の弱い人がいてその原因がいろんな人に尋ねても分からずじまいだったという感じかしらね?・・雰囲気的に・・母親か。」
「!?」
「後、その他人の世話や介護に慣れた感じから推測するに・・弟か妹、その両方がいるから日々の生活費と薬代とかを稼いでるからいつも金欠と言うところかしらね。母親は・・なるほど基本身動きを満足にとれないから内職で稼いで、ちびさんたちが家事をやってる感じか。」
「まだ何も言ってないんすけど!?なんでわかるんすか!?しかも全部合ってるし!?」
シルさんは昔から割とこうだけど。
その特性を使って暇つぶしに依頼で尋問とかやってるけど。
大抵犯罪犯してたり指名手配されてる人が捕まった後の尋問で口を割らない人が多くて尋問官をする人がお手上げって時にギルドにヘルプが来る。
その時に暇つぶしにシルさんがやるんだけど一切相手は喋ってないのに一目見ただけでさっきみたいに次々と言い当てて相手がビビってポロリしてそこからさらに言い当ててと繰り返して最終的に恐怖の対象となって完了するというある意味での悪夢になってるよ。
シルさん本人は面白がってたけど、尋問官の人顔引きつってたよ?(私たちは隣で観察)
「ん?割と顔見れば8割くらいはわかるわよ?」
「・・・これが、芸術の国の国守一族筆頭か。・・マジパネェ。」
「で、聞きたいのはその母親の症状と対策と言うところかしら?」
「・・説明が省けたと思うしかないか・・・けど、そうっす。一応協会とか薬師とか色々聞いて回ったんすけど体調は万全なはずだからなんでいつも咳したり頭痛を起こしたり呼吸がしずらくなったりするのか不明なんすよ。ひどい時なんて、熱が出たり関節が痛い場合もあったりするんすよ。けど、全員が病気でも呪いでもないからわからないという答えしか出なくて。」
「なるほどね・・。まず結論から言うと私だとわからないわ。」
「・・・」
「ただ、そろそろ帰ってくると思うけど家の黒髪3人衆だったら答えを知ってる可能性が非常に高いわ。」
「本当っすか!?」
「えぇ。1人は陰の守護者と呼ばれてるのがいるんだけどそいつが私以上に頭が良いから何かしら情報を持ってる可能性が高いし、もう1人はおなじみ天使ちゃん。彼女は我が家のメンツ全員が世界で最も優秀なヒーラーだと陛下も含めて太鼓判を押した実力者。万が一治せなかったとしても軽減させることは最低でも出来るはずよ。」
実際イノさんはすごい物知りだ。
なんで空は青いのかとか、なんで火は燃えるのかとか聞いても速攻で答えが返ってくるし。
「・・本当なんすね。」
「えぇ。そこは保証するわ。最低でも軽減は出来るし、いざとなれば我が家の可能なもの全てを使って対処法を探らせる。」
実際、魔道具組の魔道具を使ったり、騎士団の魔法部隊も優秀だし、教会の人たちも私たちが頼めば嬉々として手伝ってくれるだろうから最悪の場合でも軽減は絶対に出来ると思う。
「で・・ここまで言っといてなんすけど、俺、マジで返せるものも差し出せるものもないんすけど・・ホントに良いんすか?そこまでしてもらって・・。」
「・・そうね・・じゃあさ、1つ聞いていい?」
「1つと言わず俺に答えられることだったらいくらでも。」
「まず、あんたの母ちゃんの仕事って今から辞めますって言って出来るもの?」
「一応可能っすね。こういったらアレっすけど、下っ端の仕事みたいなもんなんで。」
「なるほど・・じゃあ次、今住んでるとこって貸家?」
「そうっす。」
「そこって解約って言えば直ぐ出来る?」
「すぐはムズイっすね。オーナーへの交渉次第かもっすけど。」
「家族は全部で何人?」
「親父は幼い頃にスタンピートに巻き込まれて死んでるんで、母さんが1人と、弟が1人に妹が1人っすね。」
母子家庭ってやつだったんだ・・道理で世話慣れしてると思った。
「3人か。・・ちびさんたちってどんな子?」
「家族思いで、それぞれ弟が3歳、妹が4歳っすけどその年で自分たちのやりたいことを後回しにして母さんの面倒を見たり家事をしながら、読み書きの勉強してるくらいなんで責任感もあるしまじめっすね。・・下手すれば俺以上にしっかりしてるっすよ。」
「ほう・・。」
「答えておいてなんすけどどういう質問っすか?」
「そうね・・じゃあさ、あんた等さ、今日から我が家に住み込みで働け。」
「・・・は?」
「セバス。」
「母君の仕事先と、貸家のオーナーへの交渉ですね。手配します。」
「マリア」
「部屋と仕事の手配ですね。承知しました。」
「にゃんこ共」
猫大量「にゃ!」
「この手紙とグラブを持って現地から家族も家具も含めて全部ここまで運んで頂戴。」
猫大量「にゃ!」
「双子ちゃん」
-ヒナさんたちが帰ってきたらお願いするんだよね?-
「それで良いわ。」
そしてグラブはにゃんこたちにいきなり持ち上げられてそのまま連れ去られていった。
暇してる子たちの大半のお仕事は疲れて倒れてたり怪我して動けない人を運ぶことだからこのくらい容易い。
だって、全身鎧着てる大人の人を一匹で普段担いでるし。
「ちょ、え?はぁ?・・・はぁぁ!?」
そろそろヒナさんたち帰ってくると思うけどどこに寄り道してるんだろ?
--グラブ母--
今日は長男の入学試験日で、今ちょうど午後の試験が終わった後くらいかしら・・結果どうなったのかしら・・心配いらないとは思うけれどやっぱり不安だわ・・。
あの子は、要領良いしやるべきことはきっちりとしてるし・・それでも不安になるのが母親と言うものなのかしら・・。
「お母さん、お掃除終わった。」
「お母さん、売れ残りもらって来た。」
グラブの負担を減らすのもあって、各お店とは知り合いで無償で廃棄予定のものだったり多くて持て余してるものを貰ってるのよ。
向こうも処分費がかからないから助かってるらしいし互いにWinWin。
「ありがとう。毎日ごめんなさいね?」
「良い経験になるからいい。」
「お友達と遊ぶよりもこっちの方が面白い。」
うーん・・まじめでしっかりしてるのは親としてはうれしいけど年相応の子供として考えると良いのかしら・・?
でも、長男もこのくらいの年の頃には体を鍛えたり部屋の掃除をしたり適当な冒険者について行き、雑用をしてお小遣いを稼いだりしてたからそんなものなのかしら・・?
それにしても今日は外がやたらと騒がしいわね。
「外が騒がしいみたいだけど何か知ってる?」
「天使様たちが、なんかすごいことしたんだって。」
「その後片づけで、みんな忙しいんだって聞いたー。」
「あぁ・・・黒天使様は相変わらずなのね・・。」
噂程度しか知らないけれど、曰く黒天使様は、守護者と共にあらゆる悪を倒す正義の味方で、多くの魔物を倒すほどすごい人なんだとか。
ただ、その分の報酬も含めて騎士様へ丸投げするから後処理に振り回されるとすごく苦笑いを浮かべていたと偶然近くにいた冒険者が言っていた。
一体どういう人なのかしらねぇ?
すごくきれいな子だとは聞いたけど。
そして、扉をノックする音が響く。
「僕が出るー」
「お願いね。」
次男が見に行ってくれた。
そしてしばらくすると、ものすごい渋い顔をしてる・・・初めて見るすんごい顔だ。
「どうしたの・・そんな顔して・・。」
「兄ちゃんが帰ってきた。」
あら?
「あの子が帰ってきたならなんでそんな顔になってるの?」
兄弟仲は良いから普段なら笑顔で飛びついてたでしょうに。
「兄ちゃんを猫さんが抱えて帰ってきた。」
・・・・ん?
「グラブが猫さんを抱えてきた、もしくは私よりも大きな猫の姿をした何かがグラブを連れてきた・・このどっちかしら?」
普通に考えたらこの2択よね?
「ううん。違うよ。」
「私もさっき見たけど、普通の大きさの猫さんが兄ちゃんを尻尾で担いでた。」
「・・・えぇっと・・とりあえず連れてきてくれる?」
「わかったー」
とりあえず見たらわかるだろうと思って連れてきてもらったところ
「・・・」
「・・・」
チビさんたちが言った通り良く知っている大きさの猫が1匹でグラブを担いでる。
そして、グラブだがなぜか死んだ魚の目をしてされるがままになってる。
・・・一体何があったの?
「えと・・グラブ?とりあえずおかえりなさ・・い?」
はっ!
もしや、不合格だった・・!?
「ただいま・・一応合格してた。」
・・・あら?
「合格したならどうしてそんな目を?あと、何がどうなったら猫に担がれるの?」
「・・俺が聞きたい。」
「にゃっ!」
「・・ん?あら、手紙?私宛かしら?」
「にゃう!」
私宛の手紙らしい。
そして、伝書鳥ならぬ、伝書猫だったらしい。
とりあえず、手紙を受け取り、中身を見てみる。
チビさんたちが両サイドから見てるけど、良いわよね。
って・・すごくきれいな字ね・・って・・・これ・・。
「グラブ?私の気のせいかと思ったけれどこれ・・あの、イーリス家の逆鱗姫様直筆の?」
相変わらず死んだ魚の目をしたまま猫に担がれたままな長男はそのまま頷いて答えてくれるのは良いとして、いつまでそのままなの?
「あぁ・・・偶然一緒に試験を受けて俺と同じく合格した奴がいてさ、その双子がかなりの有名人で実力者らしいから母さんの体質のことに詳しい奴がいないか聞こうと思ったんだ。」
「なるほど・・それで?」
「そしたら、その双子の保護者がこの国の国守一族筆頭だった。」
「・・・」
しかも偶然声をかけた子がピンポイントで逆鱗姫様の庇護下にある子だなんて・・どういう運を引き連れてるのかしら我が長男は。
「後気付いたら、こんなことになってた・・俺も事情を聞く前に猫にここまで拉致されたんだ・・。」
猫に拉致される・・一生のうちにそんなセリフを聞く機会ってあるのかしら?
とりあえず手紙を見てみましょうか。
貴族特有の最初に手紙と関係ない文章が続くかと思ったら何もなくものすごく端的に事実だけ書いてあった。
中には、私たち家族全員がイーリス家の家に住み込みで働くことにしたことと、
今借りてる家や、仕事に関する手続きは全てイーリス家側で処理すること
そして、そこでの生活費を始め、衣食住は全て無償で扱うこと
後、私の体質についてはとりあえずイーリス家の天使ちゃんに治させ、
無理だった場合は軽減させることは少なからず可能なため、それで時間稼ぎしつつ原因調査を全てのすべを駆使して対処する
という内容だった。
いや・・その・・。
「うれしいし、ありがたいんだけれど何をどうしたら私たちはメリットばかり、そしてイーリス家からすると負担しかかからない状況になるの?」
と言うより、ホントに文字通り天使ちゃんと書いてあったけど、どういう扱いを受けてる子なのかしら・・その天使ちゃん。
「俺が聞きてぇよ。聞こうと思ったら住み込みで働けって言われたかと思ったら猫に拉致されたし。」
噂には逆鱗姫様は、ものすごく気持ちの良いくらいバッサリとした人で、女神様だとか姉御だとかいう人が多いと聞いたけど・・なんとなくどういう人かわかった気がする。
後、敢えて反応しないようにしてたけど、さっきから猫たちが我が家の中にある家具を片っ端から担いで運び出しており、チビさんたちがさっきから静かだと思ったら、猫に担がれて同じく運ばれている。
チビさんたちもどうしたらいいか分からずされるがままの状態で猫にさらわれていく。
これは・・どうしたらいいのかしら?
悪意は絶対ないのはわかるから抵抗はしないけれど・・とか考えていると今度は私が猫に担がれてさらわれる。
実際にさらわれながら感じたのは、意外と安定感があることと予想以上に速いということだった。
最近の猫って多彩なのねぇ・・。
と、攫われながら軽く現実逃避していると近くを並走していた猫から何か紙を渡される。
「にゃう!」
「えっと・・受け取ればいいのかしら?」
「にゃっ!」
受け取れば良いらしい・・で、受け取ったは良いけどこの縦長の紙は何かしらと考えていると握っているだけなのになぜか体がすごく軽くなった。
「え・・」
どういうこと?
この紙は何?
後、この書かれてる文字?絵?は何なのかしら?
でも、あの感じだとグラブも知らないだろうし猫に聞いても言葉わからないのよねぇ・・。
これは、イーリス家に到着するまで待つしかないかしら・・。
それにしても、突如として引っ越しするのは良いとして、引っ越しはすごく大変だと聞いてたのにまさかの猫たちが勝手に済ませてくれるなんて世の中何が起こるかわからないものね。




