8.やばい。まずは影武者を準備しとこ。
「という訳で、私の代わり、ラナック引き受けてくれるでしょう?」
「いや、話のすじみちがさっぱりですが」
ラナックは戦争の英雄王の正体を知っている私の片腕とも呼べる存在だ。
「だからね!影武者が必要なの!ラナックなら、ほら鎧脱いだときのイメージが英雄王ぽいじゃない!特にその左頬の傷!素敵よ!戦でいかにもつきました!ってね?ね?やってくれるでしょ?」
「いやいやいやいや、自分には無理ですよ!そういう器ではないし、貴女のフォローで精一杯です。第一この傷はとある方を守った傷。そんな風にぞんざい扱わないで頂きたい。エルウェン隊長に任せたらどうですか?」
「エルウェンが英雄王ならみんな正体を知ってるじゃないのよ!ラナックお願い!ミエルダもユスタも二人とも女の子でしょ。エルウェン隊の軍事戦部隊で顔だししてないのは私達4人じゃない。この中でラナックが一番英雄王のビジョンに近いのお願い!」
エルウェン隊はエルウェン隊長の元集まった国の精鋭部隊だ。今では国を守るための全てがここに集まっていると言っても過言ではない。情報戦、軍事戦全てエルウェン隊が行っている。
ラナックもミエルダもユスタも私たちの騎士と侍女で私の正体をしりつつ、そして、戦線に出る私が無理をしないかのお目付け役でもある。
という言い方が正しいのかよくわからない。
エルウェン隊は私達を守る部隊の集だったのだが、私達が前線に出過ぎて、最早軍になっているというのが本当のところ。
私達というのは、当然私と姉。
姉は戦場何て、まぁ。という、顔しておいて、自分こそ社交界という情報戦の中に身を置いている。
エルウェン隊は姉であるアイリーナ・センチュリーが自ら情報戦に飛び込んじゃうものだからあわててフォローしてるし、軍事戦はメイリーン・センチュリーが飛び込んでしまうためフォローという非常に可哀想な部隊である。
「ねー。ラナックお願い!」
「できませんて」
「だいたい40のおっさんが入ってるんでしょ!27歳の俺に失礼だと思いませんか!?傷つきました!」
「そんな事いったら、17の私だって傷ついてるわよ!一緒に仲間になりましょうよ!ね!鏡餅握力で握りつぶす方法教えてあげるから!」
「ぜんっぜんしりたくないですけど!?なんですかその取引。下手すぎでは?」
「いいよぉ。上手に取引しても、ラナックが拾ったお姉さまの口紅。届けてないの本人に言ってもいんだよ?」
「鏡餅握りつぶす方法知りたいです!そんなことを知ってるなんて流石!握力ゴリラ並みとアイリーナ様が評価してただけのことはありますね!」
「ラナックこそ、お世辞下手!だから相手にされないんだよ」
「え?ってことは影武者やってくれるの?」
「脅しておいてなんですかその反応」
はぁ、とため息をついて拒否権なんてないんでしょう?とラナックは笑う。
うんうん。交渉成立。
ひとまずの一手は確保させてもらったわ。
「まぁ口紅返さないのはどうかと思うから私が返しといてあげたけど」
「えっ!?いつの間に!!!」
「変わりに、これをあげよう。口紅を拾ってくれたお礼に渡しといてって」
「なんだと!それを渡せ!」
「こらこら、これは成功報酬だよ。ラナック」
「っていうか、王女相手にさっきから遠慮なさすぎ!」
好きな人には、お姉様には素直なのになぁ。
というか、お姉様は本当に罪な人だよ。
何人地獄へ引きずっているのやら。
今に恋愛で、戦がおきても知らないから。
「あ、そいえば鏡餅の握り潰しかたなんだけどね。まず握力を90くらいに」
「興味ないですし。そもそも貴女90もあるんですか?本当にゴリラのようですね」
「失礼な!ゴリラは200くらいあるんだよ!私は150くらいだってば!」
「あぁ。ゴリラで間違え無さそうですね……」
「王女だよ!」
なんなの?もぅみんな私の事王女だと知らないの?いいもん。この機会にお姉様のようなかんっぺきなご令嬢を目指してやるんだから。
目指すだけだけどね。なるとは言ってない!




