嵌められたショウ
考えられるのは、あの仮面野郎が希少属性を複数持ってることだ。もしそうだとしたら、幻属性で架空の敵を作っているのかもしれない。
それか、空間属性で攻撃を受ける時は別空間に攻撃する時はこちらの空間に。これらが可能ならば仮面野郎の力に納得がつく。
だがもし違ったら……
考えてる暇はない!!!
賭けに出る!!!
「おおおおおおお!!!!」
俺はグングニールを持ったまま突撃した。仮面野郎がこちらに手を翳す。すると、突然頭上からズシリと重い物がのしかかるような衝撃を受ける。
どうやら重力属性の魔法のようだ。俺は自分の身体がとてつもなく重たくなり、その場に倒れてしまう。
「ぐくく……」
これが重力属性か……
思った以上にやばいな……
だが!!!
「ぐぅぅううおおおおおおおお!!!」
咆哮を上げながら立ち上がる。最大限の力を腕に込めてグングニールを仮面野郎に投げつける。
仮面野郎に当たることは無かったが俺にかけられていた魔法が解ける。自由になった俺は一気に仮面野郎に近付く為、全速力で走り抜ける。
仮面野郎の懐へと入る。仮面野郎が手を翳し攻撃してこようとしたところを狙って魔法を撃ち込む。
観客席がざわめく。
そう、魔法が直撃したのだ。
予想通り奴は攻撃する時だけ、こちらの空間に実体化することが判明した。
これなら行ける!!!
「ようやくだ!! 行くぞ!!」
追撃をかける為、仮面野郎へと突っ込む。
「浅はかなり……」
喋ったと思ったらすんなり攻撃が通った。
なんだ?
急に当たるようになった?
それにこいつ反撃してこない?
まあ、なんでもいい!!!
とにかくこいつを叩きのめす!!
「はあああああああ!!!!」
ただ攻撃の当たるようになった仮面野郎へ猛打を続ける。
行ける!!!
このまま押し切る!!!
一旦離れてグングニールを再度取り出す。
「貫け、グングニール!!!!」
そして投げ付ける。グングニールは見事に仮面野郎に直撃し、そのまま闘技場の壁へと仮面野郎を貫く。
「は……?」
おかしい?
なんでこんなにもあっさりと?
なんだ!?
この違和感は?
仮面野郎はグングニールに貫かれて串刺しになっており壁に張り付いている。そして、その体からは血が流れていた。
おいおい……
嘘だろ……
俺が殺したのか!?
審判が仮面野郎へと近付き生死を確認する。
「なっ! し、死んでる……」
審判が驚きの声を上げ、仮面野郎が死んでいることが判明した。
はっ!?
そんな……バカな!!
あの仮面野郎は今までまともに攻撃を喰らわなかったのに、なんで!!!
まさか……
いやそんなはずは……
だとしたら俺は……
俺は観客席を見回す。もし、本当にそうだとするなら近くで見てるはずだ。観客席を見回していると、闘技場に騎士団が駆け込んでくる。
「そこを動くな! 貴様を殺人の罪で拘束する!! 大人しくしろ!!」
騎士団に包囲される。この闘技大会では相手を殺害した場合は事故でも無い限りは即座に騎士団に捕まることになってる。
くっ!
こんな時に!!
焦りながらも観客席を見渡すと見つけた。黒のローブの男を。やはり奴の仕業だった。黒のローブは俺に気付かれ、その場を逃げようとする。それを追いかけようとする。
「ぐっ!」
騎士団に拘束されてしまい、追いかけることが出来なかった。そのまま俺は騎士団に拘束され連行された。
嵌められた……っ!
最初からこれが目的だったようだ。俺に犯罪を被せて騎士団に拘束させるのが。まんまと黒のローブの男に嵌められた俺は騎士団に殺人の罪で拘束される。
俺の意識は騎士団によりそこで落ちた。
◆◇◆◇
会場が騒然となり、騒ぎに気が付いたルドガーが闘技場を目にするとショウが騎士団に拘束されているところだった。
ルドガーは何事かと騎士団へと問い詰めようとしたがナイザーにより止められる。
「ナイザー! 一体何が起こっている!」
「落ち着いて聞け。彼が対戦相手を勢い余って殺した。あそこに死体が見えるだろう?」
ナイザーが指を差す方向にルドガーは目を向ける。すると、そこにはナイザーの言うとおり、対戦相手であった仮面の死体があった。槍で胸部を貫かれて一撃だったらしい。
「なにかの間違いだ! ショウが殺しをするとは思えん!」
「私も彼がそのような事をする人間には見えなかった。だが、事実だ。これから色々と面倒があるぞ。どうする?」
「無論、助けに行く」
「不可能だ。これだけの大観衆の前で起こったことだぞ。それに加えて、彼には立派な動機があった」
「それは、お前の娘を思って!」
「分かっている! 嬉しくもあるが私達は立場のある人間だ。私情は挟めない。私はこれから、騎士団団長としての務めを果たしに行く。すまないが後は頼む」
「辛い役目を押し付けおって……」
「すまない。今度酒を奢ろう」
ナイザーは己の役目を果たしに闘技場へと向かう。残ったルドガーは後から駆けつけてきた四人に事情を説明する。
当然、四人は烈火の如く怒ったがルドガーが静めた。今はどうする事も出来ない四人は耐え忍ぶしかなかった。
改訂済み




