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僕の部屋がアイテムボックスな件  作者: ぎあまん


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魔力とトラブルの予感



 ヴァレンナが気になることを言った。


「いやぁ、こんないいの食べちゃったら魔力が溜まりそうだ」


 と。


「新鮮な魔物肉は、魔石化してない魔力が残っているからね」


 と、姉も言った。

 魔力。

 異世界ではお約束的な存在だけど。


「こっちの世界でも関係あるのかな?」


 ヴァレンナが帰ってから姉に聞いてみた。


「ええ? どうだろ。わかんない」


 人疲れで脱力した姉は雑な答えを返した。


「でも、この前の装備は効果があったんでしょ?」

「うん、あったね」

「それなら、魔力を介した現象はそっちでも有効ってことだから、アキヤも魔力を持てるかもね」

「魔力を持ったらなにができるの?」

「ん〜こっちでだったら魔法とか、スキルの発動にも魔力がいるのかな? いらない感じだけど、なんか見えないところでいろいろ働いている感じがするよね。こっちの人ってそっちよりも頑丈だから」

「そっか」

「私も動く時にはめちゃくちゃ動き回るけど、あんまり疲れないしね。魔力が多いせいだと思う」

「頑丈になるならあるだけいいのか」

「そういうこと。だからこれからも美味しいものを作ってね」

「へいへい」


 この時は、そうなったらいいなぐらいの気持ちだった。


 翌日。

 いつものように学校で過ごす。

 学校のあちこちで静丸がいなくなったことが話題になっていた。

 盗癖のことは公表されていないはずだけど、噂の中に小物泥棒の犯人が静丸だったのでは? みたいなのがあった。

 あれだけ盗んでいたんだから、一部ではそういう噂も出ていたんだな。


 昼休憩が終わって午後の授業の一発目が体育。

 短距離走をするということで、順番に走らされていく。

 僕の番になって教師の「スタート」の合図で走る。


 あれ?

 なんか体が軽いな。

 そう思っている内にゴールに着いていた。


「尾羽って足が早かったんだな」

「あ、いやいや、さっきのはなんか……偶然?」


 なんかみんなが驚いている。

 これってもしかして、魔力の影響なのかな?

 身体能力が向上している?


「偶然なんかあるのか?」

「いや、だってほら、たまにはあるよ」


 一瞬、部活で大活躍する自分を考えてみたけど、なんからしくないなと思ったのでやめた。

 そうなると高い身体能力を活かす方法が他にあるのか考えてみるけど……特にないかな?

 まぁ、体なんて強いに越したことはないんだし、それだけでもいいことなんだけど。

 とはいえそれはそれでもったいないかとか、やっぱり部活で活躍とか考えているうちに体育の授業も終わり、更衣室で着替えて教室に戻る。

 別で体育をしていた女子とも合流したり、移動する他クラスの生徒も混ざって階段で人が詰まった。


「きゃっ」


 その時、上で声がした。

 未だ考え事をしていた僕は顔を上げ、階段から足を滑らせてこちらに近づいてくる背中を見た。


「う、うおっ!」


 ほぼ反射で体を横にしつつ、落ちてくるその背中を両腕で受け止める。

 うっ、さすがに空中キャッチはきつい。

 僕まで足が滑りそうになったけど、なんとかそれは堪えた。


「うおおお、根性!」


 みんなが見守る中で、かっこいいとは言えないけれど雄叫びを上げながらお姫様抱っこに成功。

 お姫様抱っこ?

 そうだこの背中は女子だ。

 誰だったんだって……堂城さんだ。


「……」


 堂城さんも驚いた顔で僕を見ている。


「尾羽くん?」

「うん、そう」

「たすけてくれて、ありがとう」

「どういたしまして」


 答えながら、ゆっくりと堂城さんを下ろす。


「大丈夫だった?」

「ええ。でも……」

「でも?」

「ううん、なんでもない。ありがとう」


 堂城さんは、なにかを言いかけた。

 それがなんだったのかと思いつつ、先に階段を上がっていく彼女を見上げていると他にも堂城さんを見ている視線があった。

 堂城さんは美人だから誰かに見られていてもおかしくはないんだけど……。

 ちらっとその人と目が合った。

 慌ててどこかに行ったその人の目は、堂城さんを憎んでいるように見えた。

 もしかして、さっきの人がわざと押したとか?

 堂城さんは金持ちっぽいし、知らないところで妬まれたり恨まれたりしてそうと、ちょっと同情した。


「っていうことがあったんだ」

「なにそれ、怖ぁ〜」


 家に帰ってアイテムボックスの中の整理をしながら学校でのことを姉に報告する。

 戻ってくるなりアイテムボックスの中のものが次々と入れ替わり、新しいものが入ってくる。

 これってもしかして回復用のポーション?

 この間のファイアブルの大移動に対処した件で大勢が負傷したので、回復用ポーションの需要が高まっているのだとか。

 売るポーションの数を確認し、売る用と保管用に分けておく。

 むう、高性能だ。

 これは僕には作れないとわかる。

 僕が作るものは、姉よりも技術が低い仕様になっている。

 姉のクラフトレベルが100だとしたら、たぶん僕は80ぐらいになるはずだ。


「ううん、待ってよ? 堂城?」


 ポーション制作がひと段落して、僕がお茶とおやつを用意したところで姉がそう呟いた。


「なに?」

「あの美人の堂城?」

「そう」

「え? アキヤってあの子と同じクラスになったの?」

「そうだよ」

「……陽キャの道を行く気だな」

「どういう感想?」

「ああいや、そうじゃなかった。ううん?」

「なんなの?」

「堂城って名前でなにか思い出せそうなんだけど……ああ、だめだ、忘れた」

「なんだよそれ」

「なんだかんだで、私にとっては十六年前のことだからね? 細かいことを覚えておくのは無理ってものよ」


 それはそうかもしれない。

 でも、姉がクラスどころか学年の違う堂城さんと関わりがあったとか、あるか?

 ないとは思うんだけど……。

 ちょっと堂城さんに聞いてみようかな?

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