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運命の番の妹様は、溺愛されて幸せです!~今更、私が番だったと言われても困ります~  作者: 夕立悠理


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18/18

優しさに触れて

「アオリ嬢……」

「……っく、……う」

 お礼も十分に伝えられないまま、嗚咽ばかりが漏れる。

「ーーそうか」

 ルカニア様は頷くと、片手で私の涙を拭った。

「なにがあったかはわからないが……、あなたが傷ついていたことはわかる」

 温かく穏やかな声でルカニア様は続ける。

「俺たちはあなたを大切にする。あなたは、尊重されるべき人だ」


 ……尊重されるべきひと。

 ルカニア様の言葉がまるで、雨の様にじんわりと私の胸に染み込んでいく。

「……っう、……!」

 優しい言葉によって、余計に漏れ出る嗚咽を、唇を噛んで止めようとすると、ルカニア様は微笑んだ。

「無理に止めようとしなくていい。自分の傷と向き合う機会は大切だ」


 出会ったばかりで何も知らない私にも、こんなに優しい言葉をかけてくれる。

 私が特別というわけではなく、ルカニア様は優しい人なのだ。その優しさが、どうしようもなく嬉しかった。





 ーールカニア様は泣いている間、まるで私をあやす様にずっと抱き抱えながら歩いていた。

「……もう、大丈夫です。ありがとうございます。そして、お見苦しいところをお見せしました」

「いいや、そんなことないさ。それに、ちょうどついたよ」

 柔らかく微笑み、ルカニア様は私を下ろした。

 泣いている時は目を配る余裕がなく、慌てて周囲に視線を向ける。


 その部屋で真っ先に目に入ったのは本棚だ。これでもかと、沢山の本が綺麗に並んでいる。

「わぁ……」

 先ほどまで泣いていたのも忘れて、本を眺めていると、くすりと笑う声がした。


「ルカニア様?」

「ああ、いや……あなたは本が好きなんだね」

「はい」

 心の中で、とても、と付け足す。

 チェムター国での私の癒しの時間は本を読んでいるときだけだった。その瞬間なら、私はただの妹でしかないことを忘れられたから。


『僕も本すきー、読んでもらうほうだけど』

 シュバルツは気が合うね、とぱたぱたと尻尾を振った。


「そうなの……それなら、今度、私でよければ読みましょうか?」

『うん!』

 嬉しそうに私に擦り寄ったシュバルツの背中を撫でる。

 大きな犬……というよりも狼くらいの大きさのシュバルツは、やっぱり神秘的で、それでも口調が砕けているせいか、親近感がある。


「アオリ嬢……そのことなんだが」

 ルカニア様が改まった仕草で咳払いをした。

「このシュバルツは、帝獣ーー将来的にこの国、リーフデの武を担う存在だ」

 武を担う存在……。あれ、でも、隣国リーフデで獣が武を担当するなど聞いたことがない。

 私が知っていることといえば。リーフデは、とても強い国だということ。そして、いつも王の傍らには、強い武人がーー。


「もしかして、シュバルツ……さまは、人の形も取れるのですか?」

いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

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