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第50話 由依ー白の神子様が愉快なことしてる


 ほいほい。馬車の旅で1週間という話でしたが、到着しましたよコーデの街!!



 さすがに私もタツルも馬車の中じゃ熟睡できないのでこの1週間の間は夢は見なかった。


 しょうがないね。



「どうなってんだこれ?」


 コーデの街に到着したはいいんだけど、宿屋に馬車を置いて来ようと思ったんだけどさぁ………


――白の神子様ー!


――白の神子様かわいー!


――白の神子様ばんざーい!




「なんかやべえ宗教でもやってるみてえだっぜぃ!」



 完全にお祭りムードだった。

 佐之助が困惑するのもわかる。


 みんながみんな、白の神子様がどうだと叫んでいるのだ。


 白の神子ってのは、タツルによると俊平ちゃんのことだってのは事前に把握している。

 たぶん、盛大な勘違いかなにかで俊平ちゃんがやらかしたんだろう。


 今日の御者は私だから、はやく馬車停めたいのに………。



「すみませーん!」


「白の………なんだい嬢ちゃん!」


「宿屋ってどの辺ですか? 厩舎の場所も教えてくれると助かります」


「ああそれは………。」



 その辺のおじさんに道聞いて、なんとかチェックインと馬車の駐車と馬を厩舎へと案内して、一息ついた。



          ☆



 ひとまず宿屋………というかホテルに荷物をまとめて置いたタツルが、馬車の旅でクタクタになったみんなを見回すと


「なんかお祭りやってるみたいだけど、見に行くか?」


 タツルはリーダー面してそんなことを聞いた。


「私は行くー!」

「田中は由依にゃんと樹にゃんと一緒に行動するにゃ!」


 私が即答すると、私と樹はセットだと思っているタナカちゃんがついて来た。


「儂は酒に合うつまみでも探してくるかのう」

「俺っちは馬車の旅でクタクタだからすこし休むっぜぃ!」

「ワイは商会に荷物届けたら見て回るわ」

「俺は………俺は………誰に便乗すればいいんだ?」


 タエコちゃんは屋台でつまめるものを探しに。

 佐之助は馬車疲れのせいか、ベッドにゴロン。

 ショーゴは商会への荷物の運搬を頼まれているから、それの納品。

 テツタはみんなバラバラだったから誰に便乗すればいいのかわからなくなっていた


「鉄太は俺たちと来い」

「わかった!」


 指示待ち人間特有のやり取りだが、指示さえあれば鉄太はちゃんと働いてくれる。

 今回は人数が多い私たちと一緒に行動だ。


 私とタツルとタナカちゃんとテツタで、やりたいこともあるしね。



「ユカリコはどうする? 幼馴染がいないと不安?」

「………。私も一緒に外に行くよ」


 エロガッパと二人っきりにはできないもんね。


 今回の旅行はユカリコを超人幼馴染たちと別離させ、私たちが行動を監視しているの。

 ほっといたら迷宮に突っ込んじゃうんだから。


 大陸を横断する迷宮の広さだよ。

 全部把握なんてできないって。



 というわけで、佐之助がつかれて休んでいるならば俊平ちゃんの位置を特定できないということで、今日の所は出会えないかもしれないが、祭りの様子から、中心に行けば何とかなりそうな気もするな。


「じゃあ佐之助は荷物番だね。貴重品は全部ショーゴに持たせておけばいいから…………。あっても着替えだけだね。」


 みんなのバッグを預かる佐之助はベッドに伏せたまま親指を立てて


「わかった………。お土産よろしく。土産話でも可。」


 馬車の揺れでだいぶグロッキーみたいだ。

 ベッドに伏せたまま、身体が左右に揺れている。

 本人も俊平ちゃんに会いたいだろうに、自分の肉体がまだ振動しているような錯覚があるようだ。


「了解。そうだ佐之助。どっちの方向に行けば幸せになれそうか?」


「ああー………北北東。」

「わかった。ゆっくり休め」


 北北東に俊平ちゃんがいるってことか。


 ここまで来て、動けないのは本人としてもつらいだろうな。

 佐之助は馬車酔いには勝てなかったのだ。


 悔しかろう。先に会いに行って無事を知らせてあげる。



「タエコちゃん、ここから北北東って何があるの?」

「待て待て………ほう、件のエデン湖じゃな。しかし、これは………」


 タエコちゃんは目をつむって眉間に人差し指を当てると、どこから仕入れた情報なのか、そんなことを言った。


 たぶん、式神かなんかで上空から偵察とかできるんじゃないかな。

 やっぱり妖怪だわ。


 大妖怪が味方にいるってだけで心強い。


「まあ、行ってみるがよかろう。悪いようにはなっておらん」



 なんだかすごく不穏なことをタエコちゃんが言っているんだけど………。


「とりま、せっかくの旅行やし。祭りの堪能くらいはしたろうや」


 パン! とショーゴが柏手を打って締めくくった。



          ☆



外に出ると


「白の神子様ー! ありがとー!!」

「白の神子様ばんざーい!!!」


 マジですごい人気だな俊平ちゃん。


「あの、すごい熱気ですけど、今日お祭りとかあるんですか?」


 タツルがその辺のおっさんに声を掛けて情報を収集する。


「ああ、めでたい日だからな。なんと白の神子様が降臨為されて、エデン湖に住む群青竜を討伐してくださり、五戒魔帝、飲酒のドリンキーを退治して下さったのだ!」


「なるほど………。」



 ………。やっぱりなんか俊平ちゃんが愉快なことしてるーーー!!!


 







あとがき



次回予告

【 エデン湖の美味しい水 】


お楽しみに



読んでみて続きが気になる、気にならないけどとりあえず最後まで読める程度には面白かった


と思ってくださる方は

ブクマと

☆☆☆☆☆ → ★★★★☆(謙虚かよ)をお願いします。(できれば星5ほしいよ)



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