独演会
ウキウキとした表情で話すタケアキを前に、リョウヘイとドンズの2名は、早く話を終えてくれという気分になってきたのがうかがえる表情をみせており、おそらくキセッチューすらもそのことに気づいていそうなものだが、気づいていない人物が1名存在していた。
気づかない滑稽な男の名はタケアキである。
そして、2人とも何も口を挟むことはなかったが、周りを全く気にすることなく、待ってましたぞと、いまから自分による、コンサートホール超満員の講演会がはじまるぞと、生きがいのように、楽しそうに語りだした。表情は、自信に満ち溢れていた。
「皆さんもご存知の通り、私はギガイガンに巣食うもう1匹の厄介な魔物、サナダワームに吸い込まれてしまい、絶対絶命でした。しかしながら、モンスター図鑑を幼少期かから眺めることが趣味だった私にとって、このモンスターの構造は、お見通しだったのです!幼少時代に、昔の知識のまま教壇に立ち、知識をアップデートしない魔物学の教師を、完膚なきまでに論破してやったことがありますからねえ。フフフ。あのときの怒りに満ちた顔は滑稽だったなぁ。それはともかくとして、つまりサナダワームである彼、まぁ人ではありませんが彼と呼ばせていただきますね。もっとも、彼女かもしれませんがね。とにかく私に関していえば、モンスターを、たとえ魔王軍の手先に堕してしまったとしてもですよ、ITとは呼べんのですよ。脱線してしまいましたな。ハハッ。とにかく吸い込まれただけで対象を即死させるといった性質のモンスターではないのですよ。まず、彼には鋭い歯ありません。口腔内で対象物を吸い込むと同時に噛み砕いてから飲み込むのでなく、丸のみをしてから、消化液で徐々に溶かしていくのです。その消化液についていえば、ギリギリ、ええ、これはキューブのモンスターでなく、所持品であった、消化液対策スプレーを全身にふりかけ、凌いでいました。そしてなんとか、キューブをとりだし、キセッチューの召喚に、成功したのです!」
「それで、召喚してどうしたんや?」
「ええ、ここからが本領発揮です。キッセチューを体内にやどした魔物はね、水分を求めるようになるのですよ。つまり、この場合は血液です。水分を求めずにはいられなくなったサナダワームは、血を求めて細長い静脈の中に入り、そうしてさらに、血管をとおって、肺の方へと進行したわけです」
「ほほう。それでどうなったというのです?」
いつまでこの話が続くのだという顔をしつつ、リョウヘイが相槌をうった。




