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新宿  作者: 竹仲法順
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第33話

     33

 2017年5月23日午前8時15分。月井と今村は高木梨帆の殺害現場から離れ、港区内の街を歩き始めた。人通りの多い場所を歩く。レインボーブリッジが手に取る位置に見え、繁華街は混雑していた。事件に関し、手掛かりを掴むため、高木の自宅マンションへと徒歩で移動する。

 近辺は閑静だった。道に面していても、騒音などの少ない場所である。それに隠れ住むには格好の場で、コンビニやスーパーなども近くに数軒ある。都内でも一際住みやすい類のところで、月井も羨ましいと思えた。

 前科のある高木はここで暮らしながら、新宿のルールーに通っていたのだ。部屋は警察関係者が何度も出入りしていて、ほとんどのものに手が付けられ、捜査に必要なものは押収されていた。新宿山手署の捜査員や、港区内の所轄の警官も来ているだろう。室内はあまり生活感のない感じだった。ホステスとあって、残っていた洋服類なども豪華なものが多く、贅沢な暮らしぶりだったことが推察される。

 だが、刑事たちは皆、合点の行かなさを感じ取っていた。高木梨帆が消されて得するのは岡田徹を葬った人間で、事実関係は合っていたとしても、高木を殺すまで行くには相当な覚悟が要る。それに水死など、目立つ方法で殺害するとなると、かなり細工が上手い人間だ。仮に志村浩が高木梨帆を消すとしても、ここまでするだろうか?

 帝都物産に警察官が行っているのは、耳に嵌めていた無線が鳴るので聞いている。いずれ志村は重要参考人として、警察に連れて行かれるだろう。岡田を殺害したのが高木梨帆か志村浩のいずれかじゃないにしても、警官たちは困惑していた。裏で何かある。より交錯した何かが。それにあのビジネスホテルからは、まだ別のDNAが発見されてもおかしくはない。月井も今村もそう考えていた。

 午前9時45分。足が棒になるように歩いていて、月井が「いったん休憩しましょう」と言い、近くのカフェを指差した。今村が「ええ」と言って頷き、共に入っていく。港区の繁華街の喫茶店でコーヒー一杯でも若干高めだ。店内にはいろんな人間が出入りしていた。月井たちも紛れ込む。椅子に座り、グラス入りのアイスコーヒーを一杯ずつ頼んだ。しばらく休みながら、疲れを取る。

 ここは新宿区内と似た街並みだ。ビルが多数林立し、いかにも首都の中枢といった感じがする。しばらくエアコンの利いたカフェで一休みだ。店内には客の付けた香水の香りなどが漂っていて、何か警察署のデカ部屋とは雰囲気が違う。テーブルに届いたコーヒーを飲みながら、心身ともに休めた。歩きっぱなしだと、疲れてしまうので……。(以下次号)

 


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