7.やばい。法螺貝ならさなきゃ。
そんな、こんなで、お父様が非常に喜び、
「これは、さっさとくっつけた方が自分の身が将来安全だ」という勢いのもと
縁組みはさっときまり、シエルの婚約者となった
。
シエルの婚約者となったからといって国も違うし、結婚もしてないしで、私はわりかし自由である。相変わらず戦場に出たり。
勝利に導いたり。
ただある日そんな日々に亀裂が入ろうとする。
それはライラックの騎士に、シエルが稽古をつけてもらっているというので、天使が稽古?ケガなどあれば全人類が泣いてしまうだろうと、ついてきてしまった。
来なければよかったの……かも、しれない。記憶なくしたい。
目にしたものはシエル様の勇姿。あの天使のシエル様が剣を握る。なんと感慨深い光景か。日頃の行いが(ほぼ武勇)良かったから見れる光景なのだろうか。ならばもっと頑張れば、さらに良い光景が?と、思えるくらいの良さ。
少々の汗は魅力的だし、少し荒い息づかいにも何故か目が話せない。そして、劣勢なのに不敵な笑顔に胸がしまる。
英雄王と言われる私からみたらまだまだ拙いというよりも、甘い技術が目立つが一国の王子は、騎士が仕事ではないので、あのくらいの技量があれば身を守るのも容易いと思われる。
問題はそこではない。
シエルが私より弱いというのは百も承知。
問題は
休憩の合間に
シエルがにこにこと『僕に守らせてほしい』
と言った事だ。
どう考えてもまずい。
貴方の婚約者は1ミリも守る価値ありませんよ。守らなくても傷ひとつ負いませんよ、
そう誰かが彼に教えてあげてほしい。
そりゃ守ってもらえるなら守ってもらってみたいが。私の方が断然彼を守れそうだ。
私が彼より強いと知ったとき、え?今までの発言なんなん?とんだピエロかよと、思ったりしないだろうか……。
というか、最後の振り返りは何なの?
死の宣告?
「英雄王に会いたい」
どうしたらよいのそれ。
会ってますよ。貴方の目の前にいますよ。とか言えばいいの?
貴方の目の前にいるのが英雄王で。
貴方の婚約者が英雄王で。
貴方よりも断然強くて
守る価値もなくて……。
そもそも、
え?40のおっさんが小娘に変化てどゆこと?
僕が実は30歳ですよ。というような嘘だよ。
って言われないだろうか。
15歳のシエル様が
私より年下だからこそ至極のシエル様が30歳と言われるようなもの。
彼が知るときは、どう考えてもお互い絶望。
………………。
や、これは言えないわ。
うん。
だってこれ言ったら終わりじゃんね。
これもう対策立てるしかないよね。
もう私の軍略で、戦場で培った軍略で、嘘を通すしかないね。
ここから、私の戦が始まる。
誰か戦闘合図の法螺貝ならしてくれる?