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アーベンヘルツについて

俺は船に乗り続けたまま1日が過ぎた


ガッツァ大尉に頼んでリュウビに送り届けてもらうから安心だ


レミウスは紙にいろいろと書き綴り、俺と目が合う度にこの先にもらえる栄誉に顔が引きつり笑う


こうなると不気味だ、だが昨晩だが夢でうなされている所を偶然見たのだが、相当苦しい経験をしたのだろうかずっと苦しんでいた


彼女も折れに大して昨日叫んだ言葉には嘘はなかった、きっと彼女なりの闇を抱えているのだろう


俺は壊してしまった船長室の補修を手伝っているとハンマーを振るい釘を打ちながら兵士は苦笑いして「全く姫様も困った人ですよ・・・お姫様なのに軍事に就きたいだなんて・・・」


「っは!?」『フギャ!?』


兵士も苦笑いして「本当ビックリしますよね」


いやいや、そんな雰囲気全くないし、ってか姫様なのにこんな仕事!?


俺が驚いていると兵士も俺を見て「私達は姫様に何かあれば打ち首が確定しちゃうんですよ・・・本当にしんどい・・・」


心中お察しします・・・


兵士が思い出して俺に声をかける「っあ!それより聞きましたよ、私達乗組員全員死傷者が居なかったのはあなたの指示だったんですよね、感謝します」


うん、目的はヴァネッサの奪還だし、兵士殺せばアーベンヘルツが海賊の危険性を訴えて排除されかねないからな、だから全員の武器は殺傷ではなく非殺傷の物を持たせておいた


そうするとレミウスが「レイヤール!」と呼んでくる


俺は駆けつけてレミウスを見上げる


しかしコイツが姫様なのか・・・少し申し訳ない事したな


レミウスが俺を見て「何を変な顔しとる」


「い、いやレミウスは姫様だったんだなぁ・・・って」


レミウスは歯ぎしりして「あんの兵士め・・・っま、その『姫様』って私は嫌いなんだよね」


「どうしてだ?」


「姫様の仕事は他国との交渉について笑顔を振り撒くだけ・・・いわば『国の顔』として行くような物よ・・・本当は裏で剣の付き合いしてくるくせに・・・」


「なるほど、外交として派遣されるって事か」


「そうよ・・・ってなんであっさり理解してるのよ・・・」


「俺の古い故郷もそんな感じだったからな」


レミウスは笑って「それじゃ話が早いわね、つまりそうゆう事、偽善とか私って嘘つけるタイプの人間じゃないからすぐ顔にでちゃって駄目駄目なの、だからこうやって海に出て海軍してる方が楽しいわけ」


「確かにな、俺も嘘つけないタイプだから顔に出てしまう、よく分かる」


レミウスは俺を抱っこしてきて「なんだ似た者同士か」


「いやいや・・・知的では無い所は決定的違いだろ・・・」


レミウスはムスッとして頬を膨らませて「自分は賢い、私は馬鹿みたいな言い方だな~ムカツクわ~」


「そんな事よりだがアーベンヘルツについて詳しく教えてくれ、今後俺がお前を制御しなくちゃならない」


レミウスが更にムスッとして「制御って・・・私を馬鹿にするな」


「言い方が悪かったよ・・・正確には上手く立ち回りたい」


レミウすは頭を傾げ

「立ち回る?」


「そう、アーベンヘルツで俺が交渉し易い立ち位置に居たいって事さ」


ヘミウスは驚いて「なるほどねぇ・・・それで何が知りたいん?」


「まず国はどんな感じか、政治体制、歴史、まずはそんな感じで」


「分かったわ・・・



まず国の感じは海の港街だな、もうレベルが街じゃなくて国だけど・・・主な建物はレンガ構造で、レンガ生産が主流、それと武器や大砲の製造なんかも強いって言われてるなぁ、そんな所。


そして政治体制だけどお姫様みたいなのが国には3つあって


一つが私の家系『ユリコンティ家』『バージスト家』『ボリスト家』って分かれている、そして国民投票でこの家系の中から政治家を選ぶ、そんな感じね


ちなみにユリコンティ家、私の家計が強いとされるのは軍事部門、大砲なんかが武器作るのが強いって事で外交権力がめっちゃ強い事で有名ね


バージスト家は漁業のプロフェショナル、魚な食い物に関しては全部バージスト家が牛耳ってるって言っても過言ではないわな


そして最後にボリスト家、ここはレンガ生産でえらく儲けていて金をたくさん持ってる


それぞれの家系が連携して国が成り立っているって事なの、政治体制は大体こんな感じ。



歴史についてだけど歴史についてはあまり解明されていない事が多いみたい。アーベンヘルツの古い言い伝えでは『母なる大地から逃げてきた難民がここで3つの文化を広げ育った』と言い伝えられている、そのご先祖様が何なのか知らないけど・・・その3つの文化が私達の家系の3つって言われているわ。


以上よ、質問はある?」



「その3つの家はお互いを潰し合っている感じなのか?」


レミウスは頷いて「えぇ、その通りよ、表上は争うと国が維持できなくなってしまうから、政治舞台や表はニコニコ手を取り合っているわ・・・だけど裏は酷いものよ・・・国民も皆うすうす気づいてる、この3つの家系は争っているって・・・特に酷いのがユリコンティ家とボリスト家よ、軍事と金ってどうして切ってもきれない関係なのよ、だからユリコンティ家は内陸の方で資金を得る為に他国に武器を売買しているのよ、そもそも売買しなくちゃならないのはボリスト家がユリコンティ家を毛嫌いして、金を全て着服しているせいなのにボリスト家は売国奴だのいろいろとほざいてるわ。でもボリスト家は国民の公園やら公共施設を多数作る事から国民も渋々ボリスト家寄りに政策になってしまっているわ」


「うわぁ・・・それじゃボリスト家は軍事を軽く見ているという事か?」


レミウスも頷いて「そうよ、アーベンヘルツが平和を謳歌できているのには理由がある、こちらに絶対的に軍事力があるから、我々が使う鋼鉄の弾、私達はスティールバレットって呼んでるわ、他にも鋼鉄の守り神やいろいろとあだ名があるけど・・・それらのおかげで他国は侵攻しようとなんて思わないの、だからこそ40年近くも戦争無し、いざこざ無しで過ごせているの、だから戦争を忘れた馬鹿どもがボリスト家の象徴」


「なるほどな・・・確かに力は国が存在する以上必要な力だ。だがボリスト家も馬鹿じゃないはずだ、外交方法を別に確保しているんじゃないか?」


レミウスはギクリと動いて目を細めて「た、確かに、ボリスト家が最近他国と交渉が頻繁に行っていると聞いたけど・・・」


やっぱりな・・・ボリスト家も馬鹿じゃない自国を守る術を考えてる


まぁ何はともあれ情報は集まった、俺がレミウスの側に居るからボリスト家とは敵対関係だと警戒した方が良いな・・・それとバージスト家ってなんだろうな・・・


「バージスト家の立ち位置は?」


レミウスがピンと来ない感じで「中立・・・なのかな?早い話『俺達に危害を加える事さえなければOK!』って感じね、ユリコンティ家は船の護衛依頼される事もよくあるし、ボリスト家はおいしい魚を世界へ売りさばく為の依頼を受けてたりするから」


「つまり中立ね・・・了解した」


レミウスは俺を見て「今思ったんだけど・・・レイヤールって小さいけど歳いくつなん?さっきの話聞く限りかなり大人っぽい印象なんだけど・・・」


「俺か?この世界に生まれてまだ1年経ってない」


レミウスはポカーンとして「絶対嘘やろ」


俺が転生者である事は喋らない方が良いだろうな、利用しようとしてくる可能性がある、あんまし注目されるのは危険だからな


「ドラゴンなんだから何でもありだろ」


レミウスはすぐに納得して「そうだな!」


本当に馬鹿だコイツ・・・まっ、その方が何かと都合が良いんだが



レミウスが俺の事を抱っこして外に出て、青い空を見上げて呟く

「私って船乗り向いてるかな?」


「これまた際どい質問だな。俺として一言いうとすれば・・・不向きだ」


レミウスは下を向くが俺はもう一つ付け加える「だが諦めず続けていればやがて普通になり、何年かかるか分からないがプロにだってなれる」


レミウスは顔を上げて「ありがとうなレイヤール、やっぱりウチ・・・この青い空に青い海が好きだわ」


真っ直ぐなまなざしを見てエルローラを思い出した『アイツ元気かな・・・』





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