招待状
俺とエルローラはエルローラが巫女になった事で常に一緒に居る
俺はあんな広い間で寝ているのが嫌だったので普通の個室を用意してもらい、そこにエルローラと同居していた
エルローラが家から持ってきた荷物を整理しながら
「ねぇ~レイヤール」
俺がベットから寝そべった体勢から頭を上げて「どうした?」
「レイヤールってオスなのメスなの?声的にはオスっぽいけど・・・」
「オスだろう・・・いや待てよ?性別なんてそもそもあるのか?」
エルローラが俺を抱っこして「私が確かめてあげる~!」
俺はビクッと動き「た、確かめるってど、どうやって?」
「アレがついてるかついてないかだよ」
俺は股を見られて恥ずかしくなる
エルローラは俺をもって見回して「うーん・・・無いなぁ・・・」
「オスでもスリットの中にあるから・・・」
そうしたらスリットへと手を突っ込んできて「お、おう!?」
「っあ、あったあった」
「や、やめろ!!」
エルローラは満足そうに
「えへへ、ごめん」
俺が真っ赤になってベットへと戻ると神社の人が
「竜神・・・じゃなかったレイヤール様!レイヤール様にお手紙です」
俺が受け取るとエルローラが驚いて
「レイヤール宛てなんてどこだろう・・・っ!!」
驚いた表情をしている
「ど、どうした?」
「お、王国からだ・・・」
「嘘!?」
俺は文字が読めないためエルローラに呼んでもらう
エルローラは生唾を飲み「よ、読むね」
俺もコクコクと頷くと
「ドラゴン殿、世はドラゴンをまだ見た事がない。だから一度王国へと赴いてはくれぬか?この身は王である故、ここから動く事は叶わぬ。馬車を送ったので断りたかったら断って馬車を返してくれれば良い。いい返事に期待する、 第4代目国王、フリース・マクベルト国王より」
エルローラは口を震わせて「お、王国に・・・」
俺がエルローラと顔を合わせて「「招待された!?」」
その事を神社に知らせると、「良い機会ですよ!この村は王国から遠いが故に王国からの物流が悪かったのですよ」「注目されれば、私達も潤いますよね!」「こらお前達!決めるのは竜神・・・じゃなかったレイヤール様のご意志だ!」
俺はエルローラを見て「俺はエルローラ次第かなぁ・・・1人で行きたくないし」
エルローラが頷いて「それじゃ行くわ!私王国一度でいいから見て見たかったの!」
俺も頷いて「決まりだな」
そうするとタイミング良く馬車の牽引する車輪の音がして「お迎えに上がりましたドラゴン殿・・・」
屈強な騎士が現れる、白銀の鎧に青いマントを背にした、金髪の単発に男として最大のポテンシャルというのにふさわしいイケメン顔の騎士が頭を下げる
俺も頭を下げて「是非お願いするよ」
エルローラが翻訳すると
「そうですか!嬉しい限りです!ささ、どうぞこちらに」
馬車のドアが開かれると内装は豪華なレザーの椅子にフワフワのクッション
そして簡易的に小さいシャデリアまであってロイヤル感が満載の馬車に乗り込む
どう見ても俺達の服装が浮く
「エルローラ・・・こんな雰囲気が続いた場所だったら俺達浮くよな?」
「う、うん・・・服貸してくれるといいね・・・」
と喋っていると騎士が「竜の巫女殿と聞きましたが、いくつなんですか?」
「15歳です」
「15歳で責任がある仕事か・・・大変だね」
エルローラは真っ赤になって「いえいえ!私はただ・・・レイヤールと一緒に居たいでけです・・・」とオーバーヒートした機械が排熱するようにボシューとか言って煙が出る
騎士が俺を見て「ドラゴン殿もゆっくりするといいよ、中にちょっとした飲み物もあるからどうぞ」
俺もペコリとお辞儀すると
エルローラが「レイヤールです!この子は」
「レイヤールですか、これは失礼しました」
俺は早速その飲み物が入ったクーラーボックスのような特殊な木でできた箱を開けると
ワインボトルのような物があり
俺が取り出して開け、グラスにそそいで飲む
サワー系の飲み物に似たお酒の味がした、これは・・・葡萄か!
エルローラに「お酒とかって飲んじゃ駄目とかあるのか?」
「ううん、特に無いわ、でもあんまし好きじゃないだけ」
俺も頷いてワインを飲んで考える
王国からの招待であればあの交渉も持ちかけられるかもしれない、村が魔獣によって危ない状況になっていなら、村で俺が見つけた『あの村で王国が絶対に欲しがる魅力』を話せるかもしれない。もし上手くまとまれば俺は戦わなくて済むし、お金も入る事からエルローラや皆も安心した暮らしができるはず
俺は交渉の事を頭に考えていたら眠ってしまい
そしてしばらく馬車に揺られて気持ちの良い昼寝を済ませると王国へとたどり着いていた
イケメン金髪騎士が「起きましたか!丁度いいですね!到着しましたよ!」
俺が馬車のガラスから覗いて見る
石やレンガで飾られた大通りに出店が並んでいて、たくさんの人が居る、そして真ん中は馬車用の通行スペースが用意され、馬車が前世の車のように言ったり来たり
す、すげぇ・・・
エルローラも起きると「す、すごい!!これが王国!」
イケメン騎士が笑い「ハハハ!こんなんで驚いていたら王国へ入ったらもっと驚くと思うよ」
そしてそのまま走り続けると城の門へとたどり着く、門から見える城は大きく、緑色の屋根に白いレンガの壁、ファンタジックにお城そのものだった
門がガチャン!と開き中へと入る
兵士達が整列し「ベルガート大佐のお帰りだ!全員!!敬礼!!」
兵士達が揃った敬礼をして、ベルガートと言われた騎士の頭に手を当てて敬礼に答える
城の前で停車して
「さぁ、国王がお待ちです、どうぞレイヤール様」
俺もヒョイと下りると若いメイド服を着た使用人達が
「どうぞこちらへ!」と案内される
エルローラが感動して辺りを見回して「うわぁぁぁぁ!凄い!凄い!!幻想みたい!!」
周囲にはこれでもかと職人が作り上げた繊細な工芸品ともいえる建物の壁や床
俺がはしゃぐエルローラに肘でチョンチョン突いて「ここはビシッとするべきだ、村の代表みたいなもんなんだぞ」
エルローラがビシッとして「は、はい!」
そして国王が居る謁見の広間へと案内される
メイドたちがドアに手を添え
「ここが国王フリース様の謁見の間です!」
ドアが開けられ中へと入ると
黒い髭に黒い髪
どこか優しげなお父さんを連想させる雰囲気の国王で
「ようこそ、レイヤール殿、竜の巫女、エルローラ殿、急な押しかけにもよくぞ答えてくれた」
エルローラが固まっていていたので「俺が言った事を翻訳してくれ」と小声で話し
「この度は招待いただいて真に感謝する、私も村で生まれた者として国王にいずれ謁見したいと思っていたので都合が良かったです」
国王は笑い「そうか!気遣い感謝する!それにしても伝説でしか聞いた事がないドラゴン・・・あの村の卵が生きているとは心にも思わなかったぞ」
「私も生まれてからまだ1カ月経ったぐらいですのでまだこの世界について何も知らない事ばかりです」
国王は驚いて「それにしては言葉づかいや、礼儀をわきまえているな、ドラゴンとは高貴な生き物なのだな。伝説通りだ、是非近くで見させてくれ」
俺が前へと歩いて近づくと俺を抱っこしてくる、
やっぱり間近で見るとスゴイカリスマだ、『この人に任せたら大丈夫だ』って感じにさせるようなオーラがある
俺のツルツルスベスベした肌を触れて「凄く良い肌触りだな、私の寝室にも欲しいぐらいだ・・・これは失礼、ついうっかり本音が出てしまったよ、ハッハッハ」
エルローラがモジモジしていて「竜巫女よどうした?」
「あ、あの・・・私・・・」
国王は俺を見ると「そうだったな、巫女殿は竜に仕える存在。愛する竜がこのように肌身を触られている姿は不快だろう、すまぬ、私は珍しい物や生き物にはどうしても興味がそそられてな・・・今日は客人室でゆっくりとするがいい」
「は、はい!!」
そこで俺がエルローラの側に言って「エルローラ言葉を頼む」
「国王様、ここに私達が来たのにも理由があります。それはあの村にたくさんの鉱物資源が眠っている事が分かりました」
エルローラが通訳を終えた後驚いて「っえ!?鉱物資源!?そんな物が村にあったの!?」
国王も驚愕して「なぬ!?やはりか・・・私も前々から鉱脈についてはちらちらと情報を得ていた、よもや村にまで金属があるとは・・・レイヤール殿、交渉と申したが、引き換えに何を望むのだ?」
「村の市民の安全、及び物流の流通」
国王は笑って「なるほど・・・村があるならば坑道や設備を整えるのも容易になりこちらにも、そちらにもメリットがあると・・・よかろう鉱脈があるとならば私も見過ごす事はできない、君達の帰路に調査隊を護衛としてつけよう、鉱脈が本当にあるのなら、君の望みをかなえようぞ」
「感謝します」俺は一礼して去る
こうして俺達は客人室でのんびりする
高給なベットの上で背伸びして『フガァァァァ!!・・・・』
とアクビするとエルローラが「レイヤール村の発展させるってこうゆう事だったのね」
「あぁ、物流が流通して鉱山都市となれば魔獣に対抗するために軍人が街を守るし、魔獣の恐怖も無くなるし村にはさまざまな人や物が流れてより豊かになる」
エルローラは俺を抱きしめてきて「ありがとうレイヤール・・・皆の為にここまでしてくれて・・・」
そうするとさっきのベルガートが入ってくる
「やぁ、レイヤール様と竜巫女エルローラ様、僕が君達の警護に就く事になったから外出が許可されたよ!」
俺より先にエルローラが「は、はい!是非外に出たいです!」
ベルガートが笑い「ハハハ!良い返事だ、さぁ行こうか!」
俺は歩くのが大変なためベルガートに肩車させてもらっていた
「ふふ、まさかドラゴンを背中に乗っける日が来るとは、本当人生とはどんな事に出くわすか分からない物だよ」
俺はコクコク頷く
エルローラは王国の資金で好きなだけ買い物していいと言われ、はしゃいで店を回る
ベルガートが苦笑いして「これじゃ、君のエスコートのはずなのに彼女のエスコートになってしまうね」
俺が頷いて「全くだ、でも俺は別に欲しいのとか無いからな」『ガウ、フガァ、ガガガウ』
ベルガートが驚いて「い、今君の声みたいな物が聞えたような・・・」
俺が驚いて「この声が分かるか?」『ガウガガ、ガウ?』
「・・・・・・気のせいか・・・」
俺はなぁんだと顔を緩めると「ごめんねぇ、レイヤール君」
エルローラが買い過ぎて荷物を持てなくなっていた
「うぉぉ・・・お買いものなんて初めてだから」
ベルガートが苦笑いして荷物持ちを手伝う
俺はベルガートの肩から辺りを見回していると
何かがササッと移動しているのが見えた
「・・・?」
俺がベルガートの肩をポンポン叩くと
「分かってるよレイヤール君・・・」
俺を乗せたまま剣を抜いて
「ふんっ!!」
ガキィィン!
相手の剣が地面へと刺さる
「っち!!」ボロ布を纏った人が後退して逃げて行くので俺がベルガートから飛び降りて滑空して追撃する
相手のケツへと思いっきり噛みつく
「ぐおぉぉぉぉぉぉぉ!?」
相手の悲痛な悲鳴が響いて倒れる
ベルガートがズンッと攻撃した人の側に足をふみ
「さて・・・王宮で詳しくお伺いしましょうか」
ベルガートが俺にグッジョブサインを出すとエルローラが意味が分からずキョトンとしている
王宮へと連行して俺はベルガートの頭の上肩にしがみついたまま一緒に連行された人の事情を伺う
ベルガートは剣を抜き「さて・・・誰に襲えと命じられた?貴様が傭兵な事は分かっている」
剣をおっさんの喉首に突き付けると「ひ、ひぃぃぃぃ!?わ、分かった!話すから殺す事は止してくれ!!・・・・・・相手はクライアント(依頼人)はどこか不思議な女だった!!でかい帽子に黒いローブ、まさに魔女って感じだな。帽子で顔を良く見えなかったが・・・とても真っ赤に口紅を塗っていて白い肌だった、化粧かなにかつけた20代半ばの年齢だろう!!」
ベルガートは俺に目を合わせて「心当たりは?」
俺は首を横に振る
ベルガートは頷いて「わかった・・・それでも私や客人である竜巫女殿に攻撃した処罰は重いぞ、禁錮刑30年って所だろう」
「さ、30年!?そんな・・・!俺は!!俺はぁぁぁ!」衛兵に連れられて禁錮へと連れていかれる
俺は溜息を出す『フガァ・・・』
ベルガートも苦笑いして「ごめんねぇ、きっとドラゴンが欲しい輩が居るんだろう、でも大丈夫!私が切り捨ててあげよう」
俺も頷くとベルガートは立ち上がって「さぁ、そろそろ日も暮れる、豪華な食事会を開こうか」