表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/56

五歳になって

いよいよ五歳になる頃、

アメリア母様は身重になった。

悪阻がひどい時期は、治癒魔法を使って、

「少し楽になる」

と喜んでもらえたので出産の時も、

痛みを軽くできるかなと思っている。


家庭教師が、読み書きと、簡単な計算を、

五歳になったら教えてくれる予定だったが、

私が、姉さんたちに、手紙を書いたり、魔法関係の本を読み、計算もなぜかできることが

わかり、勉強させられる予定はなくなった。


数を数えるとか、ひらがなを書くとか、最初からやり直しは、ツラいだろうなぁと思っていたので、正直ホッとした。


10月、念願の五歳になった。

何が念願かと言うと、五歳で外出解禁の約束だったのだ。

これで人の居ない場所で遊べる。


マルノー子爵領地は王国の南東部にある。

西の山脈を境に、レナート辺境伯爵領地と

接している。


子爵領地は北西部を起点に開拓が進められて

いる。平原もあるが、森が点在している。

丘や小さい山もある。

開拓は容易くはないけれど、

いずれ開拓が進めば海辺にたどり着けて、

豊かな領地になるだろうと期待されている。


辺境貴族が開拓に苦労するのは、

荒れた土地も、勿論だが、森。普通の森では木を切り出し狩りをする。

問題は魔の森と呼ばれる、普通の動植物では

なく、魔物が生息し希少な植物が生えて、

一般的な狩人では踏み込めない場所だ。

では、誰が狩りをするのか?


王都や地方でも街と呼ばれる場所には、

大抵冒険者ギルドの支部があり、

冒険者資格をもった者がソロや、チームを組んで魔の森に挑む。


冒険者は、剣や弓など武芸に秀でた者や、

攻撃魔法や治癒魔法に秀でた魔術師など、

貴族の、跡継ぎではない者や、平民が多く、

冒険者の養成学校もあるらしい。


冒険者の仕事も狩りや採取だけではなく、

隊商の護衛や、盗賊の討伐などもする。

魔の森を目指す者は多いが、危険な場所が多く、甘い考えだと命を落とすこともある。


とりあえず今のライラはそこまでのことは

知らないけど。



まずは東を目指すか、南を目指すか?

海を見たいと思っている。

海といえば南を思い浮かべるが。


革のベストをシャツの上に羽織り、スカートではなくズボンに革のブーツ。

魔法が使えることを知った父様が、

王都で買って来てくれた、魔術師用の皮袋。

かなり高価なモノで、あまり我が儘を言わないライラのために奮発してくれたみたいだ。


この皮袋は王都の魔導ギルドで作られた、

魔導師用のなかでは、普通の品だそうで、

持ち主の魔術量で収納量が増えるという

が、普通の品なので限界がある。


高価な品ほど限界が増えるそうで、珍しい魔物の皮で作られた、高位の付与魔法が使われた品なら、魔導師の魔術量次第で、容量無限に近いとか、これもライラは、まだ知らないことだ。


皮袋には昼食のパンを入れた。魔法の皮袋は

時間停止も付与されていて、鮮度は抜群。

腰のベルトには剣、ではなくナイフ。


今日は南を目指すことにする。



最初は歩いて、だんだん小走りになり、町を抜ける。町が見えなくなった所で、

裏庭で練習していた魔法をまずはお試しだ。


重力に反発するイメージをする。

今までは村人が見て腰を抜かすと困るから、

裏庭の木に隠れる高さまでしか使わなかった


ふわりと身体が浮き上がる。

推進力のイメージをする。


翔んだ。速過ぎて息が苦しくて慌てた。

しばらく制御に慣れず、

空中をカクカクしていた。


うん。誰か見たら腰抜かすね。

誰も見ていないことを願おう。


とりあえず帰りの転移の魔力量は、最低限残っていないと困る。他に試したい魔法もあるので着地。


ちなみに青くてぷるっとした魔物は、居なかったよ。

勇者と魔王なんて話も聞いたこと無いしね。



目の前に鬱蒼とした森がある。

ここなら少し暴れても大丈夫そうだな。

チラッと兎のような姿が見える。


よし、風で草刈り鎌のようなイメージで、

攻撃だ。狙いは、首。


シュッ

胴体首と泣き別れの図。


うん。まあ、結構グロも平気だった。


この兎毛色が銀色っぽいなあ。綺麗だ。


ガサガサ


あ また何か来た、血の匂いのせいかなあ


うわっ多分狼だ。3匹だよ。


ちょっと不安になるけど、せっかくのお試し魔法だ。


土から槍が生えるイメージをする。


ドシュドシュドシュっ


なんかキリがなさそうだから、とりあえず獲物たちをそのまま袋に入れるかなあ。

袋のなかで混ざることはないらしい。

けど、気分の問題でパンは取り出す。


で、やっぱり獲物引きずって入れるの?


袋の口を近付けたら入った。良かった。さすが、魔法の袋、便利だ。


魔力量が心配なので、今日は無理しないで

森から出る。

こんな入り口でも獲物が出るって、

未開の地は大変だなぁ。


ついでに、手の届く果実のようなモノも

5〜6個いただきま〜す。


治癒魔法の練習で毒探知と解毒習ってたから

果実に毒探知した。大丈夫、毒はない。


森から少し離れて、岩に腰掛けパンを食べる。水は、水筒とかないから、入れ物持ってくれば良かったなぁ。氷を作り、口に入れて溶かす。


時計もないし時間がわからない。

昼は過ぎたと思うけど、魔力もまだ大丈夫そうなので、もう少し南に飛んでから、帰ろう。


初日はこんなモノかなぁ?


汚れた身体には洗浄の魔法。これは

水系だけどびしょ濡れにはならない。

お湯が貴重な田舎なので清潔を保つには

とても便利な魔法だ。勿論、本から仕入れた知識だよ。


そこからは村の教会裏に転移して、治癒のお手伝いと、聖女様の色々なお話でお勉強。


夕方には歩いて屋敷に帰る。


父様に森の入り口で見つけた兎を、

恐る恐る見せた。


凄く心配されてしまった。


普通の草原や森にはいない兎だとか。


そして魔の森の話を聞いた。


果実も狼も余計なことはいわず、

あくまで森の入り口から見て手に入れた。

今後魔の森には近寄らないと約束した。

守れるかどうかは、分からないけど。


五年間の良い子生活のおかげか、外出禁止に

はならずにすんだ。


獲物たちは屋敷の料理人さんが何とかしてくれた。

田舎貴族なので、領内の開拓のために、

危険な狩りも想定内なのか、

冒険者あがりの人材がわりと存在するようだ。


果実は珍しいもので、マンゴーのような味わいだった。

南の気候と、魔の森産だからか、大きい。

ひとつは屋敷で美味しくいただき、

父様の助言で残りは隊商が来るまで、

魔法の袋に貯蔵しておく。


今日の収穫は、まさか五歳児が狩りをした

など言えず、父様の開拓の副産物と、誤魔化して、魔物の解体で得た魔石をこっそりくれた。


魔石は売れば高価らしいが、魔術師にとっては、魔力を込めておけば、要は魔力電池のような、使い方ができるそうだ。



外出解禁初日にして、普段大人しい娘が、

偶然、強烈なお土産を持ち帰り、父様も少し考え方を変えたらしく、アメリア母様の出産も近いこともあり、外出は控えめにすること、冒険者あがりの開拓者から弓と剣の扱いを教えてもらうこと、父様が開拓現場を巡る時時々一緒に行くこと、を約束した。


これはむしろ大歓迎で、やっぱり異世界なら剣と魔法…開拓でもお手伝いできそうで、

充実した日々の始まりだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ