死の音楽隊
すいません本当に何ヶ月振りかもわからない更新です。なんというか、過去最大の長期的なスランプにはいってました。
「それで、不審な死とは?」
「人伝で聞いた故、誠かどうかはわかりかねますが……聞いた話によれば、皆発狂死したとか」
「発狂死?」
「左様でございます」
「確かに不審ではありますが……それだけでは……」
俺はうーんと唸る。発狂死は身近な死に方とはいえないが、冒険者と貴族は意外とある死に方だったりする。冒険者は魔物によるトラウマ、仲間の死などで起こりやすく、貴族は政権争いによる呪殺などが挙げられる。
なので発狂死は世間的に見たら不審なのかもしれないが、上流階級のものからしたらそんなことはなかったりする死因だ。
「拙者も本国における上流階級の末席を預かるものでございます故、ただの発狂死ではそこまで不審には感じませぬ。 ただ、本題はここからでございます」
「本題?」
「えぇ。 発狂死したある貴族は熱いと叫び続けながら死に至り、とある商会の長は陸の上で溺れたように踠き、さらにまた別の令嬢は体が割れると絶叫しながら息絶えたと……他の者も多種多様なことを叫びながら死に至っているようで」
「それは確かに……」
「さらにおかしな点は、そうして死んだ者は皆肉体には傷一つついていないのです。 正確には、亡くなる際に叫んでいる内容の外傷が見つからないということでございます」
熱いと叫ぶ貴族には火傷あとはなく、もがき苦しんだ商会の長は呼吸器に傷はなく、令嬢の体はヒビ一つ見つかっていないらしい。
「不審……ですね」
「死した人々は国も階級も別々であり、死んだタイミングもバラバラ。 そして彼らに共通する唯一の項目が、人生で音楽隊の合奏を鑑賞したという点であるとか。 しかし彼らが聞いた音楽隊の名前は必ずしも一致しているわけではなく、そこから上流階級の中では正体は不明だが、きいたら死ぬ音楽隊が存在しているという噂がながれておるのです」
「それが死の音楽隊……」
「左様でございます。 拙者が此度の音楽国際交流に派遣された理由は此の死の音楽隊の調査という面もございます」
まぁまだ手掛かりらしいものは手に入れられてないですが……と呟くアカリ。
アカリは自分の知ってることを話してくれた。誠意には誠意を返すべきだ。
「関係あるかわかりませんが……」
俺はアストラさんの予言の内容、そして今俺たちが動いていることなど事細かに話した。
「なんとその様なことが……拙者にできることがあれば喜んでご助力いたしますぞ!」
「ありがとうございます、アカリ殿」
「拙者の予想にはなりますが、今回のアストラ殿の予言の実行犯は、おそらく死の音楽隊が引き起こすのでしょうな」
そう言いながら考え出すアカリ。俺も同じ結論に至った。
「先ほど名前の挙げられたお二人はお会いになられたのですかな?」
「いえ、直接聞きに行くにしてもどこにいるか探す時間があるかわからないので、サンクチュアリ所属の合奏団の方々に話を聞きに行こうかと思っていたところです」
「……一つ、理由も根拠もない、こじつけではあるのですが、よろしいですかな?」
「? え、えぇ……」
アカリは茶を一口飲み、喉を潤してから端的に言い放つ。
「おそらく、テーラー殿が怪しいかと」




