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アホで不憫な彼は異世界で彼女を作る為に奔走する  作者: 名無しの権兵衛
第四章

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奴隷になった

 俺は仮面の人に連れられて舞台から降りる。連れられて会場の方へと行くと無理矢理椅子に座らされる。しばらくしていると、他の奴隷達のオークションが始まる。



 可哀想にと思っていたら俺を買った人が手を上げて、また奴隷を購入した。



 この人は金持ってんだなぁ……



 そんな事を思っていたら次々と奴隷を購入していく。一体どれだけ金を持っているのか。そもそも、そんなに奴隷が必要なのか?



 そして、オークションは終わる。今回のオークションで売られた奴隷達は全て俺を買った人の物となった。



 理由は気になるが、後味が悪くなくて良かった。正直、俺に話しかけてくれたあのお姉さんが豚共に犯されるなんて想像したくもない。



 そして、俺達は仮面の人に連れられて会場の外へと出る。外へと出ると、何故か仮面の人は俺以外の奴隷達の首輪を外し始める。



 あれ?


 俺は?



 気がつくと俺以外全ての奴隷達の首輪は外れていた。仮面の人は被っている仮面を外した。その、正体は赤い髪の女性だった。



「ふう……」



 仮面をしていたせいか、息苦しかったのだろう。深呼吸をしている。



「さて、貴方達は帰って良いわよ」


「えっ?」



 彼女の言葉に全ての奴隷達の声が重なる。奴隷達は驚きを隠せず動揺している。いきなり、訳の分からない事を言われたから困惑するのも当然だ。



「あの、帰って良いとは?」



 牢屋で俺に話しかけてくれた女性が赤髪の女性に言葉の意味を聞きたくて問いかける。



「言葉の通りよ。自分達の居場所に帰って良いと言ったの」


「え、あ、でも、彼は?」



 そうだよ!


 俺は?



「彼? ああ、彼だけは欲しいから買ったの。私、初めて奴隷を購入しに来たのだけど……」


「???」


「気分が悪くなったの。だから、貴方達を買って帰してあげたくなったの」



 あら、優しい。



「そうだったんですか……」


「不満?」


「いえ、感謝してます!」


「そう。それなら、帰ったらどう?」


「はい。そうします。本当にありがとうございました」



 女性は頭を下げると何処かへと歩いて行った。あの人、借金の肩代わりで売られたのに帰る場所があるのか気になるけど、これ以上の詮索はいいだろう。



 女性が帰ると、他の奴隷達もゾロゾロと帰り始める。そして、残ったのは俺と赤髪の女性だけ。



 あれ?


 僕は?


 帰してくれないの?



「あら、不思議そうな顔してるわね?」


「いや、だって、なんで俺一人奴隷なんすか?」


「最初に言ったじゃない。貴方が欲しかったって……」


「欲しいって、労働力で?」



 出来れば性欲処理でお願いします。



「性欲処理よ。もちろん、私の」


「なにぃ!!??」


「ふふっ……貴方、経験ないのね」



 ぐっ!!


 童貞を見破られるとは……


 この人出来る!!!



「でも、残念ね。私の旦那のよ」



 クスッと笑いながらとんでもないことを告げてきた。俺は悪魔がいるなら、目の前の人だと今なら言える。



「嘘……だ……ろ……?」


「本気よ……」



 一気に白髪が増えたと思う。この世の終わりがあるとすれば、まさに今がそうなのだろう。さっさと世界は滅んでしまえ。



 頼む!!


 冗談だと言ってくれ!!


 これは悪い夢だ!!


 きっとこれは夢なんだ!!



 自分の頬をぶってみるが痛みを感じる。これは、夢ではないのか。まさか、俺は明晰夢でも見ているのか?



 そうだとしたら納得出来る!


 なんとしてでも目を覚まさなければ!!



「ちょ、ちょっと何してるの!!」


 魔法もスキルも使えない俺は近くの壁に頭を打ちつけようとしている。



「止めるな! 止めないでくれ! 例え夢だとしても、チェリーの前に後ろのヴァージンを失うくらいな死んだ方がマシだ!!」


「本気にしすぎよ! 冗談に決まってるでしょ! それに私の旦那は私一筋よ!」


「本当か……?」


「え、ええ……」



 鬼気迫る勢いで真偽を確かめる。これは重要な所だから。なんたって俺の全てだからな。



「本当に本当なんだな?」


「ええ、本当よ!」



 良かった、これで安心や……



 安心した俺はその場に崩れ落ちる。童貞を失う前に処女を散らす事がないと分かった安心感は凄まじい。



「貴方……不憫ね……」



 うるせえ……


 俺にとっては死活問題だ。



「はあ……それで、本当の所はどうなんですか?」


「本当の所?」


「だから、俺を買った理由ですよ」


「それなら、私の家に帰ってから話をするわ」



 赤髪の女性はそう言うと歩き出した。しばらく歩いていると、馬車が止まっていた。馬車に乗り込むと、走り出した。



 馬車が止まって辿り着いた場所は大きな屋敷の門前だ。街の中にこんな大きな屋敷があるとは知らなかった。そもそも、この辺りについては全く知らないが。



「ここが私の家よ」


「マジっすか!?」


「さあ、もう暗いし中に入って。話はそれからよ」


「はーい」



 赤髪の女性の後を追う。屋敷へと入るとメイドが迎えに出てきた。



 メイドさん……


 なんか、すげぇジト目で見て来るんですけと?


 俺何かしたかな?



「奥様、その汚らしいドブネズミのような男は?」



 なんという、毒舌……



「この子は奴隷よ」


「奴隷? 奥様、何故そのような醜男を? 他にも良い奴隷はいたはずですよ?」


「そうね。でも、彼はレベル520の奴隷よ?」


「520ですか!? 英雄にもなれるレベルではないですか!? どうして、このような醜男が!?」



 酷い言われ様です。どうして、僕の第一印象はこんなにも酷いのでしょうか。なぜ、初対面でこんなにも言われなきゃならんのです。



 呪われてるのかな?


 ねぇ神様、どうして僕はイケメンじゃないの……


 ちくしょう!!



「さあ? でも、彼なら丁度良いでしょ?」


「まさか!!」



 えっ?


 何々?


 俺なんかされんの?



「明日話しましょう。貴方の部屋はこの子に案内してもらって」


「わかりました。さっさと行きますよ。豚」



 待て!


 醜男よりひどくなったぞ!


 ちくしょう!!


 やっぱりブサイクには人権がねえのか!!


 でも、フツメンだと信じたい!!

改訂済み

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