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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第二章

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再び共闘!!

 ほんの一瞬であるが意識を失っていた。幸いにもエル・カローンに攻撃されなかった。もし、されてたら今頃死んでいたはずだ。



 ぐっ……



 なんとか、俺は痛みを堪えて立ち上がる。足が震えて、今にも倒れてしまいそうだ。倒れそうになるが剣を杖代わりにして、なんとか立っている。



 あいつらは無事に辿り着いたのか?



 だが、余所見をしたのがいけなかった。俺はエル・カローンの尻尾に叩きつけられてしまう。今度こそ、俺は意識を完全に失った。




 ◆◇◆◇



「これは、何かの魔法陣か?」



 今、大輝達はショウの作戦により骸龍の後ろに回っていた。明かりの元へと着いたら、そこには魔法陣が刻まれてあった。



「この魔法陣は?」


「今、俺が解析する」



 作戦通り骸龍はショウが引き付けて注意が向いている為、大輝達の存在には気付いていない。そのおかげで、大輝達は魔法陣の解析を行うことがで来ている。



 解析が終わり、大輝が魔法陣がなんだったのかを説明する。



「これは転移魔法陣だ。行く場所はダンジョン入り口。つまり、団長達が待ってる所だ」



 その言葉に四人は喜ぶ。それも束の間で骸龍が大輝達に振り向いた。



「な! そんな冒険者の方は!?」


「あそこを見ろ!」



 留美と楓が指を指した方向にはショウが倒れている。



「そんな!」


「全員避けろ!!」


「ゴアアアアアアアアア!!!」



 骸龍が大輝達に爪を振り下ろす。大輝達は回避に成功したが、魔法陣から離れてしまった。



「くそ! 奴をどうにかしない限り魔法陣を使えそうにないぞ!」


「しかし、大輝さん! 私達よりも強かった冒険者さんがやられているんですよ! どうするんですか!?」


「私が回復させる!」


「そうか! その手があったか!」



 沙羅には《天女の慈悲》という完全回復スキルがある。即死でもない限りは回復させる事が出来る。



「でもどうするんです!? 冒険者さんの所へは距離がありますよ!」



 留美の言うとおりだ。冒険者が倒れているとこと大輝達がいるとこは距離が離れ過ぎている。骸龍の攻撃を躱しつつ、あそこまでたどり着くのはほぼ不可能に近い。



「俺が奴を引き付ける! だからみんなで冒険者の方を回復して欲しい!」


「大くん無茶だよ!! あの冒険者の人だって私達の倍のレベルはあったんだよ!!」


「沙羅さんの言う通りです! 他の作戦を考えましょう!」


「沙羅……留美……」


「大輝、別の手段があるはずだ」


「そうです! 大輝さん一人が囮になるなんて無茶です!」


「楓……クリス……」



 大輝は俯き黙ってしまう。しかし、大輝はすぐに顔を上げて全員を見回す。その顔はやる気に満ち溢れていた。



「やっぱり、俺が引き付けてみんなが冒険者の人を回復して欲しい!!」


「それなら私がやります! 私のスキル《拒絶の防壁》は魔力がある限りあらゆる攻撃を防ぐことが出来るんですから!」


「ダメだ、留美! 君が皆を守れ!」


「ッッ!」


「なら大輝、私が君と共に囮になる! 私のスキル《星弓の加護》は絶対命中の弓矢だ!! 君と二人なら!」


「楓も皆を守ってくれ!」


「大輝……!」


「これは俺一人でやる。頼む!!」



 全員が黙ってしまう。その沈黙が破られる。一人の幼馴染によって。



「わかったよ。大くん。私が冒険者の人を回復させてくるまで死なないでね」


「沙羅さん! 大輝さんを囮にしてもいいんですか!?」


「よくないっ!!!」


「ッッッ!!」


「囮になんてなって欲しくない……でも大くんがやるって決めたんだもん……私には止められないよ……」


「ごめんな、沙羅……」


「ううん、大くん昔から無茶ばかりするからわかってる。でも私が戻ってくるまで絶対に死なないで! 約束だよ!」


「ああ! 約束する!」



 二人が約束をして全員に告げる。桐谷を囮にして冒険者、つまりショウを回復せするために。



「行くぞ!!!!!」



 大輝が骸龍へと突っ込む。それと同時に他の四人も冒険者の元へと走り抜ける。



「グルルルルアアアアアアアアア!!」



 大輝に爪が向かってくる。すかさず大輝は障壁で防ぐ。骸龍は次に尻尾を叩きつけるように振り下ろしてきた。大輝は避けて魔法を放つ。



「いけっ! 双炎球!!!」



 二つの炎の球が弾丸のように回転しながら、骸龍へとぶつかる。しかし、骸龍には全くのダメージがなかった。骸龍は口から黄緑色の液体を吐いてくる。



「くっ!!」



 大輝はそれが何かを一瞬で分析し防御せずに避ける。液体が触れた地面が溶ける。液体は溶解液だっため大輝は防御せずに避けたのだ。



「真空列刃!」



 見えない刃が骸龍を斬りつけるが表面の皮を少し斬りつけるだけで効果はない。それを見た大輝は落胆する。



「ダメか……」


「グオオオオオオオオオオオ!!!」



 骸龍は両方の爪で大輝を攻める。大輝はなんとか避けるが爪に掠ってしまう。



「うぐっ……」



 掠っただけで、このダメージと大輝は顔を歪める。冒険者の人はどれだけ強かったのか。これほどの敵を相手にしてたのかと改めて大輝は冒険者の凄さを実感した。



 だが、今はそんなことを考えてる場合ではないと大輝は態勢を立て直して骸龍に魔法を放つ。



「雷斧!!」



 雷の斧が骸龍の頭に直撃する。骸龍は何事も無かったように大輝に尻尾を叩きつける。



 一方、大輝が骸龍を引き付けている時、四人は冒険者の元へと辿り着いて居た。そこで四人が冒険者の顔を見て異世界人の三人が驚くことになる。



 何故なら、冒険者は以前に大輝達を救ったショウだったのだから。



 驚いて、当初の目的を忘れ掛けていたが、大輝と骸龍の戦闘音を聞いて我に変えった全員は、落ち着きを取り戻し回復を行った。




 ◆◇◆◇




「うっ……あれ……俺倒れてたのか……?」


「よかった! 山本君!!」


「あ? 清水か?」


「うん! 山本君が倒れてて私が回復させたの。お願い!! 大くんが、今一人で戦ってるの。助けて!!」


「私からも頼みます!」


「頼む、山本!」


「お願いです! 助けてあげてください」



 目が覚めたら、いきなり四人の美少女に頭を下げられた。内容は好きな男を救って欲しいとのことだが。



 まあ、気に食わないが依頼だからな!



「俺はお前達の護衛だ。助けるのは当たりまえだ」



 その言葉に四人は顔を明るくした。



 羨ましいねぇ~


 美少女四人に好かれているなんて!!


 さて、俺も戦いますか!!



「まだ生きてるか?」


「へっ、この声は?」


「よし、生きてるな!」


「君は山本君!! もしかして冒険者って!」


「そう、俺だよ」


「そうだったのか……」


「まぁ話は後だ! 来るぞ!」


「ああ!!」


「ゴアアアアアアアアアアアアア!!」



 さあ、第二ラウンドの開始だ!

改訂済み

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