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開拓のお手伝い

今日は、馬に乗っている。

いや、父様の乗った馬に乗せられている。


乗馬といえば前世の家族で、なんたら

牧場とかで、観光客用に訓練された馬に

乗ったくらいしかない。


それ、乗馬って言えないよね。


父様の前にチョコンと乗って鞍に掴まる。

走りだす。おお速い。

整備された街道を、いくつかの小さな村を

抜けて走り、荒れ地に着く。


大きな石。20メートルくらいのじゃがいもみたいな、

これが今日の問題らしい。

少し離れた普通の森まで、農地を開墾していて、

邪魔なモノに困っている。

そんな話らしい。


馬や牛に引かせたり数日頑張ったが、うまくいかなくて、父様が見に来たようだ。


岩ではなく石なので、できれば石材に利用したい。しかし、領内の、石を切り出している、石切り場から貴重な石工を連れて来るほどのことかどうか、が、今日の問題のようだ。


馬から降りて石の側まで行ってみる。この巨大じゃがいも、切れないかなぁ?岩は切って遊んだことがあるけど。


話し合いをする大人たちに近づき、

父様に恐る恐る話しかける。


「父様…私が魔法使えるのは、他の人に

知られても良いことなの?」

「うん?ライラは治癒で、もう結構有名

だぞ」

「ねぇ。あの石にちょっと魔法試したいの」

「ハハハ、そうか試すのか、構わんぞ」

「えっホント!」

「ああ父様たちはお話ししてるからな、

邪魔になるようなイタズラはダメだぞ」


本気にされてない気がするが、でも許可はいただいたのだ。


巨大じゃがいもお料理開始です。


まずはお手本になる石材は、

屋敷や橋に使われていたモノを

思い浮かべて、


風で鋭利なノコギリをイメージする。

刃に振動を与えて


チュイ〜ン


切れる切れる

切れなかったら、別のモノを考えなきゃ

いけないところだった。


じゃがいも等間隔にスライス。

横からもスライス。

巨大なフライドポテトができそうだな。


どやっ。と振り向くと、


なんか大人たちが石化してた。


「父様?」

「ん、ああ」

「私何かイケナイことしちゃった?」」


ちょっと不安になった。


「「「「領主様っ?これは?」」」」


石化解けたみたいだ。


「ハハハ、ライラはこのくらいは

普通にできるぞ。なあライラ」


父様ちょっと目が泳いでますよ。


石材になったじゃがいもは牛や馬に

引かせて、運ばれて行く。


何かぶつぶつ呟く父様を気にしながらも、遊ぶ。


森の木を、ノコギリ普通バージョンで

切ったり、たまに出てくる兎を、痺れさせ、首の後ろを風で撃ち出した小石で、仕留める。私は遊び放題で満足です。

もちろん怪我をしている人たちは、

擦り傷までまとめて治癒をしたよ。


結局、父様のお仕事は済んだ訳で、

開墾場を大人たちの笑顔で送られ

屋敷へ帰る。


帰り道は少しゆっくりと、

街道から見える景色を眺めながら。

パンが主食なので、麦畑が多い。草原では、

牧畜も行っている。野菜畑や果樹園もある。


農村の家は、石造りは少なく、木材を組み、

土の壁を漆喰で塗り固めたような、素朴な家が多い。


父様に、普通の森と魔の森の見分け方を、教えてもらう。

普通の森は、木々も周囲に生えているものと

変わらない。獣が出るが、多少の狩りの腕前で、大抵は対応できる。


魔の森はちょっと注意して見れば、木々も周囲とは違う。獣ではなく、魔物が出る。魔物は凶暴で強い力を持ち、普通の狩人では対応できないそうだ。


南で見つけた森は言われてみれば、

植物も見たことのないモノだった。


帰り着いて昼食をとり、南へ遠征するか治癒に出かけるか、悩んでいると、

アメリア母様が産気づいたので、お湯を沸かしたり、治癒をかけて陣痛を緩和したりと


なんだか今日は大活躍です。


二人目の弟ができた。

アメリア母様の地位も安泰?で嬉しい。


長男のルシウス

次男のエリック


可愛いな。精神的には孫みたいな感じかな?


前世の長男は父様と歳が近い。

生まれたであろう、孫は、私と同じくらいの

年齢になっているだろうか?


ちょっと不思議な気分になる。


アメリア母様はとても美しい人だ。

父様はモテる人なのか面食いなのか?


ルシウスは、アメリア母様譲りの栗色の髪に緑の瞳。産まれたばかりのエリックは、多分銀色の髪に濃い緑の瞳。


私は父様譲りの銀色の髪に藍色の瞳だ。


前世がまあそこそこな容姿だったので、美人になれそうなのは、正直嬉しいです。


アメリア母様の産後も、治癒を使って、順調に回復している。


屋敷の中は更なる男児誕生に賑わっている。

しかも長期休暇中で家族が勢ぞろいして、

今年はイリス姉さんも入学するしで、父様も母様たちも忙しい。


そんななか、私は剣や弓の稽古に読書、治癒のお手伝いに、もちろん家事も手伝う。

剣と弓はあまり上達していない。多分才能が無いと思う。


その間の時間に南への遠征も、続けている。

前に行った場所まで転移して、歩いたり翔んだりしながら。



転移魔法は父様にあっさりバレた。アメリア母様が産気づいた時に、町の産婆さんを呼びに行き、慌てて、産婆さんと手をつないだまま屋敷の前に転移したところを見られた。


マルノー子爵家に、生活魔法以上の魔法が使える者が生まれたのは何代も前の、男爵家だったご先祖様以来だそうで、そのご先祖様は貴族学校から魔術学院まで学び、大貴族のお抱え魔導師になったらしい。


妾の産んだ女の子に魔法の才能があったから生意気だ。とかイビられることもなく、むしろ、伸び伸びと自由にさせてもらっている。


父様はあまり中央の政治などに執着していないようで、領地を開拓し、村を作り整備してゆくことが好きな人のように見えるが、


開拓が進めば、王都や他領の職のない人たちがやって来る。村が発達して、町にさらに街へと発展していき、労働力が必要になり、住む人も増える。


父様もそういった形で、王国に貢献している訳で、先代が男爵から子爵へとなり、更にマルノー子爵領地をほぼ開拓できて、

他領との街道も今より整備して、街と呼べるものを造れるくらいになれば、辺境伯爵も夢ではないのでは?と言われている。


一年に一度王都に行くくらいの父様も、

ただの田舎貴族ではないのかもしれない。


そんなわけで、父様は開拓現場によく連れて行ってくれるようになった。

何かしら手伝えることもあるし、一度行けば父様と転移できる。


遠い場所で怪我人がでても、転移して治癒できるので、瞬間訪問看護師でもある。


開拓も順調で領民も増えると、人や物の動きが活発になり、更に発展する。



七歳くらいになった頃、すっかり父様の開拓助手として領内を巡っては遊び、色々な魔法を試していた頃、


屋敷のある、領地の元となる町を、更に

本格的な町にすることになった。


レナート辺境伯爵領地との街道を、石造りの大きなものに整備できたため、隊商が来る頻度が増えた。

北の小さい男爵領地へ向かう街道も整備でき、領地内の道も街道になり、計画的に村を増やし、所々町も建設されている


農地は、新しく開墾されて、川から水を引き、橋や水車小屋も作られてゆく。


古い村の農民も、新しく広い農地に移住していったり、新たに人が住み着いたりする。


この先の発展を見据えて、領主が住む町を

いずれ街にもできるように改築するという

計画だ。


開拓、開墾、開発、新しい場所や、物。

期待に胸が膨らむ。

ライラも、町も、成長していた。



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