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終末世界の方程式  作者: 釣り人
第二章 新たな仲間
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第十話 俺と大金と新たな力

 キャロルは布を取り、箱をカウンターに上げた。


「おお! これは!……何だ?」


 シンジには真新しい武器は一つしか見当たらず、他はいつもの弾と武器しか見当たらなかった。


「四千万使って……これだけ?」

「それでは武器の説明をします」


 キャロルはシンジの反応を無視して、武器の説明をした。


「とりあえず、前の三倍の弾です。これで暫くの間は大丈夫だと思ったのですが……人数が倍になるとまたすぐに足りなくなりそうですね。後、余ったお金でA78とASMも買っておきました」

「じゃあこれをレティーの装備にすればいいな。そういえば聞いてなかったが、レティ―は銃器は使えるのか?」


 帝国では主に剣と弓などの装備を使っている。そう考えると、レティシアが銃器を使ったことのある可能性は低いはずだとシンジは考えた。


「はい。帝国にいるときに一通り勉強しました。剣術も勉強しましたが、都市のモンスターには銃が一番ですね」


 シンジは意外に思ったが、地域によってモンスターの種類は変わってくる。

 連邦では機械系のモンスターが多く出るので、銃器を扱えないとすぐに死んでしまう。


「話はいいですか? あとはモンスターライフルの専用弾を五発程買い増ししておきました」

「結局使わなかったけどな」


 シンジは、あの時のドラゴンみたいなモンスターと戦った時は欲しいと思ったが、アドレナリンが出ていない今は、骨を折ってまであの銃を使いたくはなかった。


「そんなお客さんに朗報です! これに金の大半を掛けました! 強化服です! なんと一着三千万エール!」

「さ、三千万エール!?」


 強化服は全身防弾着のような見た目をしており、メカメカしいところは背中の鉄部分のみだった。

 だがシンジを驚かせたのは強化服が出てきたことではなく、三千万エールの強化服が出て来たことだ。


「前に四百万の強化服があっただろう? あれにしなかったのか!?」

「何言ってるんですか! これに一番時間がとられたんです。店舗価格五千万ですよ!」


 五千万……想像できなくはないが、それでも高いのは事実だ。


「値段が高いのは認めます。もっと安いのはいくらでもありますからね。ですが、これは値段以上の性能があります」


 五千万の性能……シンジには想像がつかなかった。


「まずこの戦闘服は自己教育システムがついています。これがないと下手したら腕とか足がぐちゃぐちゃになる危険性がありますからね」

「……そうはなりたくないものだな」


 すでに色々なところに銃弾が撃ち込まれたことのあるシンジは、痛みの苦痛は大変良く知っていた。


「続いて肝心の筋力強化が同価格帯よりも優れているのです!」

「それはいい!」


 というか、シンジはその為に買ったようなものだ。性能が低くては困る。


「最後に燃料ですね。これにはエネルギーパックが必要です。ですので、これと予備が二つセットになっています」

「エネルギーパックって?」


 中層都市にいた頃もそのようなものをシンジは聞いたことがなかった。


「まぁ、簡単に言えば電池みたいなものですよ。それも超大容量の。高いものだともっと省電力化しているんですが、こうも安いとね……」

「安い!?」


 シンジにしてみれば十分高い。


「前に説明したじゃないですか! 都市警備隊の強化服は五億しますよと。それに比べればこれは安いほうです!」

「まぁ、確かに」


 シンジがそう思うのも無理はない。今までそんなに高い買い物はシンジにはしたことが無かったので、物の正確な価値を見ただけではわからなかったのだ。


「いいですか! 装備の差が冒険者の力量の差とも言われている位装備は大事なんです! 最前線の冒険者だと百億の装備は当たり前です!」

「ひゃ、百億!?」


 冒険者の装備の値段を聞くとシンジは毎回驚いているのだが、今回は特別驚いた。

 幾ら会社と同じと言われても、この金額になるとびっくりするなというのが無理な話だろう。


「それが最前線では最低限の装備です。それを理解したうえで、今後も購入してくださいね!」

「了解です」


 キャロルに怒られしょげているシンジを、レティシアが慰める。


「元気出してください! これから頑張れば良いんですよ。ね! キャロルさんが折角いい装備を仕入れてくれたからまずはそれに感謝しましょうよ!」

「……そうだな。いちいちしょげてばっかりで済まないな」


 シンジは怒られるとしょげてはいたが、回復するスピードもだんだん速くなっていた。ほかの人の力を借りての話だが。


「十分反省してくれればそれでいいです。主な大きな買い物はこれくらいですね。後は、壊れたゴーグルと手袋とその予備、冒険者用のリュックサック、更に回復薬ですね。回復薬は念のため高いものを買っておきました」

「……具体的には幾ら?」

「百万の回復薬が二つ、占めて二百万エールですね」


 高いと思ったが、必要経費と思いシンジは言うのを我慢した。


「後は……また要ります? 例の手榴弾」

「……くれ」


 高い買い物だが、あれがあったおかげで助かったのだ。と、シンジは高いお守りだが買っておくことにした。


「全部合計すると……およそ五十万ほどおつりが出ますね。何か他に買いたいものは?」

「いえ、いいです」


 シンジには金額が多すぎてもう一杯一杯だった。


「毎度ありです! 次回もよろしくです」

「……よろしく」

「宜しくお願いします!」


 帰りはレティ―がいてくれたおかげで大量の荷物を持たないで済んだが、代わりにシンジは重い何かを失った気がした。






「マスター、大変良い買い物でしたね」

「何か大切な重いものを失った気がしたがな」


 自宅に帰り買った武装を見てみると、このような強そうな武装が手元にある安心感はあるが、これに四千万と考えると何故か気が重くなる。


「イリスさん! 私、実際に使ってみたいです!」

「そうですね。マスターも長い間射撃訓練をしていなかったので良い機会でしょう。勿論強化服も持って行きますよ」

「本当か!?」


 高い買い物をしたので、その効果を早く試してみたいという欲がシンジにはあった。

 それに、かっこいい武器を使うのはやはりシンジというより、男にとって楽しいものだ。


「ではマスター、早速で悪いのですが強化服に細工してもいいですか?」

「な、何でだよ。別にこのままでも良くないか?」

「強化服というのは、使うまで時間がかかる物なのです。マスターが買った強化服のように高いものになると、自動で自分の動きに合わせて強化してくれる物もありますが、それでも約一週間は訓練で潰れるでしょう」


 そうイリスが言った瞬間、シンジの通信端末が鳴り響いた。


「誰だ?」


 シンジが通信を繋げるとそこに映っていたのはヒフミだった。


「あんた! 怪我したかは知らないけど遺物はまだ!? もう全部解析し終わって別の研究所に回したから遺物が足りないの! 明日中に集めて来て、じゃないとあんたの首をちょん切るわよ!」


 そうヒフミは自分の言いたいことだけ言って通信を切った。


「そういうことですね」

「何がそういうことなんだよ!」


 シンジは生きるために冒険者になったのだ。こんなくだらないところで死にたくはない。


「私にマスターが強化服を渡さないと、マスターの死ぬ確率が上がるということです。いかがしますか?」

「許可する! 許可するから何とかしてくれ!」

「了解しました」


 折角買った強化服をイリスにいじられたくはなかったが、物欲で命を失うくらいならとシンジはさっさとイリスに強化服に細工する許可を与えた。


「マスターとレティ―さん。この細工は少々時間が掛かります。ですので、今のうちに外地へ行く準備をしておいてください」

「持っていく物は何ですか?」


 レティシアが質問する。


「レティ―さんはアサルトライフルと狙撃銃。マスターはアサルトライフルと対モンスターライフルを整備してください」

「わかりました!」

「俺、まだモンスターライフルは整備したことないんだが……」

「基本構造は似ています。ですが、配置を間違えると爆発する危険性があるので注意してくださいね」

「……了解」


 レティシアがスムーズに銃を整備していくのに対し、シンジは不必要なぐらい時間を掛けて銃を整備した。


「マスターは何でそんなに時間を掛けて整備しているのですか?」

「お前のせいだろ!」


 こんなところでシンジは命を落としたくはなかった。

今回は苦労しました。

新武器を簡単に追加したら、直ぐに最強になってしまう。そんなに冒険者稼業って簡単じゃないと思うんです。

そういう筆者のエゴで書くのが遅くなってしまいました。

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