0-3 愛奈
投身自殺未遂から約2週間がたった。
私はまだ病院で安静とのことだ。
母親に頼んで自分のノートPCを持ってきてもらった。
「まったく、なんで死のうとかするの、たった一人娘を失うかと思ったんだよ」
「ごめんなさい」
「二度とこんなことしないって約束してくれる」
「はい」
「じゃ。母さんいったん家に帰るね」
「うん」
母は個室の病室を後にした。
私は未だに自暴自棄になっていて完全な無気力状態だった。
カウンセリングが必要だって医者に言われた。
カウンセリングは早くて明日から行うとのことだ。
最近自分の名前がわからない。
右腕は相変わらず左手だけでパソコンを扱うのは至難の業だった。
やがて日が落ち夜が来た。
母がきて二時間程度会話をしたのち母は帰っていった。
また明日来るといって。
朝目が覚めるとそこは森の中だった。
葉の間からうっすら太陽の光が入ってきた。
私の格好は病室のパジャマのまま。
「ここはどこだろ。夢かな」
そっと右腕に触れる。
はっきりした感覚があった。
夢じゃないと思ったらすこし肌寒さを感じた。
「帰らないと」
そう声に出すと同時にどうやってと疑問を頭をよぎる。
「あ、頭が」
頭痛で頭を抱えて座り込む。
やがて意識は深い闇へと落ちた。
数分後目が覚めると自分の名前も何故ここにいるかも余り分かっていなかった唯一わかるのがここはで自分が戦乙女、時間がたつことに必要な情報が頭に入ると同時に昔の記憶がフラッシュバックし始める。
「ここは、どこですか。頭の中に色々流れてきて頭が痛いです」
ゆっくりと周りの音に震えながら前へと歩いていく。
背後からの視線を感じて振り向くが誰もいない。
「誰ですか?誰かいるんですか」
「敵だったらどうしましょう。えっと神装を使えば超人的な力が使えるのですよね」
「えっと神装『アー」
体の中心から炎に包みこまれて一瞬のうちに灰へと化していく。
「人間ってもろい。すぐ壊れちゃう。新しいおもちゃを探さないとね。きゃははははははははは」
昼間の樹海に悪魔の様な笑い声が木霊する。
エピソード愛奈 END