9.やばい。これうまくいったんじゃないか?
いつもより長いかもです。
シエルが国へ遊びに来て初日。
父である国王に挨拶を済ませた後。早速英雄王(替え玉)に合わせた。
ラナックはこの後、私が行けない故に遠征に行く予定である。次はいついるかわからないので今パッと会ってしまえばよい。
けして、嫌な事は先に終わらせたいとかそういうことではない。
「シエル様。彼が戦争の英雄王なのです」
「ラナック彼が私の、こ、婚約者の、シエル様だよ」
うぅあぁー。婚約者って照れるなぁ。おのれぇラナックめぇによによしやがって。変なことゆったら後で個別指導だからね!
という、視線を送ったがラナックはまるでこっちを見ていない。ほんといい性格。ほんといい度胸。
「初めまして。シエル・ルントレアです。英雄王のお噂は僕の国まで…」
「しかし、こんなに若い方が来られるとは思ってもいませんでした。正直驚きです」
シエルは人の良さそうな笑顔を彼に向ける。
今日のシエル様はキラキラ控えめなのかな?もちろんそんなシエル様も可愛いらしいので気にしないが。
「ご紹介に預かりまして…ラナック・サンロードです。王都、騎士をしています」
お、なかなか様になってるぞ。ラナック!風格もあるし、これはやっぱりいい線いっているんじゃないか?
ラナックは私の戦場にいつもついてくるし、私の戦をいつも一番近くで見てるからね。シエルに質問されても大抵答えれるだろう。
まぁ、早掛け、一番槍大好き私はまじですぐに置いてってしまうので各戦のさわり部分だけかもしれんが。
「英雄王あなたに会えるなんて、感激です。その強さ、戦略見習いたいものです。是非僕も指導を乞いたい」
すごいなぁ。シエル様は更なる進化?かぁ。愛らしいのに、更に戦も出来るようになるなんて、私とお姉様が一緒になったみたいな感じだなぁ。
私がお姉様と一心同体って事はやっぱり儚くも戦強いって感じかな?うん。それわっけわかんないね。
っていうか、ほんとに儚さをだすって一体どうやってんの??
目をふせる?いや私これきっと眠たい感じに見られちゃうな。しなだれかかる?いや、シエル様倒れちゃいそうだよ。儚いってもっとこぅ……頼りがいの無さそうな……。剣なんて重いの持てなさそうな……うぅどんどん自分から離れていく……違う自分過ぎて居心地が。
「……ン?……メイリーン?」
「え?」
はっと顔をあげると、目の前には、困惑している天使、じゃなくて王子の顔。
「ーーー!!!???」
「あのあの、ごめんなさい。何か?」
「メイリーンは彼とどのくらい親しいのって、何か気になる事があったの?随分考えていたようだけど」
首をかしげて心配する素振り。
あざとい。止めてください。かわすぎて死にます。
「い、いや、何でも……」
「えと、それで、どのくらい親しいか、でしたっけ?」
うーん。直属の部下だし
「……結構?」
「…………ふぅん……」
何故か天使の顔が曇る。
あれ?なんで!?
あ、まてまて、そういうこと?
僕の方が憧れの英雄王と仲良くなりたいとかそういうこと?
なんてかわいらしいのシエル様。
「でもでも、シエル様の方がラナックと仲良く慣れそうですよ!同じ男同士ですし!シエル様も剣が得意だし!」
「ラナックはほんとに、すごいのですよ!彼は私の騎士でもありますから、いつも、ついてきてくれるし、文句いいながらも付き合って下さいます。お姫様抱っこだって軽々と」
何故か、ラナックをアピールするとシエルの顔がさらに曇っていく。
「……貴女は……されたの?」
「私!?何を?」
「その…………お姫様……抱っこを」
「私が!?まさか?」
怪我なしの王女を誰がお姫様抱っこをしたいと思うのか。みんなそのまま首を持ってかれそうだと話しているのを聞いたことあるくらいだ。というかそもそも、全身鎧だし。
「と、とにかく、憧れってのは、憧れられる方は嬉しいですし!シエル様も存在はラナックに取ってとても嬉しいのです!」
よし!アピールしまくった!というか、私暑くなりすぎて、知らない間に手をつないで、シエル様に話してた!?
「わ、すみませ、つい、あの」
慌てて手を話すとシエルが握り返してくる。
「…貴女も、そう思う?」
何を!?っていうか手を!?と困惑してるとシエルの言葉は続く
「憧れられる方は嬉しい。英雄王にとって僕の存在は嬉しいと、貴女も思ってくれる?」
「……え、えぇ。シエル様に想って頂けるのであれば、とても」
どういう事かよくわらなかったが、シエルが私に憧れてるというのは、純粋に嬉しいので、そう答えた。
「そっか」
そう笑ったシエルの笑顔は、花が咲きそうなくらい美しい。今日一番の笑顔だ。
はぁ。かわいい。守ってあげたい、この笑顔。そんなフレーズは彼のためにあると。メイリーンは確信した。
でも、何で今が今日イチ笑顔なのかは、彼女にはさっぱりわからなかった。
ともあれ、英雄王(替え玉)はなんとかクリアできたみたいで喜ばしい。
シエルが一度部屋に戻った頃にラナックと話す
「ラナック。よくやってくれたよ。ほんとにどうもありがとう」
「…………いや、俺はなんも」
「もぅね、風格が、英雄王だった」
「嫌なんですけど。その褒め言葉。40のおっさんって言われているみたいで」
「うんうん。ほんとによくやったよ。ありがとう!じゃあこれ成功報酬ね!」
「は!それはアイリーナ様のクッキー……!!本当に頂けるのですか?おおぉぉおなんと神々しい……」
「うん。この差はなんだろうなぁ。お姉様とのこの違い。そんな私とアイリーナは違うのか?同じ姉妹なのに…」
「天と地ほど差があります。アイリーナ様はそう。月の女神。美しいオーラをまとい。誰もがあの方をおってしまう。月の満ち欠けをついついみて楽しんでしまうのと同じ。あの方は毎日見ていても、いつ見ても気高くお美しいのです。」
「ふんふん。なるほど。対する私は?」
「あ?その辺のゴリラじゃないっすか?」
「クッキー返せオラァァァァァァァ」
結局かわいくない部下ともめあいクッキー3枚くらい奪ったところで侍女のユスタがディナーの支度を、と声をかけてきた。
その後「遅い」と言わんばかりのめちゃくちゃ怖い姉と合流し、王子、お父様とのディナーに至る。
ディナー前にラナックはお姉様に何か報告していた。私が照れていたとかか?いっぺんはげろ。
ディナーは滞りなくいったのだが、帰り際にシエルがキラキラした笑顔をこっちに向ける。昼間ラナックと話してた時とは大違い。
「??、シエル様、笑顔復活されたのですね」
「????、なんのことか全くわからないのだけども……あ、メイリーン。僕にとっては貴女は太陽。貴女なしでは生きていけない。そう思ってくれて構わないから」
そういい残してさっていった。
え?急にどゆこと?私こそ全くわからないのだけども……?暗号か?……暗号なのか???
顔を難しくしていると姉が隣に立つ。
「メイリーン……あんたって子は……」
ものすごく悲しそうな顔を私に向けた。
「え?なに?どうしたのお姉様」
「ばかで、胸がなくて、どうしようもないわね。救いようがなくて、なんだか嬉しいわ」
と、思ったらすごい良い顔になった。
「なんで急に!?酷くない?」
「事実だもの仕方ないわ!」
「事実って人に言われると恐ろしい!」
「それにしてもあの男……」
ちらりと一瞬目を反らしたあと姉はすごい、ものすっごい笑顔で
「メイリーン。言いたいことがあるんだけど」
と、いう
あ、これ、私、今から地獄をみるやつだな~




