✒ 冒険者広場 1 / 場所取りする
僕は兄弟子が用意してくれた薬膳茶も幾つか貰える事が出来た。
その序でに《 薬局・アンシュ 》の名刺も沢山貰ったけど……。
兄弟子とは色んな話をした。
僕は何人もの鑑定士に虚偽鑑定をされた事と悉く論破をして鼻をへし折った事も話した。
兄弟子は僕の話を聞きながら、お腹を抱えて大笑いしていた。
そんなに面白い話かな??
フェンデス
「 ヒッヒッヒッ……腹痛ぇ──。
こんなに馬鹿笑いしたのは久し振りだ…。
お前……逞しくなったなぁ。
鑑定士のライセンスを剥奪させるとか──お前…やり過ぎだからな……ヒヒハッ! 」
リット
「 勘違いしないでくださいよ、フェンデスさん!
鑑定士ライセンスの剥奪を決めたのは冒険者ギルドの鑑定士長なんですからね! 」
フェンデス
「 お前が其処まで追い込んだんだろ?
愉快痛快だ! 」
リット
「 笑い過ぎですってば……(////)」
フェンデス
「 お前の勇姿は、オレが末代まで語り継いでやるからな! 」
リット
「 止めてくださいってば〜〜(////)
恥ずかしいですから! 」
フェンデス
「 こりゃあ、師匠にも報告しないとな! 」
リット
「 ちょっ──それだけは止めてくださいよ〜〜!! 」
フェンデス
「 照れるな、照れるな!
可愛い弟弟子よ!
アッハッハッハッハッ! 」
リット
「 もう〜〜……フェンデスさんも相変わらずですね。
安心しましたよ… 」
僕は兄弟子と世間話を終えると、《 薬局・アンシュ 》を出ると《 医療街 》の出入り口になっている門へ向かって歩いた。
──*──*──*── 冒険者広場
僕は調合薬剤師組合には行かずに、冒険者広場へ向かった。
兄弟子から調合キットを貰えたから、調合薬剤師組合へ行って工房を借りる必要がなくなったからだ。
冒険者広場の出入り口で許可板を見張りの兵士に見せたら、テントを張る為の場所を探して広場の中を歩く。
リット
「 何処がいいかな? 」
リッドン
[ リット…アソコ…。
アソコ ニ スル… ]
リット
「 リッドン、有り難う。
じゃあ、彼処にテントを張るよ 」
フードの中で大人しく寝むっていたリッドンは、パタパタと宙を飛びながらテントの張り場を教えてくれる。
僕がリッドンへ声を掛けるとリッドンは嬉しそうにテントを張る場所の上をクルクルと回りながらパタパタと飛んでいる。
僕はマジックバッグから野外に使うキャンプセットを出して、テントを組み立てる事にした。
長箒で地面の砂利を掃いて綺麗にしたら下地シートを地面の上に敷く。
下地シートを敷いたら、その上にテントの広さと同じ脚付きのスノコを置いた。
脚付きのスノコは6cmの高さがあって、脚を使うと16cm,26cmに高さを変える事が出来る便利なスノコだ。
脚直径は5cmで、10cm,20cmと高さを調整する事が出来るんだ。
スノコの上にテントを置いてから確り張ったら、テントの中へ正方形の下敷きシートを入れた。
下敷きシートの中に正方形のラグを敷いたら、座れてゴロ寝も出来る寝長クッションを置いた。
寝長クッションは折り畳めば枕にも使える。
掛け布団の変わりになるタオルケットもマジックバッグから出したら、折り畳み式のミニテーブルも出した。
ランプをテントに付けたら、完成かな?
地面とテントの間には段差があるから気を付ける。
日差し避けや雨避けになるタープの設置も忘れない。
タープはテント一式セットの中に入っていて、師匠が餞別でくれたマジックバッグの中に入っていたものだ。
どうせなら調合キットも入れて欲しかったけど、兄弟子から貰えたから良しとしよう。
薬剤の調合は日が暮れてからするとして、夕飯の準備をしないといけない。
冒険者広場には簡易調理場が何ヵ所にもあるけど、夕飯時になると混むからなるべく使わずに済むようにしたい。
先ずは火を使えるようにタープの下で簡易竃を作る。
マジックバッグからブロックを9つ出して、ШとΠの形になるように並べる。
左右のΠΠ部分とΠに入れる薪を確保して来ないとな。
僕はリッドンに頼んで烏達にテントと簡易竃の見張りをしてもらう事にした。
烏がテントの周辺に降りて来てくれた。
烏達が見張りをしてくれている間、僕は冒険者広場に設置されている捨て場へ向かった。
──*──*──*── 捨て場
捨て場に着いた僕は、薪になりそうな物や未だ使えそうな物を探す為に物色を始めた。
捨て場に置かれている物は要らなくなった物ばかりだから、誰でも自由に使ってもいい事になっている。
僕は物色するのが割りと好きだったりするから、捨て場に来るとワクワクするんだ。
薪になりそうな木材や要らない紙屑を集めたらマジカルバッグの中に入れて、テントへ戻った。
──*──*──*── テント
烏達のお蔭で僕のテントには誰も近付いてないみたいだ。
テントもタープも簡易竃も無事みたいで助かった。
見張りをしてくれた烏達に御礼をしたいけど、リッドンは何時も[ ヒツヨウ ナイ ]って言うんだ。
どうやら僕は仔烏達からも保護する対象だと認識されてる存在らしい。
烏達から保護される対象にされてる僕って、そんなに弱く見えるって事なのかな??
僕に戦力が無いのは認めるけど……。
それは兎も角、マジカルバッグから薪に使う木材と紙屑を出したら、左右のΠΠ部分とΠに入れる。
マジックバッグから網を3枚出したら左右のΠΠ部分の上に2枚を置いて、Πの上に1枚を置いた。
鍋やヤカンを置いて着火すれば簡易竃として使えるようになった。
Шの形をした簡易竃は鍋とフライパンを使う調理用で、Πの形をした簡易竃はヤカンでお湯を沸かしたり、調合する為に使う。
簡易竃を作ったら、調理台も必要になる。
マジックバッグから出したブロックを並べた上にマジックバッグから出した大きめの分厚くて丈夫な板を乗せて簡易調理台を作った。