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喰らう

数日後。


男は、女が面白がりそうな人間を一人連れてきた。


「初めまして」


女はいつものように笑った。

仕事の話が始まる。


男は少し離れたところで聞いていた。


最初は何も変わらない。

けれど、ある名前が出た。


女の目が、ほんの僅かに変わった。


「その方とは、今もお会いするんですか?」


「会いますよ。今度紹介しましょうか?」


「ぜひ」


女が少しだけ身を乗り出す。

相手が話す。 女が聞く。 質問する。 相手は嬉しそうに、さらに話す。


男の口元が緩んだ。


喰っている。そう思った。


女は傷つけていない。 奪っているようにも見えない。

むしろ相手は、自分から差し出している。


それを女が喰う。


男の背筋に、細い震えが走った。


会話が終わったあと。


「美味しかった?」


女は少し考えた。


「はい」


「でも?」


「もうお腹空きました」


男は一瞬、言葉を失った。


「……もう一人、いるけど」


女の目が変わった。


男の身体の奥が熱くなった。


「誰ですか?」


「会う?」


「美味しい人なら」


男は笑った。


この時はまだ自分が何を面白がっているのか。

分かっていなかった。


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