陰謀
「クフフ……最大の障害がいなくなったおかげで、仕事がやりやすくなりましたね?」
「……」
「ふふ……相変わらず無口なんですね」
「貴様がお喋りなだけだ……」
「まあいいでしょう。それより例のアレはもう完成したのでしょう?」
「無論だ……」
「いやはや流石です」
「貴様に問いたいことがある」
「おや? 貴方から質問とは珍しい」
「何故、奴なのだ?」
「奴とは?」
「あのショウという男だ。何故奴を排除する必要があった?」
「ふむ……そうですね。何と無くですかね」
「……本当の所は貴様が負けたからだろう?」
「おやおや! 知っていましたか!?」
「我を舐めるなよ?」
「そうですね。確かにナイザー団長や戦鬼ルドガーの方がよっぽど排除した方が良かったはず。そう思ってません?」
「当たり前だ。貴様が以前負けたからという単純な理由で無いことくらい分かる」
「そうですね……彼はよくわからないんですよ」
「ほう? 貴様が分からないと?」
「ええ。彼と一度戦いましたが完全に私の勝利でした。しかし、どういうことか立ち上がり訳の分からない事を言って私を負かしたんですよ」
「訳のわからないこと?」
「そうです。訳のわからない事です。真の男になるとかなんとか?」
「ふざけているのか?」
「さあ? ですが、これだけは言えます。彼は私達の脅威となります」
「そうは思えんがな……」
「しかし、彼は以前私が戦った時より遥かに強くなってます。あの厄災の骸龍エル・カローンを倒してるのですからね」
「……」
「お喋りが過ぎましたね。それではこれにて失敬」
「……」
◆◇◆◇
俺が闘技大会で仮面野郎を殺してから三日が経過していた。最初の頃は騎士による尋問を受けていたが、今はない。現在は牢屋に入れられて暇している。
「看守のおっちゃーん!」
「おっちゃーん言うな!! まだ25じゃ!」
「おいちゃ~ん」
「アホか!!」
こうして暇だから看守のお兄さんと話してる。本来は話すことは禁止なのだが俺がしつこく喋りかけてたら向こうが折れたみたいで喋るようになった。
案外いい人で仲良くしている。
「にしても本当にお前が殺しをしたのか?」
「事実だかんね」
「いや、そうドヤ顔されてもな」
看守のお兄さんは後頭部ポリポリと掻きむしって困るポーズをしている。
「そういや、最近城下町では魔物による騒動が多いんだぜ?」
「マジっすか!?」
「おおよ。だから今は街も静かなもんだよ」
「大変すね~」
「闘技大会が終わってからなんだよなぁ~」
闘技大会が終わってから?
うーん、なんかあるんじゃねえの?
あったとしても俺は何も出来ないけど……
俺はこうして看守のお兄さんと適当に世間話なんかして過ごしていた。
「看守のお兄さーーん」
「おう。初めてお兄さんと呼んだな。なんか企んでんのか!?」
「酷いっすね……それより手紙とか書いてもいいっすか?」
「ん? それくらいならいいぞ?」
「あざーす」
さて、何を書こうか……
と言っても今すぐにルドガーさんに伝えなきゃいけねえんだよな!!
最近やたらと多い魔物騒動。それと魔力の高い学園の生徒の誘拐。そして度々現れる謎のローブの男。俺の予測だが近いうちに何かが起こる。
確証はないが……
あっ、そうだ!
「おいちゃーん!」
「てんめ! またおいちゃん言ったな!」
「そんなことよりこの街の地図とかある?」
「そんなことだと!! 地図ならあるがどうする気だ?」
「ちょっとね」
「ふむ……まあ何か出来るわけでも無いか。待ってろ。今から持って来てやるから」
看守のお兄さんは地図を持って来る為、一旦看守室へと戻っていった。さて、ここで整理しておこう。
今までに起きたことを。
始めは初心者ダンジョンにウル・キマイラの出現。次に黒ローブ男のララちゃん襲撃事件。厄災の骸龍との遭遇。魔物が街に現れる騒動。魔力の高い学園生の誘拐事件。闘技大会の仮面野郎。
うーん、なんか出来すぎてないか?
だけど多分だがララちゃん襲撃事件と今回のことは関係無いと思う。あくまで予測ではあるが。
「おい、地図持って来たぞ」
「あざっす!!」
「何に使うんだ?」
「えーと、こことここもそれとここか!」
「何の印だ??」
「ああ。街に魔物が現れた事件のっす!」
「ふーん。それならここと、そこと、そっちも、それとここだな」
「おお。あざっす!」
「にしても何でまたこんなことしてんだ?」
「まあ見てて下さい」
俺は印を付けた所を線と線で結ぶ。すると何かの模様が出来る。
これは?
なんだ!?
わかんねえや……
俺が頭を抱えていると、看守のお兄さんが覗き込んでくる。
「こいつぁ……魔法陣じゃねえのか?」
「おいちゃん分かるんです!?」
「いや、何の魔法陣かまではわかんねえが……」
「いや、魔法陣ってことが分かるなら平気っす!」
「なんか学園を囲ってるな」
「学園……」
「どうかしたか??」
「なんかこの国って昔話とか無いっすか?」
「うーん……」
「無いっすか……」
「いや、一つあるぞ。確か大昔にこの大陸に魔物ではなく魔獣と呼ばれる化物がいてな。そいつを確かこのオルランド王国の地下に封印したとかいう話があるんだ」
「……」
「どうした?」
「もしそれが本当なら?」
「んなわけねえだろ。ただの昔話だぜ?」
「……」
「おい……何をマジになってるんだ。まさか!? この魔法陣が!?」
「本当だったらこの魔法陣はその魔獣を呼び起こすんじゃないんすか!?」
「冗談だろ……!」
「これをルドガーさんに渡して下さいっす!!」
「戦鬼ルドガーさんか! わかった。必ず渡すように上に言っておく!!」
看守のお兄さんは地図を握りしめて走り去って行く。もし、あの話が本当で俺の予想通りなら最悪の展開だ。
まさか……この為に俺をはめたのか?
だとしたら何故?
俺よりルドガーさんやナイザー団長の方が……
くそっ!!
わかんねえ!!
俺が地下牢にいる間に地上ではいろんな事が起こっていた。
改訂済み




