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八歳になりました

八歳になった。

今日は魔の森に行く。


浅い所で狩りをする。

魔物の毛皮は、普通の毛皮より高く売れるし

皮袋を作って空間拡張を付与すると、

かなりな容量の袋ができた。


今度は斜め掛けバッグを作る予定なのだ。


兎や狼は手早く狩れるようになった。


ガサガサっ

現れたのは、魔の森の熊初めて見た。


雷を放ってみる

あまり効いてないな

毛皮を使いたいから火はダメだし、

風刃で頭を狙うと傷を負わせることはできたが、熊さんお怒りモードだ。


結局少々焦りながら浮遊して、

強い風刃で、首を狙い続けた。


ふぅ〜…仕留めたよ


袋に入れて、途中フルーツを採りながら、

森から撤退した。


風と土魔法は開拓で使い慣れているけど、

他の魔法は要研究だね。


町の入り口に転移して、商店へ向かう。


隊商の店も、今は常設になって、

王都やレナシスから仕入れを行い、

逆にマルノー子爵領から珍しいものを

送るようになった。


商人に魔法の袋は必須で

普通の人が使える魔法の袋は

魔術ギルドでも量産はできないらしい

容量の大きなものはオークションに

かけられ高値で取引されるらしい。


王都と取引している商店に入った。


初めて見る冒険者さん?が獲物を買い取ってもらうため、商店に来ていた。


買い取りカウンター的なところで、冒険者さんの後に並ぶ。


冒険者さんの用事が終わったところで、

熊さんを出してみる。


冒険者さんが足を止め、商店の人はちょっと

驚いた顔をする。

何か失敗しちゃった?


商店の人はすぐ気をとりなおしてくれた。


「全部買い取りでいいのかな?」

「毛皮と魔石は欲しいんですけど」

「じゃあ解体の手数料を引いて、毛皮と魔石

以外は買い取りだね」

「はい、あとまだ色々と」


魔の森の兎と狼に、残っていた魚たち

孤児院と家用以外のフルーツを出す。


商店の人はそれぞれを値踏みして、

どこかへ仕舞っていく。


「お嬢ちゃんは領主様のところの

ライラちゃんだね。かなり珍しいもの

を仕入れできたよ」

「あ、はい」

「初めてだからね、フム」


私もこの世界で初めてのお小遣いですよ。


「金貨3枚銀貨20枚でどうかな?」


屋台の串焼きが銅貨2枚くらいらしい

銅貨が100円として銅貨10枚で銀貨1枚

銀貨100枚で金貨1枚、まさかの32万円


「はい、お願いします」


熊さんの解体を待つ間、

治療院と孤児院に顔を出して

商店に戻ると、

解体待ちの控え室に連れて行かれる。

冒険者さんが解体待ちをしていた。


「お嬢ちゃん、あの獲物魔の森の

ヤツだろう?」

「はい」

「冒険者登録は?してないみたいだな

魔の森は13才まで入れないのも知らない

みたいだし」

「ええっダメなんですか?」

「冒険者ギルドの規則だからな、まあ

冒険者じゃないなら知らなかったで

済むか」

「知りませんでした」

「いやぁ、魔の森は危険過ぎて下手を

すると命取りだからな」

「そうなんですか」

「しかし、あれまさかお嬢ちゃんひとり

で仕留めたとかないよな?」

「ひとりでですけど」

「は?」

「あの、私魔法が使えるので」

「そうからそれにしても冒険者

養成学校にスカウトされそうなくらい

だなぁ」


あるんだそんな学校


冒険者さんは解体が終わったらしく

呼ばれて行った。

私もすぐ呼ばれて、毛皮と魔石を受け取る。


商店を出たところでさっきの冒険者さんに

呼び止められた。

無精ヒゲで年齢が判りづらいが、

よく見ると20歳前後の青年?に見える。


濃い青の髪に水色の瞳。

丈夫そうな生地のシャツにズボン、革の

ベストに革のブーツ腰には皮袋の他に、

剣とナイフを提げている。


私の想像する冒険者さんのイメージ通りで、

いかにも旅慣れた雰囲気だ。


「冒険者さんですか?」

「ああ、そうだ。王都に来ることがあったら冒険者ギルドに顔を出してくれよな。俺はダリルだ。マルノー子爵領地の魔の森を調査に来てる。普段は王都に居るからな」

「あ、はい、ありがとうございます

私はライラ・フォン・マルノーです」

「子爵様のお嬢ちゃんかぁ〜魔法使いのお嬢ちゃんがいるって噂は聞いてたけど、あんまり無茶するなよな」

「はい、ちょっと気をつけます」

「ちょっとかぁ、ハハハ」


屋敷に帰って、また父様に報告。


「父様狩りの獲物を商店に売りました」

「そうか王都の学校に入るまで、特に

小遣いも持たせない習慣だったからなぁ

村だった頃は子供が買うような物も

なかったから良かったな」

「それで稼いだので、家にお金を入れる

とかした方が良いかなって」

「ハハハっ娘の小遣いを取り上げたら

ダメだろう」


金銭感覚がわからないので、

父様の机に今日の稼ぎを出してみる。


「ん?」

「え?」

「やっぱりおまえが持っていなさい」

「はい。でも弟たちに、何か買って

あげたりしてもいいかな?」

「そのくらいなら全然、いやおまえ

なら大丈夫だろう。好きに使いなさい」


許可が出た。


服飾店もできたし


今度アメリア母様と弟たちと一緒に

行ってみよう。


料理場には普通の兎とフルーツを届けて、


アメリア母様にも本日の稼ぎを見せて、

家にお金を入れる提案をした。

やっぱり自分で持っていなさいだった。

母様と弟たちと一緒に買い物は許可された。

アメリア母様は、実は、古くからある商店の

娘らしいので金銭感覚を教えてもらおう。




いよいよ10才だ。

弟たちも7才と5才になった。


男の子はやっぱり父様から剣を

学び、家庭教師が雇われた。


貴族の人生も大変そうだね

いや、私が遊び過ぎ?


メリエル姉さん19才

アリティア姉さん17才

イリス姉さん16才


セシリア母様は相変わらず王都で

メリエル姉さんの嫁入りに

頑張っている。

そろそろアリティア姉さんも

嫁入りする年齢なので

セシリア母様頭を痛めているそう。


イリス姉さんも貴族学校を卒業した。

なので花嫁修業の仲間入りらしい。


私は来年学校に行くのだけど、

悩んでいる。

貴族学校ではない普通科学校に

行きたいのだ。


貴族学校は貴族のたしなみや、

王国の臣民としての教育がなされる。


母親が平民の貴族の姉弟はあまり

行かない。残念ながら、イジメは存在する。

身分の上下が存在する世界なので、

跡継ぎ息子ならまだしも、

四女の私にはツラいだろう。


普通科学校は10才になり、授業料や

教材費が払える子供は誰でも入れる。


払える人は限られているが。


そこで冒険者ギルドが登場する。

13才までは学校の休みに、

普通の草原や森で狩りや採取をする。

アルバイトだ。


13才から15才までは実力があれば、

魔の森に行く。稼げるからだ。


貴族学校でも冒険者登録をする者は、

多いそうだ。こちらはアルバイトより

実戦経験らしい。


やはり10年自由に生きてきた私には

自由度の高そうな普通科学校が

魅力的に思ってしまう。


13才まで魔の森に入れないのは

困るが、領地の魔の森に転移すれば、

売る時にバレるか。


とりあえず、今のうちに稼ごう

子爵家の財政状況がどんなものか

わからないけど6人姉弟だから稼ごう。


稼ぎの良い品は魔の森の、魔物や

薬草やフルーツ。


意外に高く売れるのは魚。

川で釣りをする人もいるけど

海の魚は珍しいし美味しい。


学校に入ってからはあまり行けないだろう。

転移すればいいけど、

友達もつくりたいし友達と冒険とか

したいな。


今のうちに、やりたいこと?


ふと思いついた


「父様はお休みの日はありますか?」

「珍しいことを聞くなぁ、そうだな

何日もは休めないが、1日や2日くらい

なら休めるぞ」

「アメリア母様と弟たちと一緒に

海に行きませんか?」

「海か、子供の頃レナート辺境伯爵領地の

海に行ったことがあるが」

「父様の領地の海です。転移で行けます」

「なるほどな」

「領地視察ということで。フフ」

「よし!ライラのお願いなら構わない」

「あと、水遊びをする時に着る服の

ようなモノってありますか?」


水着はあった


父様の休みの日までに、

アメリア母様と色々準備する。


釣竿も町の鍛冶工房で手に入った。


いよいよ当日

マルノー子爵家の大イベントになってた

一度に何人転移できるのかわからない

ので、4人ずつくらい転移して行く。


執政の人と執事さんは留守番

料理人さんは連れて行く

メイドさんたちはくじ引きで


瞬間馬車のように働いて


初めての行楽だ


弟たちは大はしゃぎ

うん。こんな感じが嬉しいよ


水着は肌の露出が少ないレトロな

タイプだった


鞣した革で作っておいた浮き輪と

ビーチボールに風を入れてすぐ穴が

塞がるように魔法で接着


浮き輪の使い方を弟たちに教える


水泳タイムだぁ〜


父様は泳ぎもできた。子爵様が泳ぐ


アメリア母様は泳げないので

念のため用意した浮き輪を使用


私は泳いだり潜ったりして


「ライラの泳ぎは変わってるなぁ」


とか言われたり


ビーチボールは好評で

みんなで大はしゃぎした


次は釣りをする

弟たちとアメリア母様は

ちょっと休憩


父様と釣りって、うん、いいね。


「ライラは随分と色々できるな」

「魔法が使えるからですね」

「そうだなそれにしても自分で

何か考えたり思いついたり」

「お転婆娘ですか」

「うーん何かちょっと違うな」


年の功だよね多分


釣果は大漁

父様も楽しそうだった。


とりあえず魔法の袋に保存。

ここからまたまた大活躍


後ろの岩山の岩を切り出し

竈のようなモノを造り

岩でテーブルと椅子も造る


あとは桶に氷をたくさん


料理人さんが竈に網を置いて

火は私の担当

持って来た食材や採れたての

魚でバーベキュー


デザートは果汁を凍らせておいた

シャーベット


弟たちはちょっと眠そう


岩の柱を造り大きな布をかけて

テント代わりにタオルを敷いて

お昼寝タイム


料理人さんが釣りをしたり

メイドさんたちは水着にはならない

ので靴を脱いで波打ち際で遊んだり


疲れたらお茶や果汁に氷を入れて

休憩


ああ、こういう事がしたかったんだ


家族をもったことがあるから

家族で何かできるだけで楽しい


夕方まで遊んだ。


岩で作ったモノはプライベートビーチ

だからそのままにしておく。


みんなに洗浄魔法をかけて


また瞬間移動馬車


屋敷で留守番の人たちのために

夕食は魚料理とシャーベット


弟たちは居眠り状態だった

毎日剣の稽古と勉強だもんね


学校に入っても休暇の時に

今度はセシリア母様たちも一緒に

行けたらいいなぁ



セシリア母様たちがあまり帰って来ない

のは、姉さんたちの結婚話だけではない。

王都にたまにしか行けない父様の

代わりに、貴族的なお付き合いを

頑張っているからで、


アメリア母様と仲が悪い訳ではない。

この境遇もずいぶん恵まれていると思う



さて先のばしにしてきた問題を

解決しなければいけない。


来客や執政との仕事が一段落した

頃合いを見計らって


「父様大事なお話。お願いがあります」

「ライラのお願いか何かな?」

「学校の事です」

「そろそろセシリアにも言って準備

しないといけないな」

「それで…あの」

「ライラが悩むことはあまりないと

思うが何かな?」

「普通科学校に行きたいんです」


言った。


「ライラ、それは」

「父様もセシリア母様もとても良い人です。私が魔法を好きなように使って、貴族の娘なのに狩りをしたり自由にさせてくれました」


父様、困ってる


「私の魔法も、自由に覚えて使っているだけで、でも父様の開拓のお手伝いも楽しくて、狩りも好きで冒険者にもなりたいんです。冒険者になって領地に戻って、仕事として開拓をしたり、狩りをしたり、貴族学校より普通科学校で、自由に学んで、それで」

「ちょっと、待ちなさい」

「はい」

「父さんはおまえが望むならいいと思う。アメリア母様も大丈夫だろう。セシリア母様がどう言うか」

「怒られそうな気がします」

「来週王都に行く。メリエルとアリティアの婚約が決まったから、婚約披露のパーティーをしなければいけない。その間に相談してみよう」

「何だかごめんなさい父様」


セシリア母様は、怒るかな?



「そんなことは認められません」


王都屋敷である。


「ライラは私が直接教育はできません

でした。でも大切な娘です」

「それはライラもよくわかっているようだ」

「あなたはなんですか、開拓の手伝いを

させたり、狩りをさせたり」

「いやそれはその手紙を読んでくれ」


セシリア母様は頭を押さえる


メリエルとアリティアとイリスの姉妹は


「私は婚約おめでとうって手紙もらったわよ

アリティアとイリスはどう?」

「私も婚約おめでとうって」

「私は時々父様に預けて手紙送ったり

してたからね〜」

「「イリスズルい」」

「ライラは面白いもんね。なんかみんなで

海に遊びに行ったって。今度はセシリア母様

と私たちも連れて行きたいって」


姉さんたちはこんな感じ


メリエル姉さんの婚約者探しが難航した

訳は王都の料理にハマった姉さんが

料理人になりたいと言い出して

セシリア母様を困らせていたから


長女で美人なので伯爵家や侯爵家からも

話があったのに自分で料理ができる家が

いいと伯爵家三男で王都警備隊の方と

なんとか婚約。


アリティア姉さんは貴族的なお付き合い

も苦にならないので伯爵家の跡継ぎと

婚約した。


イリス姉さんはこっそり冒険者にあこがれ

ているそうで、冒険者をしている貴族の

三男か四男あたりを狙うらしい


「手紙は読みました」

「そうか、どうだろう?」


セシリア母様はため息をつく


「ライラはまるで一人前の大人のよう

に考えているのですね」

「私も同じように思っている」

「魔法が使えるから自分は特別な人だと

考えている訳でもないようですし

普通科学校に行く事で、私たちが悪く

思われないか心配していました」

「そうだな…一人くらい自由な娘が

いても我が家らしくていいんじゃ

ないか?」

「あなたがそう言うと何か言いたいこと

がたくさん出てきそうですけどね」


良い流れのようでなによりだ。

ライラはもちろんまだ知らないが


貴族学校、普通科学校どちらにしても、

もう少しで、王都での生活が始まる。


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