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我がまま王子の最後

俺は辺りを見回すと王宮ではなく馬車の中だった


俺が辺りを見回しているとフォード王子は笑って「心配しなくても大丈夫だよ!僕のお屋敷へと向かうだけだからさ」


ちょっと待て、お前屋敷持ちなの!?子供で!?


俺が驚いていると「アッハハハ!本当に感情豊かなドラゴンだね、本当可愛いよ」


俺はしばらく辺りを見回して状況確認するとまず馬車を引いている奴はヤバイ感じだ


傭兵のようだが、かなりの手練れそうだ。

背中しか見えない上にフードまで被ってやがる、女か男すら判別できない


俺は後ろのカーテンを開けると驚いた、ボロボロのエルローラとベルガートが檻のような物に入れられ連れられている


俺はフォードを睨むと


「あれ?さっきまでオロロッとした態度で可愛かったのに急に態度が悪くなったね・・・仕方ないさ、抵抗しなければ危害は加えないって言ったのに無理に抵抗したからこうするしかなかったんだし」


でも俺が暴れたり危害を加えればエルローラ達が危ない。ここは馬鹿なドラゴンを演じて、油断した所で脱出させてこいつを滅ぼしてやる


俺はそれから大人しくするようにした


馬車が停車して下りると驚いた、本当にお屋敷だ。山の中にたたずむ山荘って雰囲気だ


出入り口は豪華に飾られて中庭にはたくさんのメイド達が植物の世話をしている、それと動物好きなだけあって、庭には犬や猫、それ以外には猛獣の類も居た


前世でも動物園を持つ程の金持ちの息子が居たがそれの中世版って感じだな


俺は馬車から降りるとエルローラが「レイヤール!」


俺の言葉はこいつらには分からないから喋っても大丈夫だな


俺は真剣な顔で

「必ず助けるそれまでは道化を演じる、隙を作るまで耐えてくれ」『フガッ!ガウガガガ!グルガ!』


エルローラはそれを聞くやションボリした顔になり、雰囲気を合わせてくれる


いい芝居だ、いいぞエルローラ女優さんみたいだ


俺は心の中で褒めると屋敷へと入る


中は広く豪邸だ、それとフォードは精神年齢が幼い事も分かった。小部屋にあちらこちらに落ちている遊具や言動や行動から推測できる。


フォードはすぐに「おいメリックス、2人を牢屋に」


フードをかぶった奴がフードを脱ぐと女だ、めちゃくちゃ黒人の美人な人で黒くて長い巻髪があり戦う女って感じだ。それと手練れ感が半端無い、恐らくベルガートにも勝る実力という事か


俺はメリックスの後をしっかりと見た、地下施設へと向かう扉の位置を確認する


その後は「えっと君の名前は・・・さっきレイヤールって呼んでたけどそうなの?」

コクコクと頷くと「ふーん・・・レイヤールってどんな事ができるの?」


とりあえずこいつのご機嫌は取らないとまずそうだな・・・うーん・・・っあ


俺は辺りを見回すと壊れたおもちゃを見つける、どうやら重りと歯車仕掛けで動かして遊ぶオモチャのようだ


俺が道具を探していると

「これ?」と赤い金属の箱、多分これだろう


開けるとドライバーとかが入っていて俺は直して行く


「へー凄い・・・」と横からフォードが見ていて直してやると

「す、すごい!!直った!!メリックスでも直せなかったのに!!」


俺は余裕の顔をしているとドカドカ持ってきて「直して!」


俺がエェ・・・って顔するが、信頼を得るためだ、やるしかない


俺が3時間かけて直すと


「うわぁぁぁぁ!懐かしい物がほとんど直った!!」


俺は実際手先が器用で趣味で裁縫とかもやってたぐらいだからな


実際すべて直してやると一人遊びに夢中のようだ、よし今の内にこの屋敷の中を探索に・・・


その瞬間フォードが「レイヤールごはん行こう!」


ったく・・・こいつは・・・


フォードはお腹が空いたため食堂へと向かう、食堂も無駄に広くなっている。


俺の目の前に出されたのはハンバーグ、食べてみたが飯も一流のシェフが手掛けているのか美味かったが、今はなによりエルローラ達が心配だ、ちゃんと捕虜として食事がとれているのか安全な状態なのか・・・


俺は下を向いてエルローラの事を思う


そしてフォードはプールみたいに広いお風呂に浸かって「レイヤールってすごいねーなんでもできちゃう」


別に合わせてやってるだけだクソガキ、まんまと騙されやがって、傭兵なんぞ雇って好き放題している事を親父にチクってやる。それに今回は誘拐拉致監禁。どのぐらいの刑罰が知らないが子供だからと言って俺は容赦しないからな。打ち首にはされないだろうが、禁固刑は免れないから覚悟しとけ


俺は胸の内にある怒りを抑えつつも合わせてしばらくすると眠くなったのかすぐ布団に入ってスヤスヤと眠る


さて・・・俺の時間はここからだ


俺は夜中にフォードの部屋を抜け出して夜中の屋敷を歩く


メリックスとか言う傭兵に鉢合わせないように気をつけないと


それにしても真夜中の屋敷の不気味さやばい。ロウソクで灯っている廊下のせいで不気味度がMAXになっている


ほんの少しの音でもビクッとしてしまう

窓が風でガタガタとなり俺は心臓が張り裂けそうになる


「や、やめろよな・・・そうゆうの・・・」『フ、フガガ・・・ガウ・・・』


そんな時だったコツコツコツ・・・歩く音が止まり声が聞こえる


「お前達は西側の警備、私はフォードの部屋の周辺を警備する」

「かしこまりました!リーダー!」


メリックスの声が聞こえ、こっちに歩いてくる

俺は廊下に置いてあったタンスのような置物に隠れる


コツ、コツ、コツ、あいつのブートの音が近づいてくる


やべぇ・・・心臓が・・・バックバックだ・・・


コツ・・・コツ・・・コツ


遠くなっていく


「よ、よし・・・」

タンスを出ると


「何してるの?」


ビクッ!!振り返ると後ろにタンスで座るメリックスの姿が

「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」『ピギャァァァァァァ!!』


「ちょ、ちょっと!!話聞いて!!」


「お、お化け!!お化け!!あああぁぁぁぁaaa!!」


――――――


メリックスはため息を吐いて「脅かして悪かったわよ・・・」


結局の所俺はメリックスに捕まった、俺がなにしようか目を見てお見通しだったらしい・・・クソ・・・


俺は落ち着きを取り戻すとメリックスの武器や、道具がある個室へと案内される


どうやら痛い目は見なくて済みそうな雰囲気だ、そこでメリックスの愚痴がこぼれ始める


「あんたもアイツのお守してくれて助かるわ・・・私は正直あのクソガキがムカついてて仕方ないのよ、これだけの事件を引き起こしたんだ。そろそろ殺されても文句は言えまい・・・そこでだ、アンタに協力して欲しい」


俺が頭をかしげると「アンタ人間殺す事ぐらい大差ないんだろ?アイツを殺しちまえ、フリース国王も正直あの馬鹿息子には困っているらしい、だから殺してくれれば都合が良いってもんだ」


マジかよコイツ、俺は殺し屋なんかじゃねぇぞ


俺だって昔は道を踏み外した事があるから分かるがアイツは正しく育てられなかったが故だ。国王の態度で分かる、あんまり怒った事が無いのだろう。殺すなんてごめんだな


俺は首を振り嫌がると「ふぅ・・・そこまで助ける理由を聞きたいね・・・って言っても翻訳無しじゃ、聞けないか・・・ついてきな」


俺は地下室へと案内される、地下は石作りで、夏になりかけたシーズンだってのにかなり涼しく肌寒いぐらいだ


地下へと下りると寝ているエルローラにメリックスが「おい、起きろ」


エルローラが起きると「レイヤール!!」


俺も安堵して胸をなでおろした

「エルローラ・・・無事で良かった・・・」


そこでメリックスが「エルローラ、こいつの言う事を翻訳しろ」


俺はエルローラと目を合わせて頷いて「俺はメリックスの言う事も納得できるが、殺すのは間違っている、アイツは正しい教育が受けなかった故にああなった。責任は国王にある、殺すのは楽な事だが、アイツと触れ合って分かった事がある、アイツは友達や仲間ってもんを知らない。だから責めるのは国王だ」


メリックスは大笑いして「アッハハハ!!ドラゴン様はとんだお人よしか!」


ベルガートが横の牢から声を上げ「何がおかしい!!」


メリックスは顔を手で覆い「いやー・・・そんな生真面目だったとわね~ってさ、いいわ全員今日中にここから出なさい。私も去るから、馬車も使うといいわ」


牢の鍵を渡してくれて俺はその鍵で開ける


ベルガートが闘志をたぎらせて「貴様の剣技・・・俺はまたいずれ決闘を申し込む」


メリックスは気のない返事をして「別に好きにすればー?」


そう言ってメリックスは去って行った

俺も地下室から出て、急いで馬車へと乗り込むとベルガートが「行くぞ!」


馬で移動して屋敷から出る


ようやくこのクソ屋敷からおさらばできたぜ・・・さてと溜まった鬱憤うっぷん全部晴らさせてもらうからな


------


そして王国へと自力で戻ると兵達は驚いて

「!!お戻りになられたのですね!良かった・・・ベルガート様フリース国王様に報告を」


俺は頷いて「あぁ、フォード様には申し訳ないが国王様ももう我慢できんだろう」


エルローラは俺を見て「ねぇレイヤール・・・フォード君ってどうなっちゃうの?」


「少なくとも罪に問われる、エルローラとベルガートと俺の誘拐の罪、そしてあの傭兵を従えていた事への処罰、間違いなく牢屋暮らしになるだろうな」


エルローラは下を向いて「まだ子供なのに牢屋って・・・」


「それじゃあエルローラ、子供が君の母親を殺したとしよう、許せるか?」


エルローラは無言だった


「そうゆう事だ、あいつは犯罪者、国王も迷わず牢にぶち込むだろうな。だがフォードにはいい薬になる、国王にも言いたい事があるしな」


深夜だったが国王はわざわざ正装して謝りに客室まで来た


「すまなかった!!招待しておいてこの不敬・・・」


俺は国王の前に立って「エルローラかなりきつい言葉になるけど翻訳してくれ」

エルローラが頷いたのを見て俺は国王を見上げ言う


「フリース国王様、こちらも一言だけ言わせてください、子供は親が躾けなければ、それはやがて子供を滅ぼす」


フリース国王は頭を下げたまま目を開けなかった


「誘拐罪で捕まるだろうな、今回の件は俺達は責めるつもりはない。だがしっかりと反省させ、更生させるんだそれが俺の許せる唯一の方法だ、だが牢獄の処罰はしっかりと国の法廷に従って行え」


フリース国王は頷いた後俺はエルローラを見て「エルローラ寝ようか」


「う、うん」


客室で寝ようと思ったらもう朝日が見えていた「夜更かしじゃないんだからさ・・・ハァ・・・」


俺は溜息を吐いて眠った

次回予告:我がまま王子の件が終わり一件落着かと思えたが・・・現れる大型魔獣・・・そしてレイヤールは初めて死を体に刻み込む・・・悲しみに明け暮れるエルローラ、次回:【死を食らう者】


更新時刻 明日:22時頃お楽しみに!

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