第42話
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2017年5月24日午前10時5分。月井と今村は新宿の街に居て、人間の動きを見る。暑さで参っていた。この人だかりの中には警察官もいるだろう。どうにも疲労が溜まっていた。時折スマホを見ながら、位置情報などを確認する。IT機器がないと、捜査が進まないぐらい、事件もハイテク化している。
岡田徹が殺害されたのは、持っているデータのせいだろうか?月井は繁華街を歩きながら、そう思っていた。ホシがデータ盗なら、殺害する可能性だってある。動機なき殺人などない。月井も十分そう思っていたのだし、今村も勘付き始めていた。刑事の目や第六感の類は誤魔化せない。長年捜査に従事しているのだから……。
街を歩きながら、空気のようなものを感じ取る。朝から昼に掛けて気候的に蒸し暑く、夜も繁華街は熱を帯びたように熱くなるのだ。ずっといろんな人間たちの様子を見ていた。デカは人を見ることに長けている。特に月井は普段から新宿を見て回っているので、一般人の顔も事件容疑者のそれも、自ずと判別が付くのだ。
捜査本部にいて、内勤するより、外回りの方がいい。個人的に月井はずっとそうだった。警察官になった時から、である。夏の暑気も冬の寒気も、スーツやワイシャツでカバーしていた。
「今村巡査部長」
「何です?」
「しばらくは淡々としてて、幾分きついかもしれませんよ」
「どういうことですか?」
「街の巡回は単調です。付いてこれますか?」
「ええ、大丈夫ですよ。……体力は十分ありますから」
「体力ってより、メンタル面ですね」
「メンタル面?」
「ええ。警察官はヤマを追う時、常に精神面で勝負しますから」
「分からないことはないですが……」
今村がそう言って歩き続ける。月井が、
「さっきも言った、昔の両角一課長のように足で稼ぐんです。とにかく歩いて回るわけですよ。行く先々でぶち当たるわけです。物証などに」
と言い、頷いてみせた。
「長年現場の刑事やってると、身に付くんですね?」
「ええ。私はずっとそうです。……こんなこと、警察学校じゃ習いませんから」
「確かにそうですね。教官もそういったこと言ってませんし」
今村が軽く頷き、照りつける日差しを掌や腕でよける。午前11時を過ぎると、太陽の光はきつくなってきた。互いに思う。こんな蒸し暑い中にいると、脱水症状になると。共に自販機でアイスの缶コーヒーを一缶ずつ買って飲む。太陽は中空にあり、光線が射し続けた。人の足はほとんどがオフィスビルへ向かっていて、ごく一部の人間が幾分早い昼食へと行っている。(以下次号)




