内緒
移動した先は家具などの置いてあるものは一緒だけど、置き方がちょっとだけ違う部屋だった。
オルディアとティーカーの荷物がある。二人が使ってた部屋ってことだ。
場所を確認した私が振り向くと、オルディアに不意打ちみたいにキスされた。
ちゅ、って音が唇で軽く弾ける。
腰に腕が回る感触にゾクゾク震えてたら、手のひらや指がなんとなく足に触ってることにも気づいちゃった。
「……二人きりだから?」
「淫魔らしい行為は禁止されなくなったからな。
二人きりになることを選んだのはフルルだし……それに……」
「……? それに?」
「……キスよりもっと先も、僕たちは知っているだろう?」
直接耳元で言われると想像が追いついちゃって、さっきの布団の中みたいにドキドキが始まる。
抱き寄せてくるオルディアと見つめあったけど、自然に顔が近づいて……唇を重ねてる。
ちゅっ……ちゅっ。
さっきまで続けてたキスは触れるだけでくすぐったい感じだったのに、今は吸ったり、何度も音を立てながら甘やかに唇を愛されてる。
胸に指が触れて刺激され始めたのも、いやらしくて……続きを知ってる体の奥が勝手に疼き始めてた。
爪で擦られるだけで体が反応して、キスで唇を塞がれながらうめいてる。
「オルディア……っんん、そこ触られたら……っ声、出ちゃう……」
色っぽい表情の婚約者が、深緑の瞳を嬉しそうに緩めてる。
唇を合わせるたびに、ちゅ、ちゅ、って吸い合う音もして、漏れる熱い吐息に私まで興奮して……でもこのままじゃまずいから、オルディアの胸を少し押した。
「どうしよ……宿の壁って基本的に薄いから、隣に聞こえちゃうかも。魔王城に戻る?」
「フルルが声を我慢する姿も可愛いから、見ていたいが……嫌なら連れ帰る。……フルルはどこがいい?」
囁き声に体が熱くなって、オルディアの腕の中で力が抜ける。
前も宿屋で体を繋げたけど、ティーカーには全く気付かれなかったし……オルディアの手のひらを掴んで、あの日と同じように唇に当てた。
「じゃあ私も頑張るけど、こうやって声が出そうになったら止めてね。
旅の恥はかき捨てとはいえ、筒抜けで聞こえちゃうと恥ずかしいもん……」
もちろん宿には一定数いるし、自然なことだってわかってる。私も他の部屋から声がしても気にしたことはない。
森にいれば宿にもいる。むしろ宿こそ本場だ。じゃないと冒険者はどこで恋人っぽいことすれば良いのか。
オルディアの手のひらが唇に当たるよう押さえてたけど、深緑の瞳が少し狼狽えたみたいに揺れた。頬がちょっと赤くなったのが可愛い。
あ……よく考えたら私が声を上げる瞬間なんてわからないから、困ってるのかな。
他の手段を考えて枕に目線が向かったけど、やっぱりオルディアを見つめてた。
「枕で声を塞ぎながら体を重ねるのも定番らしいけど……オルディアとキスしたいのに枕抱えてたら出来ないから、やっぱり手のひらがいいな。
えへへ、こうやって触れ合ってる感じが好き」
口を塞がれるなんて本来なら抵抗したくなる行為だけど、オルディアがするのは嫌じゃない。
手の感触が柔らかくて肌触りも気持ちいいし、何より……誰にも聞かせたくないんだって独占欲や愛情が、体を繋げてるオルディアに見えて……好きあってるからしてるんだってわかるから、安心して体を任せていられる。
額にキスされて驚いたら、オルディアの指が私の頬を撫でてきた。
「じゃあ、フルルの望み通りにする。……今日はここで、内緒でするか」
耳元で囁かれて、魅了の状態異常にかかってる。
手が離れると唇が重なって、銀の髪の魔王が目を閉じてるのが見えた。
「ん……」
舌が口に触れて、空いた隙間から押し込まれてくる。
奥まで入ってきた舌が絡んで、吸い上げられて……気持ちよさがその度に口の中で弾けて、夢中になってる。
舌遣いが上手ってこういうことなんだって、体が溶けて力が抜けていく感じまでした。
唇が離れて、気づいたらベッドに連れ込まれてる。
冒険者服の内側に指が入って、シーツに横たわる私の肌をオルディアが触って……気持ちよさと一緒に恥ずかしさが込み上げてきた。
「ごめん、汗っぽくない……? まだお風呂入ってないから、入ったほうが良いかな……」
今日はあまり戦ってないけど、よく考えたら塩とか浴びてるかも。
好きな人の前で身綺麗にしたい気持ちも浮かんだけど、オルディアが首筋を柔らかな舌でなぞってきたから何も考えられずに震えてた。
「気にしなくていい。今のままのフルルを、僕も抱きたい」
好きな人の「抱きたい」って声だけで、心の内側まで嬉しさでふわふわしてる。
上に着てたものを脱がされて、唇が肌に直接触れた。
ちゅ、ちゅって啄んでもらえる感触も気持ちいいし、オルディアが少しずつ胸に向かってるのを見るだけでもドキドキしてる。
「フルル……好きだよ」
たくさんキスするのも、嬉しそうにオルディアが微笑んでくれるのを見るのも好きだなって思っちゃう。
その後はオルディアと、お互いに生まれたままの姿になって、たくさん体をつなげた。
声を密やかに唇や手のひらに吹き込んで、汗だくになって疲れるまでお互いを求め合った。




