VS三国王 ③
リュードさんは魔力化、ゼオンさんは獣化ときた。流石にこの状況は不味い。ただでさえ厄介な相手がさらに強化されるのだから。
でも、頑張るしかないんだよね!
「グルアアアアアアアアア!!」
「ぜああああああああああ!!」
「はあああああああああ!!!」
ゼオンさんが爪と牙で俺の命を絶とうとしてくる。リュードさんが斬りかかってくる。その二つの攻撃を必死で捌く。ここで、負ける訳にはいかない。
ソニアさんとの約束があるんだから……
でも、正直もう逃げ出したい。だって、このまま逃げてしまえば有耶無耶になるはずだから。でも、指名手配される事になるだろうけど。
そうだよ!!
よく考えてみればもう、俺は関係無いやん!
そうと決まれば適当な所で逃げよう!!
あれ、待てよ?
もし逃げたとしても、俺は殺された事になっている。てことは、俺が生きてたら不自然に思われる。
ちくしょう!!
我ながらナイスアイディアだと思ったのに、やはり俺だからか。俺はどうしてこう上手く行かないんだ。
呪われてんじゃねえの!?
幸運じゃなく不運が高いんじゃ無いの?
訳わかんねえよ!!
くそっ!!
「ゴアアアアアアアアア!!!」
チッ!
思考の途中にゼオンさんが飛びかかってくる。俺はゼオンさん尾攻撃をなんとか避けるものの、避けた先にリュードさんが剣を構えており、俺目掛けて振り下ろしてきた。
やばっ!!
仮面が二つに割られてしまう。俺の素顔が露わになる。俺の素顔を見てゼオンさんが驚愕に動きを止める。リュードさんはゼオンさんが止まったのを見て止まる。
「そんな……ショウくん?」
もう、隠せないか……
それなら最後まで貫き通す。仮面が割られて素顔を見せてしまった俺は構うことなく悪役を演じる。
「アハハハハ!! バレたからには仕方ない。そう、俺が今回起こった全ての事件の黒幕だ!!」
悪役最高ですわ……
一度こういうのやって見たかった。だから、今回はいい経験になる。
「な……」
ゼオンさんが驚いて声も出せていない。当然のことだろう。信頼していた俺がララちゃんを殺したと思ってるのだから。
「君は本当に私達の子供達を殺したのか?」
リュードさんが俺に聞いてくる。確認するのは俺がどういう人間なのかをゼオンさんから聞いているからだろう。もちろん、俺は当たり前のようにを嘘を吐く。
「証拠を見せただろう? 言うまでもない」
「そうか……なら、殺す!!!!」
リュードさんが魔力化を施し一気に俺の元へと詰め寄る。すかさず、俺も魔力化を施しリュードさんにぶつかる。
「はあああああ!!」
「せやああああ!!」
リュードさんが剣を振るい、俺も同じように剣を振るう。激しく剣と剣がぶつかり合う。ゼオンさんは今だ固まったままで動いていない。正確には俺が敵だという事実に動揺してしまい動けないでいる。
俺とリュードさんはお互いに離れる。すると、痺れを切らしたリュードさんはゼオンさんの方へと行く。
「いつまで悩んでいる! 彼は我々の敵だ!! 我々の子供達を殺したんだぞ!? 何を迷う必要がある!!」
「リュード……」
「そうです。リュードの言う通りですよ、ゼオン。彼は私達の命よりも大切な物を奪ったのですから」
「ニルナ……」
「さあ、行くぞ!」
「ああ、もう、迷いはない!!」
「これで終わりにしましょう!」
何故かえらく気合いが入っている三人。さっきよりも闘志溢れてるように見える。
しゃーない……
「来いよ!!! 返り討ちにしてやる!」
気合の入った三人に挑発する。もう笑いが止まりません。ここまでくれば、悪役を最後まで演じきるのみ。舞台は整い、役者は揃った。ならば、最後は華やかに終わらせよう。
「せいやあああああああああ!!!」
「ガアアアアアアアアアアア!!!」
「はあああああああああああ!!!」
雄叫びを上げながら、三人は魔力を高める。離れていても、ヒシヒシと伝わってくる。確実に俺を殺す為の大技を放つであろう力が。
「るぅあああああああああああああああああああああ!!!」
俺は負けじと同様に魔力を高める。向こうが全力を出すなら、こちらも出すのが当たり前だ。
「ロスト・レクイエム!!」
「白き百獣の咆哮!!」
「レディアント・ルミナ!!」
リュードさんが黒い光のような光線を放ってくる。ゼオンさんは口から白い光の光線を放ってくる。ニルナさんは光り輝く白い閃光を放つ。三色が混じり合い巨大な一本の光線になる。
なんですかソレは!?
あんなの喰らったら御陀仏どころか、跡形無くなるぞ!
くそが!
「夜叉金剛時雨!!!!」
俺オリジナルの武器、斬魔を振るう。黒い波動が三人の巨大なレーザーとぶつかる。俺が打ち出した波動は三人の巨大なレーザーを斬り裂き三人の元へと向かう。
「なっ!」
「ガッ!?」
「嘘っ!?」
三人はそれぞれ驚いている。向こうは自分の全力を出したのだから当然だろう。ましてや、三人が協力した技が斬り裂からたのだから驚くのも無理は無い。
黒い波動が三人を飲み込む。
これで終わりかな……
黒い波動が過ぎ去った後、三人は立っていた。だが、その姿は押せば倒れるほどにボロボロの姿だ。どうやら、三人とも耐え切ったようだがそこまでだろう。
俺はボロボロの姿になった三人の元へ歩いて行く。三人はなんとか戦おうと構える。しかし、見るに耐えない弱弱しい姿だ。
諦めないのか……
賞賛するよ、その思いは。
「諦めろ。お前らの負けだ」
俺は三人へ近付き諦めるように促す。三人は例えここで朽ち果てようとも諦めはしないと言わんばかりに、俺を睨み付けている。
「まだ、やれる……!」
「ここで諦める訳には行かない……!」
「子供達の仇を討つまでは……!」
三人が息を切らしながら反論してくる。俺は三人に手をかざす。その時、夜が明け朝日が差し込む。一瞬、朝日に目を奪われた俺はリュードさんにより斬られる。
「がぁ……!」
しまった……
思わぬ反撃を受けた俺は片膝を着いてしまう。これは、ピンチだ。一気に形勢逆転されたと言ってもいい。
改訂済み




