今までも、これからも。
実・視点です。
幸せすぎて、怖いほどだった。これが都合のいい夢などではないことは、自分の体を包み込む悟の体温が教えてくれる。
「俺たち、両想いだったんだね」
「……そうだな。いつからだろ」
「んー、俺は中学生の時かな。まぁ、自覚したのは、ってことだけど」
中学校に入学する前は、恋愛に興味がなかった。毎日、遊びのことばかり考えていた気がする。同級生の女子に告白されても、よくわからないまま断っていた。中学生になると、急に友人たちに彼女ができた。俺は興味がない、と言いながら、悟に彼女ができたらと焦った。彼女とのデートを理由に、俺からの遊びの誘いを断る悟を想像し、絶対に嫌だと思った。悟への想いを自覚するのは、容易かった。
「……俺も。なんか、俺ら、結構前から両想いだったんだな」
「確かに」
思わず、笑ってしまう。どうして、こんなにも長い間、お互いの気持ちに気付かなかったのだろう。親友なのに。……否、親友だからこそ気付けなかったのかもしれない。友情の中に、それと違う想いが混じっていることに。
「あー、……幸せだ、俺」
「……俺も」
目が合うと、照れたように悟は笑った。
この話で完結ですが、
実&悟のその後の話は『デート』で投稿しています。
読んでくださり、ありがとうございました。